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【じーじは見た!】 後編:橘川武郎さん ~日本のエネルギー政策のご意見番~

橘川武郎(きっかわ たけお)さんは、国際大学副学長で大学院国際経営学研究科教授、日本におけるエネルギー産業(電気、石油、ガス等)の研究をされています。

資源エネルギー庁の「総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会」委員でもありエネルギー政策のご意見番です。

その橘川さんの政府に対する「喝」と現実的な提言の後編です。

是非、前編からご覧ください。

✅目標未達の見通しをどうやって埋めるか?

前編で紹介した橘川さんの講演を貼り付けておきます。👇
10分程度ですのでご覧になる時間があれば、是非ご覧ください。

ご覧になる時間がなければ、記事の中で概要を説明していますのでこのまま読み進めてください。

橘川さんの言葉を借りると2030年のGHG(温室効果ガス)46%削減を達成するための電源構成は、再エネ+原子力で約60%にもっていく必要があるのだけれど、原子力は、どんなに甘く見積もっても5~7%目標未達となり、再エネ+原子力では約15%くらいの目標未達となる見込みだそうです。

よく新聞紙上では「野心的な目標」という言葉で高い目標をポジティブに伝えられます。

しかし、事が8年しか時間が残っていない2030年の電源構成の目標となれば実際には「誰も責任を取らない非現実的な目標」と言い換えた方がいいのかもしれません。

実は、実際の責任は、結局国民が取ることになります。

橘川さんが示唆しているように「※未達分は諸外国から排出権を税金で買ってくる」ことで埋めざるを得なくなるからです。

※パリ協定は、国連で温室効果ガスの削減量を決めて割り当てる方式ではなく、各国が自分で決めた目標を国連にコミットする方法が取られています。日本が2030年に2013年比46%削減という目標をファイルしたら、それは必達目標になります。自分で決めてファイルした目標ですので必ず達成するというのが国際条約を批准するということです。仮に未達なら、国として排出権を他の国から買って(ファイルした目標を達成して余裕がある国から)でも達成が義務付けされることを理解する必要があります。

「再エネ最優先」は、大変結構なのですが、必達目標であるにもかかわらず原子力の議論を封印して何の議論もないまま、原子力20~22%という帳尻合わせの数字だけを残して、新設も建て替え(リプレース)も「しない」と言っていることが問題なのです。


✅原子力への考え方を示すべきである⁉

私は、主権者たる国民のリテラシーは、ちゃんと情報を与えて説明さえしてくれれば、何が何でも「反対」という訳ではないと思います。

しかし、「選挙」を考えると橘川さんの言われるように、日本では「原発の新設やリプレースは不可能」なのかもしれません。

それなら、政権与党として自民党は「原子力は、安全が確保できたものを最低限再稼働させるが、依存度は極小化していく(小泉環境大臣はそんな発言をしています)」と宣言して、グリーン成長戦略からも原子力は削除してしまう明確な方針を示すべきだと思います。

その際には、橘川さんが説明しているように将来の高コスト電力を正直に国民に説明して、国民が高コスト電力(世界で断トツに高コストな電力)を受け入れて「どんなに安全だと言われても原子力は嫌だ」「場合によっては計画停電も受け入れる」ことを国民自身に選択する機会を持たせてもらいたいと思います。

情報を与えられずに何となく原子力は恐い、何となく電気自動車の方が環境に良さそうだという感覚と、失言報道しかやらないTVのマスコミ報道だけを頼りに国民が、このまま常温冷却可能なSMR(小型原子炉)すら諦めていいとは、じーじは思いませんが、決めるのは国民一人ひとりの一票です。

それが民主主義です。


✅橘川先生の言う「日本生き残り策」⁉

原子力が駄目だというのなら、日本は、既存の火力発電インフラを使い倒す施策を取るべきである。

それは①※アンモニアを既存石炭火力で活用、②※メタネーションによる既存ガス管の活用、ここに資源(人・物・金)を集中すべきだ。

※アンモニアや水素は燃焼しても二酸化炭素の排出がなく化石燃料の代替として有望視されています。特に、水素は燃料として燃やすだけでなく、酸素と反応させた際に電気ができるしくみを利用した燃料電池の普及が期待されています。しかし、日本の先行技術だった燃料電池車もインフラ整備が後手にまわって韓国・中国・ヨーロップ勢に負けそうです。

※メタネーションは、CO2とH2を反応させて、CH4(メタン)を製造する技術です。日本は、年間にCO2を11億トンも吐き出しているので、再エネで製造したH2(水素)と排出しているCO2を反応させてメタン(CH4)を製造して、これを既存の都市ガス配管で各家庭に供給、家庭のエネファームで燃料電池を回せば、二酸化炭素フリーの電力供給ができるという訳です。

インフラや技術面から言っても、①と②が日本の産業競争力を維持して、新興国にも歓迎される「日本がディープインパクトになれる」方策ではないだろうかというのが橘川さんの考え方です。

2回に分けて、小難しい話にお付き合いいただき、ありがとうございました。

「日本のエネルギー政策なんて自分には関係ない」と思っていましたが、選択を誤ると、電気代が4倍になったり、大失業時代の未来が待っていることになる大事な政策であることを気付かせてくれました。

私と同じ気づきを共有いただけたとしたら橘川さんを紹介した甲斐があったと思います。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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