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あるカーデザイナーとの ”異業種交流”

 CASEと呼ばれる言葉を最近よく聞きますが、これはConnected(つながる)、Autonomous(自動化)、Sharing(共有)、Electrification(電動化)の頭文字を表し、次世代自動車の技術進化方向性を示すものです。自動車業界と言えば、日本の基幹産業の一つ。その裾野は広く、生み出す雇用も非常に大きいので、日本勢と海外勢の競争など関連記事から目が離せません。

 私は経理の視点でnoteの記事を書いていますが、想定読者は経理以外の方。いわば「異業種交流」を楽しんでいます。先月、『工場経理のリアル(経理マンの職場)』をnote記事にしSNSでもシェアした結果、経理以外の方から「経理が体育会系とは意外!面白い」、経理関係の方から「人材育成を考えるきっかけとなった!」等、大変ありがたいフィードバックを頂きました。中でも「製品原価」について考えるきっかけとなりました、あるカーデザイナーからのコメントを紹介致します。

あるカーデザイナーとのnote上のやりとり

 以下のコメントのやりとりについて、後ほど解説を加えさせて頂きます。

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カーデザイナーと経理マンの立ち位置の違い

 ご紹介が遅れましたが、Chinpan Sさんは、記事『あるカーデザイナーのクルマ選び』がお気に入りのマガジンで、私の方からフォロさせて頂き、今はありがたいことに、相互フォロさせて頂いております。

 noteを始める前の私の偏見は「デザイナーと経理マンは水と油」。デザイナーは”お金で測れない感性”で仕事するので、デザイナーにとって経理マンはタダの「面倒くさい奴」。経理マンにとってはデザイナーは意味不明なところにお金をかける「異星人」。もし両者が同じ組織に属するのであれば、両者が歩み寄らないと組織のパフォーマンスが上がらないところが、組織マネジメントの難しいところだと感じています。

 で、カーデザイナーのChinpan Sさんは、デザイナーの観点から”お金に絡むコスト”にアプローチをかけています。デザイン活動をするにしても活動予算が必要。ゆえにデザイナーやモデラー軍団を束ねるにはコスト意識が必須、しかも、より高い視座で。自動車をデザインするには、単にカッコいいデザインスケッチを描くだけではなく、実際に製品としての自動車が製造されるところまで想いを馳せている、と感じました。

 下図は、「バリューチェーン分析」(出典:ビジネス+IT『バリューチェーン分析とは何か? スターバックス「成功」の理由を解き明かす』)の解説図ですが、工場経理の守備範囲は主に「製造活動」周辺に留まるのに対し、カーデザイナーのChinpan Sさんの視座は、より広く捉え、購買活動、マーケティング活動等広く含んでいると解釈しています。

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 冒頭にもありました、自動車業界のCASE対応は緊急の課題だと考えています。海外勢とのコスト競争の気概を感じたカーデザイナーのChinpan Sさんのコメント。経理マンの立場でも、工場経理のみに留まるのではなく、生産領域周辺の研究領域や購買領域等、高い視座から物事を見極める感性が必要だと感じました。

補足:デザイナーやモデラーたちの想い

 ”定性の世界”のデザイナー”定量の世界”の経理マンの交流のもう一つのエピソードをご紹介致します。

 仮にですが、自動車メーカーの開発現場、特にデザインの現場で経理をしているシーンを想定。非常に高価な照明器具の設備投資があったとします。この照明器具を、”デザイン部門の活動の一種”で片づけるか、もしくは、この照明器具の使っている背景をデザイナーやモデラー達に教えを乞うかで、経理上の数値の説得力が全然異なってきます。

 どうも、この照明器具の正体は世界各地の太陽の当たり方を再現する設備とのことでした。ここまで情報を入手すれば、この照明器具の価値を”定量の世界”で表わせます。今まで試作段階の自動車を海外に運送しデザイン評価していましたが、この照明器具の導入で、開発期間の短縮や費用の削減をシミュレーションできるということです。

 Chinpan Sさんの言葉を引用すれば、「車の外観の面は、その車が置かれる場所や季節、時間による太陽の当たり方でいろんな表情を醸し出します。アメリカの周りが開けた環境でカッコ良く見えるシルエットやヨーロッパの石畳や石壁が映り込んだ時に味わいを感じる面など、車が魅力的に見える状況はいろいろ」とのこと。最後にこう締めくくります。

 「皆さんも、もし、機会があれば、車を停めた時にちょっと離れてその車を眺めて、どんなつもりでこの車がデザインされたのかなぁと思いを巡らせてみてください。デザイナーやモデラーたちの想いを垣間見ることができるかもしれません。

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<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>





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