見出し画像

性、相近し、習い、相遠し (論語 陽貨篇)

(意味)

 人は産まれもった特質に大きな差異はない。だが、習慣や努力によって大きな差がつくものだ。

非常に簡潔な言葉の中に二つのメッセージを込めています。

 孔子はまず、人間のスタートラインはさして変わらないものだ、と述べています。とはいえ、産まれた直後から自らの意志で生きてきたわけでもなく、環境に左右されながら、考え方や行動、習慣が形成されてきたことになります。
皆さんもこれまで生きてこられた環境により後天的に備わった習性をいくつもお持ちで、よくしていきたい、何とかよくならないものか、と考えることはあるでしょう。
 その後に続く「習い、相遠し」は、これから身につけていくことができる、という意味だけではなく、すで身についた習性であれ、変えることができるのだ、という意味も含まれていると考えています。
 なぜなら、それは産まれつき備わっていたものではなく、環境により備わったものだから。そう考えると、希望が持てます。

修己

 日々の鍛練によって、これまで後天的に身についた習性も、これから身につけたい習性も作り出すことが出来る、それは「習」によるものだ、ということです。
 孔子は弟子たちに対して、学べ、学べ、と繰り返し説いています。

孔子先生、そんなこと言っても。

 なんとも、ぐうの音も出ない正論でしょう。孔子の説く修己は、5〜10年単位での自己修練です。私なんかは、数ヶ月で音を上げてしまいそうです。しかし、コツコツと続けることで自己形成されていくのです。

やりかたは、ある。

 自分を変える、というお題で私も何度もトライしては挫折を繰り返してきましたが、少しだけ考え方を変えてくれた本に出会いました。私はオーディオブックで聴きました。私の記事にしたい本のリストの上位にいますので、あらためてご紹介できればと思います。

「ジェーム ズクリアー式 複利で伸びる小さな習慣」(ジェームズ・クリアー)

 今回は「小さな習慣」についての説明は省略し、一節だけご紹介いたします。

習慣を変える最も効果的なことは、達成したい目標ではなく、なりたい人物に意識を向けることだ

 何か成長したい、自己研鑽したい、と思った時、人は目標を設定します。→あたりまえじゃん。って思いましたか?私はそう思いました。しかし、目標が大きければ大きいほどその達成には長い時間がかかります。その道中、ずっと目標は達成できていないわけで、苦しい日々となります。これが挫折する理由です。
 一方目標ではなく、なりたい人物像を思い描き、その人物のとるであろう行動を行うことを習慣化する。習慣となった行動は、日々行われるため、行動を達成するたびに日々幸福になれる、ということ。コツコツと行動を重ねることで、いつしかそれが人格を形成するようになるということです。

 孔子の言葉に戻ると、人が変わることができる、変わるためには、目標を設定するのではなく、なりたい人物の行動を日々コツコツと行うことでいつしかその行動が人格へと昇華する、そんなふうに毎日過ごしたいと思います。


 この言葉、論語好きの息子に、教えてあげようっと!

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?