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世界を変える旅路

「デザイン経営」に力を貸していただけませんか?

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UZABASEとの出会い

デンマークのデザインスクール「Design school Kolding」での在外研究も終わり、帰国5日前にUZABASE(以下、UB)の採用担当者からLinkdin経由で、上記タイトルのメッセージを受け取った。

僕は、多くの人の縁によって、デンマークの在外研究に辿り着いたので、その背景から、ここでの学びをちゃんと日本に還元したい!願わくは、社会実装されて、世界を変えることにつなげたい!と考えていた。

※デンマークへの軌跡は、以下のnoteから知ることができます。長文なので、お時間がある人のみ、お読みください。

そんな想いもあり「デザイン経営」に力を貸していただけませんか?のパワーワードの魅力はあるものの、少し懐疑的だった。なぜなら、デンマークの学びとの乖離があったからだ。僕がデンマークで学んだことを大きく挙げるならば、次の2つにまとめられる。

1:人々の創造性を高めるために、デザイナーはツールキットをつくる
2:文化と組織のデザインが、デザイナーの仕事になり始めている

👆👆僕のデザインでの学びスライドはコチラ👆👆

正直な話。このメッセージを受け取ったとき、UBで上記の学びを活用できるイメージはなかった。また、多摩美術大学の同級生と立ち上げた、デザイン会社「DSCL Inc.」との関係(恩義)、そして、UB以外の会社(グローバルなデザインファームやスタートアップの事業会社)数社からのオファーも既にあった。※ちなみに、全部Linkdin経由。Linkdin凄い!

様々な心情がある中、UBの成り立ちに共感する部分もあった。それは、UBが3人で起業し、共同経営していること。また、組織崩壊を乗り越えた会社であり、バリューやカルチャーを大切にしていることだった。

2011年に設立したデザイン会社「TRIAND Inc.(現 DSCL Inc.)」も、3人で共同経営していること。そして、2018年当時のDSCLの創業メンバー3人の関係性は最悪だったので、どんな風に乗り越えたのか?それを聞いてみたかった。

(UBが)そんなにデザインの力を求めているならば、DSCLでクライアントワークとして受託すればよくね?スタートアップから上場した経営者ってどんな人なんだろう?どうやって組織を再構成し、乗り越えたんだろう?そんなカジュアルな気持ちもあって、話を聞いてみたかった。つまり、

・DSCLをクライアントワークで売り込み、受注する。
・スタートアップ企業の創業者とつながる。
・組織崩壊を立て直す「銀の銃弾」のノウハウを持ち帰る。

それが僕の「最初の」景色だった。

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意思決定までの深い溝

帰国後から数日がたち、いよいよ初対面の日がやってきた。UBの会議室で緊張して待っていると共同代表の稲垣さんが現れた。稲垣さんの第一印象は、絵に描いたような「誠実な人」だった。僕の立場(自分のデザイン会社を経営していていること&大学院に通っていること)に対し、理解を示し、素直な気持ちを伝えてくれた。だから、僕も本気で向き合おうと思い、クライアントワークに対する自分の考えを伝えた。

大企業の事業開発支援に関するDSCLのクライアントワークを通して、僕はひとつの想いがあった。それは、クライアントワークでは、意思決定の責任が取りずらいこと。その深い溝を超えられない問題があること。そして、自分の膨大な時間を投資し、創意工夫したプロジェクトが、社会実装されにくいことへのジレンマを感じていることだった。

もちろん、そのようなプロジェクトの予算は大きいので、DSCLの売上としては、非常に嬉しい。しかし、自分の「デザインの力」と「時間」をプロジェクトに費やした結果、売上しか世の中に残らないことに、デンマークへ行く前から、虚しさを感じていた。今だからこそ話せるが、大学院を卒業したら、DSCLに所属しながら、別の組織にも所属したい想いはあった。(また、家庭環境が変化したことも要因としてはあった。)

そうして、UBとの初対面は終わった。

・クライアントワークでは、意思決定に深い溝を感じている。

それが僕の「次の」景色だった。

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ミッションの理解

僕は、帰り道に今日のことをふり返っていた。そして、どうしても心に引っかかることがあった。それはUBのミッションだった。

経済情報で、世界を変える。

各種メディアを読む限り、UBがミッションを大切にしていることは、火を見るより明らかだった。僕は、UBのミッションのすべてを共感できてなかった。厳密に言うと、後半部分の「世界を変える。」には超共感していた。でも「経済情報で」という「手段」については、疑っていた。それは、僕のデンマーク滞在から強く影響を受けている。例えば『World Happiness Report 2019』では、デンマークの幸福ランキングは、世界第2位。近年、その他の項目でも、ランキングはトップクラスである。

そんなデンマークの暮らしを体験した僕は、経済情報「だけ」で世界を変えることは難しいのでは?「経済」と「社会」の両輪があるからこそ、世界は変わると考えていた。※デンマークは社会情報(行政サービスなど)も充実している。

世の中に、多くの素晴らしいデザイナーがいる中で、名もなき僕を見つけてくれて、大変ありがたい話ではあったが…。ミッションに共感していない僕が参画することで、不協和音を奏でるとお互いが不幸になるだろうな。と考え、断ろうとした。

お断りのメッセージを書いている時、ふと「英語で」このミッションって、どう表現しているのだろう?と気になった。デンマークでの滞在経験から、日本語の特徴は「曖昧さ」と「情緒の豊かさ」であると学んでいたからだ。そんな、何気ない気持ちで、UBの英語サイトをみると、驚きの事実が待っていた。

Business Intelligence to Change Your World

おいおいおいおいおい。だったら、話は別だよ。「ビジネスの知性が、あなたの世界を変える」だと!僕は、この英語のミッションを読んだ時、初めて、SPEEDAのプロダクトの意味と価値を掴んだのだ。あぁ、SPEEDAって、ビジネスの知性を高めるプロダクト(ツールキット)だったのかあぁ!!


もし、このMissionが「Economic information to Change the World」だったら、僕はこれ以上のコンタクトを進めていなかっただろう。
Business Intelligence to Change Your Worldには、「ビジネスの知性」が「あなた(人)」の世界を変えると明確に書かれていた。「Intelligence」と「Your」という2つのキーワードが僕のデンマークでの学びと紐付いた瞬間だった。

1:人々の創造性を高めるために、デザイナーはツールキットをつくる
👉 人々のビジネスの知性を高めるための「SPEEDA」

僕は、SPEEDAを企業・業界情報のデータベースだと思っていたが、人の能力をエンパワーするためのプロダクト(ツールキット)なんだと理解した。SPEEDAは事業会社の各部署、金融機関、コンサルティングファーム、M&Aアドバイザリーなど、現在では1300社を超える企業に導入されている。

・時価総額トップ100社中、7割以上の導入
・3大戦略コンサル全社導入
・5大商社全社導入
・メガバンク全行導入
・5大証券全社導入
・会計ファームビッグ4全社導入

もし、SPEEDAのプロダクトをリニューアルし、その利用体験を向上し、ユーザのビジネスの知性をエンパワーできれば、日本の経済の中枢から一気に世界を変える可能性がある!そして、僕は次のような志望理由を書き、選考を進めたい想いを伝えた。

私が学んできたデザインとデザインシンキングの本質は、人の潜在的な創造的知性をエンパワーするところにあります。それにより、人がつくる未来の可能性は広がります。私の学びと御社のミッ ションである"Business Intelligence to Change Your World"には、「知性(情報)」と「あなたの世界を変える」という共通項があります。そして、「社会(Society)」というデザインの新たな視座をそこに組み合わせたとき、世界はもっと良い方向に向かうことができるのではないか?そんな未来の可能性を想像できたので、応募しました。

これが僕の「入社したいと思った時の」景色だった。

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文化と組織のデザイン

2:文化と組織のデザインが、デザイナーの仕事になり始めている

もうひとつのデンマークの学び。文化と組織が、今後デザインの対象になることをどうするか?ここは、UBの企業研究を通して、UBが「カルチャー」を大切にする会社であることを知った。この組織に入り、当事者として関わり、その実践知をためれば、新しいデザインの可能性をひろげ、デザイン領域を切り開くことができるとワクワクした。

次世代のデザイン領域を当事者として学びながら、ビジネスの知性をエンパワーして、世界を変える!最高の環境じゃないか!

これが僕の「面談を選考している時の」景色だった。

それから、1年。

2018年10月15日。僕はUBに業務委託として参画することにした。面談中にお互い色々話しても、本当のところは分からない。本当にそれを体現できるのか?できているのか?

だから、約2ヶ月半の間、お互いに見極める意味でも「業務委託」として、まずは入り、もしお互いの認識が異なればバイバイすることにした。なぜなら、バリュー(カルチャー)フィットしていない人が、そこに在籍しつづけるのは、不幸しか生まないからだ。

そして、2週間くらい立って、この会社で働き続けられるイメージが湧き。2019年1月1日、僕は正社員として、UBに参画した。

それこそ、この1年は「ガムシャラ」だった。僕が共同代表の稲垣さん、CTOの林さんからデザインチームを預かった時の一番の課題が「デザインを必要としている他部署の声を誰も拾っていないこと」だった。

だからこそ、デザインの力をつかって、社内にデザインの力を結果で示し、信頼を勝ち取っていくフェーズであると理解し、どんなに小さい仕事も断らなかった(はず)

ちなみに、僕がこの1年でSPEEDAでやってきた概要は、次のスライドによくまとまっています。

とにかく、デザインの力で信頼を得る!

これが僕の「去年の」景色でした。

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世界を変えた体験

世界を変えるといっても、その大小はある。僕がはじめて世界を変えた!と手応えを感じた原体験は2つある。

1億円の物件が売れた話
ひとつは、デザイナーの新人時代。積和不動産「MAST」の吉祥寺で売れ残っていた1億円くらいする、新築一戸建ての4物件のWEBサイトのリニューアルプロジェクトだ。スタイリング、ロゴ、ステートメント、キャッチコピー。すべてに魂を込めてデザインした(そして、はじめて会社に泊まった案件だった)。その結果、サイトリリース約2週間で1物件が成約した。(たしか、1年くらいですべて成約したはず。)

もちろん、WEBリニューアルしたものを見て、反射的に購入したみたいな話ではない。きっと、もっと前から購入検討していたと思う。それでも、僕たちが関わったデザインの影響はゼロではなかったはずだ。リニューアルしたサイトを見て、そこで暮らす姿を想像し、最後の決め手になったのかもしれない。

僕は、この体験で、本当に魂を込めた創作物をつくると、世界が変わる(何かが動く)ことを知った。

RICOH THETAの話
もうひとつの物語りは、全天球カメラ「RICOH THETA」だ。当時の僕のポテンシャルをすべて注ぎ込んだRICOH THETAプロジェクト。ようやくリリースし、数ヶ月くらいが経過した時、僕は街なかで、片手をあげてRICOH THETAで撮影している人を初めて見かけた。

それまで、想像上で考えてきたユーザーが本当に実在し、その人が全天球画像を楽しんでいる姿は、感動ものだった。ここでは、全く新しい撮影スタイルを創出し、世界が変わった(動いた)ことを体験した。また、デンマーク滞在中に周遊したヨーロッパでも、RICOH THETAで撮影している人とたくさん遭遇した。

プロダクトオーナーの生方秀直さんの情熱が海を超え、世界に広がることを間近で見たときから、僕の残りのデザイナー人生は、世界を変えることに費やしたいと考えるようになった。

今度は、このSPEEDAで世界を変える。その手応えを得るまで、デザインの力を使う。それが僕がやるべきことである。

これが、僕の「今の」景色です😁

株式会社ユーザベース
SPEEDA 執行役員 CDO(Chief Design Officer)
平野 友規

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追伸

そして、2週間くらい立って、この会社で働き続けられるイメージが湧き。2019年1月1日、僕は正社員として、UBに参画した。

僕が、UBに入ってUBで働けるイメージが湧いたのは、SPEEDAのオフラインマーケティングを担当している半澤瑞生さんと出会ったからに他ならない。入って2週間たち、とても雰囲気もよく誠実で活気がある会社であることは、すぐに肌感覚で感じた。しかし、1年後もそこで働くイメージがわかなく、これ続かないんじゃないか?と疑義が生まれていた。

そんな中、半澤さんと出会った。会うなり彼女は、なんかよくわからないマウントと、本日開催されるセミナーのスライドを「なぜ、私がつくっているのか?」というリクエストを初対面の僕にぶつけてきた。

僕は、その会話が心地よかった。半澤さんのキャラクターは、ストレートで分かりやすく、とてもオープンだった。猫を被っていなく、ありのままの姿で働く彼女をみて、感性が似ているなと感じ、僕はこの人と仕事がしたいと思った。そして、同い年だったことが最高に嬉しかった。(ちなみに、もちろん、セミナーのスライドは僕がつくった)

その後、半澤さんとは、展示会ブースのアートワークで共創することになる。感性が同じ人と仕事をするのは、最高の体験である。なによりも、不必要なコミュニケーションが発生しない。問題点を感じるときも、長所を見向くときも、そこに議論が発生しない。アイコンタクトとシンパシーで分かり合える最高の仕事のパートナーである。

そんな半澤さんとの仕事が、外部でも評価されたことは本当に嬉しい。

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