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素敵な靴は、素敵な場所へ連れていってくれる。 28

 オーダーすると、南村は、すぐさま
「ごめん、タバコ吸ってくるね」
 そう言うと、喫煙室へ向かった。
 有美は、南村が喫煙者だとわかり少し驚いた、南村の雰囲気からして、別に吸っていても不思議ではなかったけれども、何度も近くで、打ち合わせなどしていて、彼女からたばこの臭いも、気配も全く感じられなかったからだ。
 南村が戻ってくると、
「タバコ吸うですね」と聞いてみる。
「うん、意外だった?」
「会社では、ぜんぜん臭いも気配もないので、意外でした。」
「会社では、ほとんど吸わないけど、普段は結構吸ってるよ、お酒飲むと欲しくなるしね・・」
「そうですよね・・・」
 と有美も適当に相槌で返した。
 ここへ、来るまでは、この人と何を話そうか、少し憂鬱な気持ちだったけれども、南村は意外にも、結構饒舌で、食べ物の話や、ファッションの話など、意外に世情にたけていて、有美が驚くような事もよく知っていた。
 有美が、よく紗季に連れられて、庶民的な居酒屋に行く話をすると、
「へぇ、面白そうだね、こんど一緒に連れて行ってよ・・・・」と、嬉しそうにそう話した。
 注文したものが来ると、南村は嬉しそうに、目を細めて食べ始めた。
「ここの小豆は、ほんと、おしいわ」
 彼女がそういうように、初めてたべた有美も、初めて食べるような食感の小豆だった。
 
 急いで食べすぎたのか、南村は、食べ終わると、頭が痛いといって、少し自分の眉間を手で押さえた。
 有美は、その子供っぽい仕草が少し可笑しくなって小さく笑った。
 
 有美は、かき氷を半分くらいまで、食べ終えるころ、ようやく頭痛から解放された南村に、おもむろに、尋ねた。
「大津さんって、どんな方なんですか?」
急に聞かれて、不意を突かれたような顔をしながら、南村が、
「どんなひとって、それ、どういう意味?」 
 と逆に聞いてきた。
「この前、一緒に食事したんですけど。」
 有美が、そこまで言うと、南村は驚いたように、目を丸くして、
「えっ?あいつと、もう、あなたと、一緒に食事に行ったんだ。」
南村の、その驚きに逆に有美はびっくりした。
「彼に誘われたの?」
 南村がそう聞くと、有美は、その時の事情を正直に話した。

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今宵も最後までお読みいただきありがとうございました。

少し投稿の、間隔が開いてしましました・・・・

読者の方には、申し訳ないです・・・・(そんなにいないと思いますけど 笑

次回から少しペースを上げていくつもりです。


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