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ルヴァンカップ優勝と「明日も」

2019JリーグYBCルヴァンカップFINAL
北海道コンサドーレ札幌 vs 川崎フロンターレ
今まで生観戦した試合の中で”史上最高の試合”でした…
そんな史上最高の試合と、ルヴァンカップへの思い。そして名曲「明日も」について書かせてくださいお願いします。

とりあえず、名曲「明日も」を聴きながら読んでください〜

試合前半 「脳裏をよぎるのは悪夢」


いつもの通りなのか…FINALでは6度目となる先制点を喰らう我らがフロンターレ。周りのサポーターも「またかよぉおおおおおおおお」と頭を抱える。

幾度となく先制点を奪われ、そして逆転できずに負ける。
「シルバーコレクター」と揶揄された、この不気味なジンクスがフロンターレサポ全員の頭をよぎっただろう。
それでも今回のFINAL、周囲の反応はいつもと違った。”リーグ連覇”エンブレムの上に輝く2つの星は、サポーターの心に誇りと余裕を与えていた。
かく言う自分も「まあ大丈夫!ここからだ!」とチームを信じて応援できた。


その後、フロンターレの猛攻が続くもダミアンのシュートはポストに嫌われ、決定機を中々ものにできない。
「ダミアンなんでだよおおお、いつものお前なら決めてくれんだろぉおおお」
ブラジルからやって来たスーパーマンでさえ、この不気味なジンクスに飲まれてしまうのか…

蘇るのは2年前の悪夢。立ち上がりの失点後、点が奪えずに悪戦苦闘。最後にパウロ・ソウザに留めを刺された、2017のルヴァンカップFINAL…
ハーフタイムに近くにつれ、周りのサポーターも祈るように手を握る人が増える。

「もうあんな思いはしたくない…!」

その思いに応えたのが、リーグ戦初優勝時に決勝点を決めた男・阿部浩之!!
冷静にボールをゴールに流し、同点のままハーフタイムへ。

正直、阿部がゴールを決めていなかったら飯も喉を通らないサポーターが増えて、埼スタのフードの売り上げはガクンと落ちていたと思う。

ハーフタイム 「コンササポ半端ないって」

この日、なんと言っても凄かったのがコンサドーレサポーターの声量。

本当にハンパねぇ声量でした。
人数的にはフロンターレサポが多いのに、声量と統率感と…
相手サポーターに畏怖を感じたのは鹿島以来…
ハーフタイムの大合唱を聞いたとき思った

「これ今日は簡単な試合じゃないな…」

昨シーズン、フロンターレはコンサドーレに圧勝していたこともあり、今までのFINALよりは余裕で勝てると思っていたサポーターも多いと思う。
けどそんな考えは、コンササポの大声量に一瞬でかき消されてしまった…

試合後半 「千両役者・小林悠」

試合後半。
なんと言ってもこの男・小林悠。

今シーズンは元ブラジル代表エースのレアンドロ・ダミアンとのレギュラー争いもあり、出場機会も限られていた。
でもでもでもでもやっぱり!悠はすげぇ!

十八番の裏どりから、大島からのフライパスを冷静にトラップ・そしてシュート!
そしてサポーターに向かって咆哮。
実はこの日一番感動したのはこのシーン。
何度も何度も苦杯を味わい、日本代表のチャンスも幾度となく怪我で逃した悠。
そんな悠が逆転ゴールを決め、エンブレムを掴み、咆哮する…

「なんて綺麗なエンディングなんだ…」

そんな感慨にふけっていた最中、ラストプレーはコンサドーレのコーナーキック。
勝利の歌「AVANTE」を歌うフロンターレサポ。誰もが勝利を確信していたが…

「嘘だろ、オイオイ…」
「またダメなのかよぉおおお」
「ふざけんなよぉおお」

こんな声が四方から聞こえてくる。
ようやくようやく、五度目にしてようやく取れると思った。
なのに、何でだ…
天はフロンターレになぜここまで試練を与えるのか…
延長前のオーロラビジョン。憲剛の若干不安げな顔が見える。
5度中、4度のFINALを経験している憲剛。

「頼む、憲剛にルヴァンカップを掲げさせてくれ…」

延長戦  「福森にそこで蹴られたらそうなるわな」

延長戦、前半にゴール前で谷口がファウルをして退場。
勢いは完全にコンサドーレにあった。そしてFKを蹴るのは…元川崎フロンターレ、そして地元川崎の名門・桐光学園出身の福森晃斗。

フロンターレサポとコンササポはよく知っているだろうが、福森はFKの名手。
同じ高校のOB・中村俊輔を彷彿とさせるその左足。

「福森にとっちゃあんなのPKと同じだよ」

後ろのサポーターがそんなことを言っていたが、おそらく大半のフロンターレサポは同じことを思っていただろう。
逆転されて辛いと同時に、フロンターレ出身の福森の恩返し弾。
何とも言えない気持ちになる。そして襲ってくるのは絶望…

「また取れないのか…」

この自虐煽りVが本当に煽りになってしまう…
正直、自分の心はもう半分諦めていた。

また悲しい思いをしながら浦和美園駅まで歩くのか…
敵の勝利の歌を聴きながら…

けど、ピッチの選手は諦めていなかった。

「マジかあああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」

あり得ないくらい叫びました。
知らないおじさんと抱き合いました。

「違うぞ、やっぱり今度のフロンターレ は違う!!」

そしてPK戦へ…

PK戦 「苦労人・新井章太」

PK戦、車屋が外した時、すいません、また諦めてました。
コンサドーレの選手がピッチを駆け回る映像まで脳裏に浮かんでしまっていました。
「でも新井さん止めちゃったよ」
思わず笑ってしまった。こんなドラマみたいな展開ある???

韓国代表GKを押しのけて、東京Vをクビになってから大久保に鍛えられ…
常に影からフロンターレを支えて来た新井。
そんな新井が活躍するなんて…筋書きが綺麗すぎてドラマにも採用されないよ!

そして優勝した…
ようやくようやく優勝したんだ…名前も変わっちゃったけど
このルヴァンカップでようやく優勝したんだ…

川崎フロンターレにとってのルヴァンカップ

TVの中継でも言われていたが、フロンターレにとっては5度目のルヴァンカップ決勝。

最初は2000年。この時は自分はまだ小1でフロンターレもサッカーも知らなかった。フロンターレはできたばかりでJ1に駆け上がり
(正確には一度目のJ1昇格戦では敗れている。”博多の森の悲劇”でググってください)、王者・鹿島と激突し0ー2で敗れた。

2回目は2007年。自分は国立で観戦していた。当時は森勇介が大好きで、森のコンフィットTシャツを買ったのを覚えている。2005年に悲願のJ1昇格を果たし(これもまた前年の2004年に勝ち点1差で昇格を逃すと言う悲劇を味わっている…)、2006年は当時の二強、浦和とガンバに割って入りリーグ戦準優勝。

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いよいよタイトルをとって然るべきチームになったと思った。
しかし忘れもしない。憎き安田理大にゴールを奪われG大阪に0ー1の敗戦。

そして3回目は2009年。相手は多摩川クラシコのライバル、FC東京。

当時、自分は部活の帰りの電車の中でガラケーを握りしめ、ゲキサカの速報を何度も更新した。
米本のミドル・平山のゴール…またしても打ち砕かれたタイトルの夢。

この時のフロンターレ、表彰式で悔しさのあまりに何人かの選手がよろしくない態度をとってしまった。特に自分の大好きな森勇介はガムを噛みながら、高円宮殿下の前を通ると言う失態。憲剛もシルバーメダルをすぐに外すなど、”バッドルーザー”となってしまった。

ちなみにこの間に2008・2009のJリーグ準優勝もあり、シルバーコレクターだのタイトル童貞だの、無冠ターレだの揶揄され始めたのもこの頃からだったと思う。

4回目の挑戦は少し間が空き、2017年。

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相手はこのシーズン、ボロ勝ちしていたセレッソ大阪。
(2007年も2009年もファイナルの前にリーグ戦でボロ勝ちして、そしてFINALで負けているので、ボロ勝ちは負けフラグなのかもしれない)

風間監督体制を経て、天皇杯で再びの準優勝を経験。
正直思った、もう勝たせてくれよ!

それでも勝てなかった…

フロンターレ番記者のいしかわごうさんの記事。

憲剛の言葉「どれだけ(経験を)積めばいいのか。正直わからない。」

この言葉が悲痛すぎて、悲しすぎて…
フロンターレは一生優勝できないんじゃないかとさえ思ってしまった…

しかし、この年のJリーグでフロンターレは大逆転優勝!
ここから真の強豪・川崎フロンターレの歴史が始まった。

名曲・「明日も」

今度はしっとり版をどうぞ

この悲劇的な準優勝となった2017年、ブレイクを果たしたガールズバンド「SHISHAMO」
その代表曲「明日も」はこんな誕生秘話が…

この歌の歌詞に出てくる”ヒーロー”はフロンターレの選手たち。
いいことばかりじゃなかった、何度も倒れても、挫けそうになっても、泣いても、誰よりも早く立ち上がって再び戦って来たのが川崎フロンターレと言うチーム。

報われるかもわからずに走ってきたこのヒーローたちは、この「明日も」の発表された2017年に初優勝した…
彼女たちのブレイクと、「明日も」と言う曲と、そしてフロンターレのルヴァンカップ準優勝とリーグ初制覇。

ルヴァンカップの準優勝時、この歌の歌詞がすごく滲みた。

”痛いけど走った、苦しいけど走った、報われるかはわからないけど”

この歌詞を聴くたびに、憲剛が走り続けている姿を想像してしまう。
特に準優勝後、「本当に報われないんじゃないか」と思いながら聴くと励ましの曲なのに胸が苦しくなってしまった。

けれどもその年に、リーグ戦初優勝…
折れずにひたすら走り続けてきたチームは遂に報われた…

SHISHAMOと「明日も」がフロンターレにとって特別な存在となったのはこの経験があったからだと思う。

試合を終えて…

試合を終えて、ルヴァンカップ優勝にひとしおに染まり、歓喜に浸った後。
それでもこのFINALの余韻が残っている。

それはきっと、コンサドーレのお陰だと思う。
最高のFINALで最高の相手・サポーターと対戦できたことが、何よりも素晴らしい思い出になっている。

コンサドーレサポーター、本当に凄かった。

声量ももちろん、遠く北海道の地から台風を乗り越えて来たサポーターの気迫は凄まじいものがあった。

だからこそ、コンササポの悔しさを考えてしまう。
カップ戦・リーグ戦を踏まえると、何度も優勝に後一歩のところで挫かれて来たのがフロンターレの歴史。
準優勝がどれだけ悔しいか、辛いか、虚しいか、それは痛いほど理解ができる。

コンサドーレは同じJ2オリジナル10、そして川崎発祥のチーム。
何だか他人事とは思えない。
きっと、いや、必ず報われる時が来る。昨日のコンサドーレの選手・サポーターを見て確信しました。

SHISHAMOの「明日も」の歌詞の通り

きっとコンサドーレは何度挫けても立ち上がって走るチームだと思います。
コンササポは何度も昇降格を繰り返している故に、きっとフロサポよりはタフかもしれない。

だから、良いことばかりじゃないけど、信じて応援すれば必ず結果は出ると思います。

Jリーグ最終節、お互いがどの順位にいるかは分かりませんが…
アウェイの北海道コンサドーレ札幌戦。
いい試合にしましょう!

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