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エンジニアが開発を辞めてエンジニア採用に全振りする時。 中の人の"覚悟"と半年の"軌跡"。

こんにちは。ビビッドガーデンでプロダクト周りの採用責任者をしているひらしゅんです。まな板のようなMacBookを持ってニッコニコしている人です。

私達が開発している食べチョクというプロダクトですが、2020年に飛躍的な成長を遂げました。
数字で言うと登録ユーザー数24倍流通額42倍
もちろんやりたいこともバグも倍々で増えていくので、まさにエンジニアなどの開発メンバーを喉から手が出るほど集めたい状況でした。
そのタイミングでエンジニアである私は開発を辞め、エンジニア採用にシフトしていきました。

結果的には3月時点で3人のwebエンジニアしかいなかった開発組織は12月時点でiOS/Androidや分析を含めて15人を超える組織となりました。

この記事では
・エンジニア => 採用担当へのジョブチェンジをなぜ意思決定できたのか
・結果的に会社として価値があったのか
スピードと質を最重視した採用活動を0からどのように仕組み化したのか
を書いています。

全く体系的な記載の仕方ではないので、とりあえず「まず何をやればいいかな!!」というテンションの時に読むと良さそうな気がしています。
結果的に、スタートアップ界隈のエンジニア組織の第一拡大期にどう採用を進めるべきかという課題に対するひとつの参考になれば幸いです。

🍇🥬🥩あとは是非弊社の雰囲気を味わってくださいませ🦪🍶💐

どうして開発を辞めたのか

私は当初、DeNAに正社員として在籍していながら「自分の力でスタートアップを大きくする手作り感を得たい」というマインドでビビッドガーデンに副業エンジニアとして関わり始めます。

やっていく中で「身近な人に確実に価値を提供できること」「一次産業という課題が山積みな状況をエンジニアリングで解決すること」にエンジニアとして大きなやりがいと、一次産業という巨大な産業に新たな選択肢を作り出せるのではという可能性を感じました。
そして何より「生産者の“こだわり”が、正当に評価される世界へ」というビジョンに対する圧倒的な目的意識と熱量を持ったメンバーを肌で感じ正社員として入社します。

そしてそれから約2年、エンジニアとして走り続けていた私はエンジニアを辞めて採用担当へとコンバート。職務内容を大きく変えました。
その時の脳内ですが「それが一番プロダクトの成長のため」と判断したからです。

ビビッドガーデンは現状"食べチョク"というプロダクトを柱としているスタートアップです。プロダクトの成長は会社の成長と同義である事と同様に、開発の停滞は会社の死を意味します。

スピード感持って採用活動を開始し、必要なエンジニアリングスキルを有して会社の熱量に共感できそうなメンバーを集めるという課題に対して、現状での最適解は採用担当を探すことではなく、会社の行動指針やカルチャー構築にも関わったエンジニアが採用担当になることだと考えました。ここまでは私のスキルセットは満たせています。
そしてそれはエンジニアをやりながら片手間でできるレベルではなく、ほぼほぼフルコミットが必要となることも理解できました。

残るは覚悟の問題です。
ただでさえリソースが足りてない開発のリソースをさらに下げることになるため、いかに早く採用して稼働してもらえるかが最重要です。しかし上手く行けばビビッドガーデンの開発スピードを一気に上げることができます。
私は後者の可能性に賭けて、採用にフルコミットすることを決めました。
そうして数ヶ月以内に開発リソースを倍増するという必達目標の下、絶対に失敗は許されない採用プロジェクトを始めました。

※組織の状況によって取るべき妥当であろう選択肢はLayerXの石黒さんの記事でも言及されています。ビビッドガーデンの場合はこちらの記事でいう[5]の状況でした。

【採用戦略】状況を常にクリアにする

開発リソースを増やすためにどういったエンジニアをどう狙うかという戦略策定は本当に大事です。

弊社が必要としている、弊社で活躍できるエンジニアとは?という定義と、それを関係各所と徹底的に同期&ブラッシュアップすることを最初にはじめました。

社内ドキュメントであるesaに
・採用の背景
    ・事業上の課題
    ・各職種の優先順位
・各職種の詳細
    ・必須スキルやマインド
    ・具体イメージ(DoNAに新卒入社して〇〇というサービスのバックエンドを○年運用など)
    ・業務委託の場合は稼働リズム(平日日中 or 土日平日夜中心)
などを記載し、それらを社内メンバーやエージェントと共有していました。

必要なポジション

実際のドキュメント

採用の優先度と背景の確認はこちらのドキュメントをベースにして社内ですり合わせを行いました。
またエージェントから候補者を紹介された場合に「この方は合格」「お見送り」という連絡に閉じるのではなく、より良い紹介につながるように「この方はesaのこの要件に未達でした」だったり、要件を超えた方が現れた場合にはesaに「〇〇の経験はポジティブ」と追記するなどして要件のアップデートを随時行っていました。

エージェントの方々は紛れも無く採用においては強い味方なので、いかに弊社の理解度を上げていただくかは重要かと思っており、その理解度と実際に採用につながる確率は比例することが多いです。

またこのタイミングは働き方として完全フルリモートを余儀なくされた時期でもありました。
新たなメンバーが入るも、面談を通じて一回も実際に会ったことがない方と仕事をするという新たなチャレンジも同時に発生しましたが、結果として平日日中に関わってもらっているメンバーの離職率は業務委託の方も含め0%です。

特に業務委託メンバーとはタスクとは直接関係の無い会話が正社員メンバーと比較して少なくなりがちということもあり、毎週/隔週の1on1の設定などで担保するなどしていました。この話はまた別の所でできればと思っています。

ただ業務委託だろうと正社員だろうと基本の採用基準は一緒、仕事上の関わり方も一緒という前提で仕事をしており、お互いの情報格差を極力減らすという考えがそもそも大事だったのかなと感じています。
ここはまだまだ最適化には至って無く、来年も引き続きアップデートしていきます。

【採用広報】一番大事な採用の空気づくり

ひょんなことから複数の経営者や友人のエンジニアに弊社に関しての印象、特に「エンジニアリングしている会社として」という観点でインタビューをすると以下のような意見が聞こえました。

・ビジネスはすごい聞くけど、エンジニアリングのイメージは無い
・農業分野に関するIT関連は技術的に新しいものがなさそう
・食べチョクってShopify使ってるんだよね?(注: 100%内製です!!)

非常に危機感を覚えました。なぜならどれだけビビッドガーデンや食べチョクという名前を知ってもらっても、採用活動をしているという認識どころかそこで開発が行われているのかどうかですら知られていないということが実態としてわかったためです。
会社のビジネスに対する評価とエンジニアリングに対する評価は決して比例しないと実感した瞬間でした。

ここで言う空気づくりと言うのは
・「あの会社なんか採用やっていたな」
・「あの会社の開発おもしろそうだな」
という両方のイメージをいかに世のエンジニア界隈に刷り込ませるかということだと考えています。仮に皆さんが転職を検討するとして、その際第一に想起できる会社の多くは上記の空気を纏っていると思います。

ということで、日常的にエンジニアリングな雰囲気が出ているビジネスであるならまだしも、弊社の場合は意図的にエンジニアリングに関するアウトプットを普通以上に行う必要があります。

ということで結果的にやったことは2つです。
・「もう会社のこと開発のことはこれ見て!」という採用ピッチ資料の作成
・「採用やってます!」「こんな開発してます!」を詳細にリアルに伝える採用イベントのフォーマット化

採用ピッチ資料に関しては社内リソースをフル活用して突貫工事で作りました。特に開発については思想や開発体制などを詳細に伝えたくて大分ボリュームを割きました広報下村さん なんでも屋松浦くん デザイナー桐山さんなどみなさんありがとう・・・!!こちらに詳しいです!

イベントに関してですが我々が取り組んでいるものは2種類あります。
1つは社内メンバーが開発の裏側をトークセッションで話すイベントになっています。本当に内輪な感じで喋っているので開発メンバーのキャラクターや雰囲気が伝わる会になっていて、目的もまさに「弊社のことを好きになってもらえるとうれしい」という形になっています。

もう1つは社外の方々と組む合同イベントです。
こちらは各回で目的は変わってきますが、ちょっと大きめの切り口で「業界に対してエンジニアリングしていくことの楽しさ」「その中で弊社がどのように開発をしていてそれがいかにチャレンジングか」というところを伝える場としています。

どちらのイベントも共通して大事だなと思うことは「中の人間がいかに楽しく喋っているか」「継続的にやる」の2点です。事前準備にめちゃくちゃ手間はかかりますが、とりあえず早めに気合い入れてやってみて、いい意味でフォーマット化してしまうととてもいい流れが生まれました。

いろいろな会社さんとやりたいので気になった方、ぜひぜひTwitterにDMくださいませ🙆

【選考フロー】選ぶのではなく選ばれる選考プロセス

1次産業に関わるスタートアップということで認知もまだまだな界隈です。1対1でお話しできるという貴重な時間でいかにエンジニアリングする上で楽しく、チャレンジングなことができる環境かを伝えることを最重視しています。

フローとしては職種によって異なりますが、プロダクトに関わる職であれば基本的にはカジュアル面談 => 1次面談 => 2次面談 => 体験入社 => オファー面談という流れになっています。

私が選考で主に担当しているのはカジュアル面談と1次面談の2つです。目的も合わせて記載します。
○カジュアル面談
    ・弊社のこと好きになってもらう
    ・「ここを手伝えそう!」と思ってもらう
○1次面談
    ・エンジニアとして手伝ってほしいことを詳細に伝える
    ・そこにどう関われそうかをすり合わせる
    ・エンジニアとしてやりたいことが弊社でできそうか確認する

このように各面談における目的やこちらが知らなければならない情報、お伝えしなければいけない内容の構造化においては人事さとかさんに大変尽力してもらいました。

カジュアル面談から1次面談に関しては弊社がGoするのではなく、候補者の方に「カジュアル面談を踏まえて興味が湧いたら1次面談にお越しください」と伝えています。
なのでカジュアル面談を対応する私のゴールは必然的に「弊社を好きになってもらう」という点に他ならず、そのために重点的に話す内容をこまめに変えています。1時間という時間は長い様でとても短いです。
・技術的な取り組み => データ活用した事業展開
・ビジネスとの関わり => コミュニケーションの密さ
・エンジニアのポジション => 全メンバーが相互にリスペクトする関係
これらは一例ですが、10種類以上はテンプレのようなものがあると面談時の脳の負担は明らかに減ります。(それでも面談は体力を使います・・・!踏ん張りどころなので楽しく頑張りましょう!)

5月からの約半年で実施した面談数は160件を超えていて、そのうちカジュアル面談 => 1次面談に進んでいただいたエンジニアは85%を超えている状況です。
話術にはどうしても限界があるので、やはり事業や組織自体の魅力を最大化する取り組みを続けて、あくまでそれを正確に伝えるというのが大事です。

愛が溢れている採用と称される弊社です

また12月より導入した体験入社プログラムは、いかに候補者の方に弊社の素を知ってもらうかという目的で実施しており、毎週実施中です。

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・面談で聞いた話以上に「生産者のために」というワードが出ていた
・めちゃくちゃストイックだと思っていたが居心地の良さあふれるオフィスだった
・楽しくて夜のご飯会までご一緒してしまった

というご感想とともに大変高評価頂いてます。こちらに関してはもっと事細かく後日記事にできればと!

採用はずっと続くし会社は毎日変わっていく

会社を大きくしていく限り、採用の必要性が無くなることはありません。そのために、会社としての魅力や事業自体の意義など、もちろん採用するために高める訳ではないですが、それらを意識した行動は求められます。

弊社はブレることなく生産者を第一に価値提供を続けていく、開発においては価値提供を極力早く正確に続けるためにプロダクトと開発組織をアップデートし続ける。その行動が結果的に候補者の方にとって魅力的になるように会社も個人も成長をし続けないといけない

面談において「弊社を好きになってもらう」ということを重視している私ですが、最後に皆さんに弊社を好きになってくれそうな理由を述べたいと思います。

「圧倒的な目的意識とそれに対する熱量を共有したプロ集団」

この一つに集約されます。

開発において優先順位はコロコロ変わりますが、それでも一致団結して前進できるのは「生産者の方に価値を提供するためにはこの選択肢のほうがベター」という目的ドリブンの思考が全メンバーに備わっているからです。

エンジニアメンバーが採用に協力してくれるのは(いつもありがとうございます!)、より大きな価値を届けるために仲間を集めることがとてつもなく大事であることを認識しているからです。

代表秋元は農業を営んでいた実家の荒廃した畑を見て、二度と同じことが繰り返されないようにとビビッドガーデンを立ち上げ、まさに今この1分1秒で課題に直面している生産者の方のことを本当に四六時中考えています

「やらなきゃ死んじゃう」と記載されてます。身体大事に。

弊社は一次産業に関わるスタートアップです。
どこよりもスピードを重視して、技術で生産者の方々に貢献する会社を目指していきます。

今年はコロナの影響を受けた生産者の方が多くいらっしゃいました。
来年も何が起こるかわかりませんが、会社の軸はぶらさずに引き続き猪突猛進して行きます!


リンク集

○年末社内勝手にカウントダウン記事

○エントリーはこちらから!


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