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20240831 夏の終わりにこたつを

さて、8月31日ということで夏の終わりである。去年と今年は夏の間に山の上へ行く用事があり東京の夏から離れて生活している。ときどきスマホに届く東京の自宅周辺の天候の急変を告げる通知が、今年はなんだか多かった気がする。豪雨や雹に見舞われているだろう自宅のことがすこし気になる。

▼「おう、あんちゃんこれから野外劇をやろうとしてるのか。だったら季節は、ちゃんと選ばなきゃだめだぜ……」と、激シブの久保井研さんに言われて「おお、野外劇は季節が大切なんだな!」とあらためて思った。東京の夏は天候の急変も多いし、なによりもクソ暑いし虫も多いしでなかなかいかんともしがたいなぁ、と思う。まあだから都内に限らずだいたいの野外劇やテント劇が春と秋を主なシーズンにしているわけではある。

▼山の上の野外劇は夏の終わりの開催なので、そのためのリハーサルをしている間は夏真っ盛り、ということになる。夏の炎天下で野外で稽古をするとどうなるか(日焼けというか軽度の火傷を負う、黒い床は晴れの日フライパンになるので足の裏が焼ける)ということを肌で感じたりすることができる、またとない勉強の機会になっている。急な雨も降るし手強い虫にも襲われるし日差しは強いし、そういう環境に揉まれたらこれから先、だいたいどんな場所でも野外劇が出来るようになったりするのかなぁ、とぼんやり思ったりもする。

▼今年の春、石畳の広場の上で野外劇の公演をしたときに生まれてはじめて膝にダメージがくるのを感じた。普段は劇場の木の板の上でやっているような演技を、固い固いアスファルトやコンクリの上でやろうとするとからだに大きな負担がかかるんだな、と、身をもって知ることが出来た。演劇だって走ったり飛んだり跳ねたりする。「だからサッカーも野球もラグビーも芝生のグラウンドの上で行うんだな」と、ひとり勝手に納得したりしていた。

▼そういう演者の側のコンディションもそうだけれども、「芝居」すなわち「芝に居て見る」という言葉の語源からしてそれ以上に大切なのは客席の方である。どこでやるかということよりも観客が「それをどこで観ているか」そして「数十分から数時間、快適に観ていられる環境かどうか」ということが、野外劇を成立させる大きなファクターになってくる。

▼今年の自団体での初めての野外劇は5月のなかば、暑くなり始める前の割と気持ちのよい気候のなかで実施することができた。現在参加している山の上の夏の野外劇も時期は8月末だけれども夜公演なので、割と涼しく観やすい環境になってはいる。そんなこんなでいつか果たしたいのは真冬の、雪が降りしきるなかでの野外劇である。スタッフや俳優の防寒対策はまあ頑張ってどうにかするとして、お客さんにはどのようにして観てもらうのがいいのだろう、と考えていた。雪が降るとなるともうホッカイロではどうにもならない。たぶん必要なのはこたつである。客席に人数分のこたつを出して、そこに入りながらぬくぬくと観てもらえればよい。そうしてこたつの向こうで、降る雪がかぎりなく美しく見える演出を、考えなければならない。

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「一枚の舞台の床が、才能のゆりかごに。
野外で自由に演劇を上演できるようにするための所作台をつくりたい。」

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平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co. 第8回公演
戸山公園野外演劇祭参加作品
『若き日の詩人たちの肖像』
2024年 5月17日(金)ー19日(日)
各日18時30分開演(17時45分受付開始・開場)
※雨天決行
於:戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡
https://g.co/kgs/Ksc4VNJ
【公演詳細】

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