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洞窟と蝶

頬骨にさらされた太陽が
まんじりとも動かない

月に見立てた花びらも
その照り返しで動けない

隣で寝ている大きな口が
突然,あたりいちめん
部屋いっぱいのあくびをした

ますますねじれた布団の中の
わずかな隙間で耳を塞ぐ

目覚めてしまう。しまう、しまう。

心臓が喋り出した

おいでおいでおいで
心臓は私を招き入れると
ぴたりと二重の扉を閉めた

ねじれた血管
無数の動き

その洞窟に身を寄せて
しばらくじっと
波打つ鼓動に揺られていた

ずいぶんたって
まだ慣れない呼吸を飲み込むと

大きな吐息が、巨大な蝶のように飛び出した

満天のそら

一つの呼吸が始まった

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