山際淳司『みんな山が大好きだった』
冒険家のノンフィクションは面白い。この本は、スポーツノンフィクションの先駆け、故・山際淳司さんが雪煙に消えていった男たちを振り返った一冊。鮮烈に生きるということはどういうことかを教えてくれる。
この本は「男にとって“幸福な死”と“不幸な死”があるとすれば、山における死は明らかに前者に属するのではないかと思う」というまえがきからはじまる。ティム・オブライエンの小説『本当の戦争の話をしよう』の中で、「死とすれすれになったときほど、激しく生きているときはないのだ」という言葉があっ