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転職経験者が語る「地頭力」の重要性と鍛え方

「地頭力を鍛える 問題解決に活かす『フェルミ推定』」を読んで、私は自身の経験と重ね合わせながら、多くの気づきを得ることができました。本書は、ビジネスの現場で求められる思考力、特に「地頭力」の重要性を説き、その鍛え方を具体的に示しています。私自身、様々な職種を経験してきた中で、この地頭力の必要性を実感する場面が数多くありました。

著者が提唱する地頭力の3つの要素、「結論から考える仮説思考力」「全体から考えるフレームワーク思考力」「単純に考える抽象化思考力」は、私のキャリアを振り返ると、それぞれの場面で重要な役割を果たしていたことに気づかされます。

例えば、システムエンジニアとして働いていた時期には、クライアントの要望を理解し、それを具体的なシステム設計に落とし込む過程で、フレームワーク思考力が不可欠でした。全体像を把握し、それを適切な単位に分解して考えることで、複雑な要求にも対応できたのです。

また、建築設計や法人営業の経験では、仮説思考力が大いに役立ちました。クライアントのニーズを予測し、それに基づいた提案を行うことで、効率的な問題解決につながったのです。特に営業活動では、限られた情報から相手の真のニーズを推測し、適切なアプローチを選択する能力が求められました。

そして、起業後のコンサルティング業務では、抽象化思考力の重要性を痛感しています。クライアントが抱える個別の問題を、より普遍的な課題として捉え直すことで、効果的な解決策を提示できるようになりました。

本書で紹介されているフェルミ推定の手法は、まさに地頭力を鍛えるための実践的なツールだと感じました。「日本全国に電柱は何本あるか?」といった一見答えようのない問いに対して、論理的に推論を重ねていく過程は、私自身のビジネスにおける問題解決の手法と重なる部分が多々ありました。

特に印象的だったのは、フェルミ推定における「アプローチ設定」の重要性です。問題を適切な視点から捉え、解決可能な単位に分解する能力は、ビジネスの様々な場面で求められます。私自身、マーケティングコンサルタントとして活動する中で、クライアントの抱える複雑な課題を、より扱いやすい単位に分解し、段階的に解決していく手法を多用してきました。

また、本書が強調する「知的好奇心」の重要性にも強く共感しました。私のキャリアは、常に新しいことへの挑戦の連続でした。建築、IT、営業、そして起業と、一見バラバラに見える経験も、根底にある知的好奇心によってつながっていたのだと気づかされます。

しかし、本書を読んで改めて感じたのは、自身の思考の偏りや盲点です。例えば、仮説思考力は比較的得意としてきましたが、全体を俯瞰するフレームワーク思考力については、まだ改善の余地があると感じました。特に、大規模なプロジェクトや長期的な戦略立案において、この能力の重要性を再認識しました。

また、抽象化思考力については、時として過度に複雑な問題を単純化しすぎてしまう傾向があることに気づきました。本書の指摘する「枝葉の切り捨て」と「本質の把握」のバランスを取ることの難しさを、自身の経験と照らし合わせて深く考えさせられました。

本書は、ビジネスパーソンとしての自己成長の道筋を示してくれただけでなく、人生における問題解決の姿勢についても多くの示唆を与えてくれました。地頭力を鍛えることは、単にビジネススキルを向上させるだけでなく、人生の様々な局面での意思決定や問題解決能力を高めることにつながるのだと実感しています。

最後に、本書が提唱する「地頭型多能人(バーサタイリスト)」という概念に強く共感しました。私自身、多様な経験を積み重ねてきた中で、環境の変化に適応し、新たな知識を生み出す能力の重要性を実感してきました。AI時代においても、この能力はますます重要になっていくでしょう。

「地頭力を鍛える」という本書のメッセージは、私のこれまでのキャリアを振り返り、今後の方向性を考える上で、大きな示唆を与えてくれました。知識や経験を単に蓄積するだけでなく、それらを活用して新たな価値を生み出す能力を磨くことの重要性を、改めて心に刻むことができました。今後は、本書で学んだ思考法を意識的に実践し、さらなる自己成長と価値創造につなげていきたいと思います。

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