記事一覧
「今宵ローゼの花影に」冒頭
さあ、暮れました、暮れました
アポロンの馬車は夕を引き
今日も畳める座興の後に
九人の女神、夜の狭霧
ふるえば人の世の憂い
落ちて弾みて身に沁みる
今宵ローゼの花影に
「アンネリダ這いて」
私は、硬直した死体とワルツを踊りながら
永い永い夜を越えるのです。
そして朝(あした)、アンネリダの這う
蝋のようなる手の甲に、キスをして別れます
人の消えたダンスホールで
アンネリダだけが踊っている
クイックの得意な彼らは
きっとルンバを踊っているのでしょう
その楽し気な光景に
私も参じて行きましょう