お味噌汁シンドローム

実家のお味噌汁は麦味噌だったの
でも小さい頃食べた記憶はあまりないから
母はそれほどお味噌汁を作らなかったんだろうな

今は姉が作る食事でお味噌汁があると
いつも底に沈む味噌かすを残す人がいて
初めて見たときは笑いそうになったわ
それはそれはたっぷりとお椀の底に
残ったままで流しに置かれてたの

残す人は 昔はそんなにかすは残ってなかったと言い
作る人は ちゃんとやってないみたいで気が悪いと言い
その光景を私は内心
バカバカしいなあと思いながら見ているの

残す人には 飲み切ればいいのにと思い
作る人には 麦味噌をやめればいいのにと思い

そうして自分を振り返ってみると
かつてこの家で暮らしていた苦しい日々で
この小さく閉鎖的なぴりっとした空間を
ゆるめようと努力していた時が私に
あったのかもしれないと思ったりもするの

今はもう自分を守ることだけで
まだこの家で暮らすのは困難なことだけど
この小さく閉鎖的なぴりっとした空間を
ゆるめようなんて努力はせずに
眺めるにとどめているお味噌汁の病

いつの間にか麦味噌はやめたらしいお味噌汁を
誰もが何事もなかったかのように食べている家