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さやさやと(「塔」2023年9月号 掲載歌)

「塔」の9月号が届きました。
いろんな方に自分の歌をご覧いただければと思い、掲載歌をnoteに記録しています。

自分では居たくないときどうやって自分に嘘を吐いてあげよう

掃除機の匂いが満ちている部屋の雨の最小単位は涙

音を立てたくなさそうに横を向き右頬できゅうりをりりと食む

愛として差し出されても戸惑うよ手のどこでどう触れたらいいの

ひと駅も行けば始発も出るだろう夏から離岸しそうな時間

青時を混ぜたら緑どうしても世界はそれが前提という

さやさやと袖振り合って葉のように風の向くまま陽の注ぐまま

「塔」(2023・9)P.160-161

前田康子さん選。
選歌後記で掃除機の歌を引いていただきました。

「七月号 作品一首評」のコーナーでは、石川休塵さんにベランダの歌を引いていただいています。上句をもとに歌の意匠の可能性について示したあと、短歌と俳句の比較を展開されていらっしゃいます。
芭蕉の句、読み直したいと思いました。

前号の掲載歌はコチラからお読みいただけます。

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