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これはただのスターウォーズ便乗本ではない 芳賀靖彦『ジェダイの哲学』

この本、ただのスターウォーズ便乗本ではない。行き詰まったとき途方にくれたとき、人生とどう向き合っていけばいいのか、自分はこれまでの人生で何度も読み返してきた。

思想や哲学は師匠と弟子の対話形式で受け継がれていくことが多いけれど、この本でもジェダイが弟子(パダワン)に語りかける体裁となっている。

本書の魅力は落合陽一の推薦文「我々は受け身でありながら思い通りの自然を描くことができる」という一言に詰まっていると思う。

ジェダイは、未来はつねに揺れ動いていて、いま「この瞬間」によって決定づけられると言う。経験とはしょせん「過去」のもので、まったく同じ状況が起こることはありえない。だから、ジェダイはつねに「今」どうすべきかを大切にする。

世界は一瞬一瞬たえず変化しつづける。すべての可能性をオープンにとらえ、手放し、五感をフォースにゆだねる。そして「自らの意志で受け身になることこそが主体性なんだ」と言う。大きな流れに身を任せることと、確固たる自分を持つことは両立できると教えてくれる。

その考え方は老荘思想や禅、マインドフルネスに通じる。エピソード1~6までのスターウォーズは神話であり、思想があり哲学があり宗教がある。

どんなにわかりやすい哲学書でもスターウォーズにはかなわない。これはその思想をわかりやすく伝えてくれる。編集者の人のアイデアとスターウォーズ愛に感服します。

以下、心に刺さるフレーズを抜粋。

自分は正しい道を進んでいない気がするって?その感覚は大切にしなさい。日ごろ感じる「満たされない」「自分の居場所はここじゃない」という違和感を。なぜならきみは歩むべき道を遠回りしているのかもしれないんだ。フォースが「ちがう、ちがう。そっちの方向じゃない」と呼び止めている可能性があるぞ。
きみが得意なことはなんだ?幸せと感じることは?人生をとりまくひとつひとつの要素を客観的に、あるいは集合的に眺めてみるんだ。そして自分にとって一番しっくりくるものをやりなさい。その感覚に先導してもらうのだ。
悲劇も人生の一部なのだ。苦しみは必ずある。よい部分だけを切り取って「人生」と呼ぶことは不可能なのだよ。
経験とはしょせん「過去」のものだ。まったく同じ状況が今後起こることはありえない。だから、ジェダイはつねに「今」どうすべきかを大切にする。一瞬一瞬たえず変化しつづける世界と同調するために、すべての可能性をオープンにとらえ、手放し、五感をフォースにゆだねる。自らの意志で受け身になることこそが主体性なんだ。
なるほど、きみは苦労をしなければ、何かを成し遂げられないと思っているようだ。しかし、それはきみが信じている現実に過ぎない。現実とは自分の信じた世界なのだよ。
恐れることははずかしいことじゃない。人はだれでも恐れる。その感情を否定せず、認めてあげるんだ。そうすれば、恐れは解放される。
きみは何かを「しよう」とする必要はない。だれかの役に立つ必要もない。ただ無心に自分でありつづけてさえいればいいのだ。
未来はつねに揺れ動いている。未来はつねに「この瞬間」によって決定づけられるからだ。
死ぬことは生きることの一側面なのだよ。けっして生の反対などではない。生と死があって完全なのだ。


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