【じーじは見た!】 前編:複雑系のマネジメント ~根性論と属人化が好きな日本人~
ばーばは、とにかく私の本を処分したがるのです。
「老後の楽しみだから置いておいて」と言うのだけど事ある毎にBookoffにもっていけと言うのです。
「二度と読まないって」「書棚から持ってきて本読んでるところなんか見たことない」「最近はnote読んでるんだからそれでいいじゃない」
この攻撃を防ぐためには、役立っているところを見せるしかありません。
たまには書棚の本が役立っている記事を書かなくちゃあ。
そんな訳で書棚から3冊取り出してきました。
①「複雑系による科学革命」(講談社 1997年5月28日初版)
②「複雑系の選択」(ダイヤモンド社 1997年12月11日初版)
③「複雑系のマネジメント」(ダイヤモンド社 1998年2月13日初版)
全部四半世紀くらい前に出版された本です。
私の古い本を守るため皆さんの「スキ」と「コメント」の応援をよろしくお願いします。
✅日本人はどうして根性論と属人化が好きなの⁉
「稲葉ジャパン」に「原巨人」、必ず、監督の名前が頭について、その属人マネジメントのストーリーが大好きな日本人。
そして監督の猛しごきに選手がよく耐えて頑張った結果の成功話が大好き。
根性論が大好きな我々日本人。
これが企業のマネジメントの話になると「トヨタ流ジャストインタイム」「トヨタカンバン方式」と企業名が冠された独自性が大好き。
そんな日本流マネジメントが世界を席巻したのが戦後復興から東京五輪(1964年)を経た70年代、80年代、1985年のプラザ合意まででした。
この間が日本経済・日本流マネジメント快進撃の時代でした。
ところが、米国は、根性論や属人ストーリーではなく「科学」するのが大好きな国民性です。
トヨタカンバン方式は「リーン生産方式(lean manufacturing、 lean product system)」として米国ではトヨタの成果を体系化・一般化しました。
リーン生産方式は、トヨタ生産方式を研究して編み出された方式で、MITのジェームズ・P・ウォマック、ダニエル・T・ジョーンズらの著書『リーン生産方式が世界の自動車産業をこう変える』(1990年)により全米に広まり標準化されていきました。
日本人にはなじみ深い、ビデオデッキのVHSとベータ方式の争いも科学されました。
その研究成果が、結局はGAFAM(Google+Apple+Facebook+Amazon+Microsoft)を産んで日本との差を広げたとも言えます。
ソニー対日本ビクター&松下(現パナソニック)の戦いにソニーが敗れたストーリーも「情緒」で終わりにしてしまう日本人、科学する米国人。
✅収穫逓増の原理をご存知ですか⁉
複雑系の研究では、サンタフェ研究所が有名です。ここの研究所は、科学と経済を融合した研究を重ねてきました。
ノーベル経済学賞を受賞したケネス・アロー教授がスタンフォード大学からサンタフェ研究所へ引っ張り込んだブライアン・アーサー教授のような経済学の専門家が複雑系(Complexity)という科学の研究に没頭するのが米国の強さです。
複雑系では「収穫逓増(しゅうかくていぞう)の法則(あるいは原理)」という言葉がよく出てきます。
経済学の世界には「収穫逓減(しゅうかくていげん)の法則」というのがあって、例えば、畑にどんどん「人(労働力)」を入れて「肥料」もどんどんやってもある一定のところまで労働力と肥料を投入したらそれ以上投入しても収穫が増えないという原理があります。
これとは全く逆で、ある閾値(しきいち)を超えるとどんどん収穫(売上・収益)が増えだすというのが収穫逓増の原理です。
GAFAMのビジネスモデルはこういった「科学」に裏付けされたマネジメントで発展してきました。
noteのフォロワーさんも収穫逓増で増えるといいのですが😊😊
さて、ブライアン・アーサーやビル・ゲイツは、こんな風にVHS対ベータの戦いを解説しています。(②複雑系の選択より抜粋)
技術的にはベータの方が優れていると言われていますが、VHSはシェア獲得競争の過程でちょっとしたアドバンテージを得ることによって、つまり、ほんのささいな歴史的偶然が一挙に拡大し、強化され、ロック・インしたのです。
これは収穫逓増というポジティブ・フィードバックのメカニズムが働いたと考えられます。
実は、80年代の日本のエレクトロニクス企業は、ハイテク市場が不安定であり、収穫逓増のメカニズムがはたらき、独占可能な市場であることを誰よりも知っていたと思う。
90年代に入ってから、アメリカ企業が日本企業の手法を取り入れたとも考えられますよ。(ブライアン・アーサー)
「初期のベータのテープは、VHSの三時間に対し、一時間しか録画できなかった。これでは映画一本またはフットボール一試合を録画するのにも足りない。」
ユーザーはエンジニア好みのスペックより、テープの容量のほうを重視した。
そして、日本ビクターは低いロイヤリティで規格を公開し、互換機メーカーが増え、店頭ソフトもVHSが優勢になり、ベータはシェアを落としていくことになった。
「つまり、VHSはポジティブフィードバック・サイクルの恩恵にあずかったわけだ。」(『ビル・ゲイツ未来を語る』)
✅複雑系の世界へようこそ⁉
ばーばに捨てられそうになっていた図書(もう25年近く前の古い本)ですが、古い感じがしませんよね。
複雑系のマネジメントが話題になって四半世紀、片やGDPが3倍成長(25年間で平均的な給与所得が3倍になった)した国「米国」と給料が上がらない国「日本」の間で大きな差が付いてしまいました。
昭和人は「マネジメントは、情緒より科学だ」といい加減認めませんか?
長くなってしまいましたのでつづきは明日の後編にします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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