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食卓からの税金のお話【新年のご挨拶】

「2023年の始まり~いやぁ~めでたいなぁ~♪ 値上げだぁ~、増税祭りだぁ~♪ わっしょい!わっしょい!」

「ひどいっ!ひどすぎる!・・・政治家のトンチキ野郎どもめ!何が”増税祭りだ~”だぁ?皆、カカシ頭かっ?!ウスらトンカチ野郎どもめっ!!・・・国民の給料も上がらないし。生活は至る所が税金だらけ・・・」

すると嫁がボソッと一言・・・「禁煙すれば良いのに~。そしたら、たばこ税は払わなくて済むわよ!」

図①:食卓みても税金だらけですね・・・。

 2023年がスタートしましたね!皆さん、明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。今回は身近な税金のお話をします。

1.食卓を囲む税金たち。どう区分する?

 先ほど見てきた食卓の風景。本当に税金だらけですよね。日本の主な税金は実に50種類もあり、法律によっていくつかの点で分類されています。

1-1.国税と地方税

 第1に、「どこが集めるか?」です。聞きなれない用語ですが、税を集める側を「課税主体」といいます。日本の課税主体は国と地方公共団体です。
 国が集める税を「国税」といいます。政府がおこなう活動の財源になる税で、上図①では、所得税を始め、酒税、消費税そしてたばこ税が該当します。国税に対し、地方公共団体が集める税を「地方税」といいます。都道府県や市町村など地方公共団体がすすめる活動の財源になる税で、上図①では、住民税を始め、消費税そしてたばこ税が該当します。

1-2.直接税と間接税

 第2に、「納税者と担税者が同じかどうか?」です。納税者とは税金を納める人のことで、担税者とは実際に税金を負担する人のことです。
 この納税者と担税者が同じ税を「直接税」といい、上図①では、所得税と住民税が該当します。他方、納税者と担税者が異なる税を「間接税」といい、上図①では、酒税、消費税そしてたばこ税が該当します。

 間接税、少しわかりにくいですよね。例えば消費税を例に説明しますと、皆さんが1,500円の書籍を買うと、10%の消費税150円がかかります。皆さんは150円の税金を払ったことになりますが、お店に税金を渡していて、国や地方自治体に納めていません。お店が150円分を預り、年に一度、間接的にまとめて税務署に納めているのです。税務署は日本全国に500ヶ以上あります。

1-3.食卓以外も税金だらけ

 では外に目を向けましょう。外も税金だらけです。

図②:外をみても税金だらけですね・・・。

 第1に、「どこが集めるか?」で区分します。上図②では、「国税」は法人税と相続税が該当し、「地方税」は自動車税と固定資産税が該当します。
 第2に、「納税者と担税者が同じかどうか?」で区分します。上図②では、法人税、相続税、自動車税そして固定資産税の全てが「直接税」に該当します。

2.税金とライフステージを”ざっくり”解説

 今度は「税金とライフステージ(人生)」について見ていきましょう。日本の主な税金は実に50種類もあり、人生の様々なライフステージで税金が関わってきます。

2-1.国税とライフステージ(人生)

 まず「国税」。皆さんお馴染みの「消費税」は、国にとってありがたぁ~い財源ですが、お年寄りから子供まで、貧富の差も関係なく負担する税金です。「酒税」については、後ほど詳しく見てまいります。”お酒は二十歳になってから!”です。
 そして税収の中で一番大きな割合を占める「所得税」。会社に勤めて給料をもらったり、銀行にお金を預けて利子を得たときにかかる税金です。また会社を起業すると「法人税」もかかります。そして最後に、人が亡くなるとその人の財産が家族や近親者に引き継がれ、その財産に課税されるのが「相続税」です。

図③:「国税」とライフステージ(人生)

2-2.地方税とライフステージ(人生)

 次に「地方税」。ん?ここでも「消費税」が登場していますよね。ざっくり説明しますと、先ほどの国税の「所得税」とセットで「住民税」。そして「法人税」とセットで「事業税」が登場してきます。
 そして18歳になると「選挙」にいけます。そう、選挙は民主主義を支える根幹で、冒頭の政治家に対してもチェックしなければいけない訳ですよね。あと自動車の免許を取得出来るのも18歳。自動車を購入すると「自動車取得税」がかかりますし、自動車を所有し続けると毎年「自動車税」を納めなければなりません。あと燃料のガソリンにも「揮発油税」という税金がかかります。自動車産業も税金だらけ・・・。自動車産業の声を代表する政治家の皆さんにも活躍を期待したいところです。
 私たちが住む家や駐車場などにかけられる税が「固定資産税」です。税額は、自治体が定めた価値を基準に決定。土地や家屋の価値を決める調査は3年ごとに行われますが、税の仕組みが複雑に加え、一度に沢山の土地を調べるため、とてもミスが多いことも聞いたことがあります。

図④:「地方税」とライフステージ(人生)

 上図③④を比較してみても「消費税」の存在感は「ハンパない」ですよね。後で「消費税」をじっくり解説していきたいのですが、皆さんは「たばこ税」「酒税」の存在も気になるのでは?・・・消費税の前に「たばこ税」と「酒税」を”じっくり”解説していきます。

2-3.たばこ税と酒税の「へぇ~っ!」

 まず「たばこ税」について解説します。たばこは、もともと国だけが販売できる専売品でしたが、1949年に日本専売公社に引き継がれ「たばこ消費税」が導入。40年後の、1989年の消費税導入の際、現在の名称に変更されました。実は1本のたばこに、国たばこ税、地方たばこ税、たばこ特別税、消費税という4つの税がかけられています。
 「他の先進国と比べると日本のたばこの値段は安く税率も低い」という話を聞いたことがあるかもしれませんが、たばこ税を高くしようという動きは世界の潮流になっていると言われています。

 次に「酒税」について解説します。ビールや日本酒、ワインなどにかけられる税金です。原料や製造方法によって税額は変わり、高級なお酒には高く、一般によく飲まれる酒には安く、という考えが適用されています。しかし発泡酒などの登場で、この考えも時代に合わなくなり、将来は発泡酒もビールも同じ税率に統一されるのでは、との意見もあります。

3.知ってるつもりで・・・知らなかった消費税

 前の「2.税金とライフステージを”ざっくり”解説」でも存在感を示した消費税。改めて「消費税の仕組み」を見ていきましょう。

3-1.どんな取引に課税されるか?

 事業者がお客様から代金を受け取る取引には、いろいろ種類があります。全ての取引に対して消費税がかかる訳ではありません。どんな取引に消費税がかかるのか見ていきましょう。

 消費税の対象は「国内課税取引」と「輸入取引」です。「輸入取引」これは保税地域から引き取られる外国貨物に対し、引き取りの時までに申告書の提出と消費税の納付が求められています。「国内課税取引」は後ほど解説していきます。

 他方、消費税のかからない取引には、土地の譲渡や利子などの「非課税取引」、輸出取引などの「免税取引」、配当金などの「不課税取引」の3つの取引があります。この3つに区分している理由は、消費税の申告書作成で「課税売上割合」という計算で影響を受けるため3つに区分しています。

3-2.改めて「国内課税取引」とは?

 消費税法第5条第1項で、事業者は「国内において行った課税資産の譲渡等につき消費税を納める義務がある」とし、同法第2条1項八号で、その課税資産の譲渡とは「事業として対価を得て行われる資産の譲渡およ貸付ならびに役務の提供のうち、非課税取引以外のものをいう」とされています。
 法律の条文を引用しましたが、イメージがつきやすいようにイラスト図解してみました。

図⑤:消費税法の条文「国内取引」の意義をイメージしてみました。

 ①の”日本国内で”とは、例えば、アメリカ国内で行われた取引に、日本の消費税はかからないということです。
 ②の”事業者が”とは、個人事業者と法人を意味します。例えば、サラリーマンが受け取る給与には消費税がかかりません。
 ③の”事業として”とは、取引が反復、継続、独立して行われることを意味します。例えば、個人事業者の自宅の売却には消費税がかかりません。
 ④の”対価を得て”と⑤の”資産譲渡など”とは、反対給付を受けることを意味します。例えば、自宅を子供に贈与しても、また配当金に対しても消費税はかかりません。
 ⑥の”非課税取引ではない”とは、例えば、土地の譲渡は①~⑤の要件を満たしますが、非課税取引(全13種類)とされているため、消費税がかからないということです。

 次で、13種類の非課税取引を見ていきましょう。ちなみにこの区分列挙は国税上でも公表されていますが、奥村佳史『消費税がよく分かる本』秀和システムを参考にしています。

3-3.13種類の「非課税取引」とは?

 上図の①~⑤の要件を満たしても、消費税法の規定により消費税がかからない取引を「非課税取引」といい、全13種類あります。

1  .土地の譲渡及び貸付
2  .有価証券等の譲渡
3  .利子、保険料等
4  .切手、印紙、商品券等の譲渡
5  .行政手数料、外国為替業務
6  .医療費
7  .介護サービス、社会福祉事業等
8  .助産にかかる資産の譲渡等
9  .埋葬料、火葬料
10.身体障害者用物品の譲渡、貸付等
11.学校の授業料、入金等
12.教科用図書の譲渡
13.住宅の貸与

13種類の「非課税取引」(引用:奥村佳史『消費税がよく分かる本』秀和システム)

3-4.最後に「軽減税率制度」とは?

 2019年10月1日に消費税率が8%から10%に引き上げられると同時に、軽減税率制度が導入されました。軽減税率制度とは、酒類・外食を除く飲食料品の譲渡と定期購読契約が締結された新聞の譲渡について、消費税率を8%にする取り扱いです。
 店内飲食とテイクアウトの区分について国税庁がガイドラインを示すなど、販売現場での混乱が見られました。また食玩(おまけ付きお菓子)も混乱した業界の一つです。以上、ざっくり図解しました。

図⑥:軽減税率の対象。食玩業界も軽減税率の導入で販売現場が混乱しました。

 さらに請求書についても、2019年9月30日までの記載事項に加えて、軽減税率の対象品目である旨と、税率ごとに合計した対価の額を記載した「区分記載請求書」等を交付・保管することが必要となりました。
 この「区分記載請求書」等保存方式は、2023年10月1日からの「適格請求書」等保存方式(=インボイス制度)までの暫定対応。実は3年以上前からインボイス制度の伏線?があったということですね。インボイス制度については『図解!インボイス入門』をご参照頂ければ嬉しいです。

<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>

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