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森に参加する。

3月17日(日)
引っ越してきた町の半分は山林で、町の真ん中には川が流れている。
自然が多いこの場所で、ずっと参加したいと思っていた里山の保全活動に初めて参加した。

他の参加者の皆さんと駅で待ち合わせして、歩いて山へ。
道中の街路樹や野草の名前や特徴を教えてもらいながら向かう。
(次回からはカメラとメモを常に準備しておくこと!!)

小さなピンクの花が可愛いホトケノザ。花の形を観察すると仏様が合掌しているようにも見える。
オオイヌノフグリは小さな青い花が可愛らしい。由来は花が終わったあとの実の様子が犬のふぐりに似ていることから。
ヒメオドリコソウの葉は下向きに並んでいて、ドレスのように見える。群生して風に揺られている様子は、着飾った妖精が踊っているみたい。

山に到着し、ヘルメットとノコギリを装着して、作業エリアまで登山。

この日の活動は不要雑木の伐採。
ノコギリで木を切る方法を教えてもらい、一本一本切っていく。

アリドオシ

脚がチクチクするなと思ったら足元にアリドオシ。小さな蟻を通すくらい細く鋭い棘がある。だから「蟻通し」。赤い実が可愛い。

クスノキ

この木はクスノキ。葉を広くひろげて日の光を遮ってしまうので伐採。多種多様な植物が生えてくる、生態系が豊かな里山を保つには伐採作業がとても大切なのだと教えてもらった。
確かに、すぐ横の竹藪は、竹が鬱蒼と生えているだけで、地面付近には日が入らず薄暗く、竹以外の植物が育っていない。
里山保全活動が進められているこの日活動したエリアも以前は竹だらけだったらしい。荒れ果てた竹藪だった場所とは思えないくらい多種多様な植物が生えている。

他にもアカメガシワや竹を切った。
アカメガシワの由来は新芽が赤いことと葉の形がカシワに似ていることから。アカメガシワは日の光を入るようにしたら1番に生えてくるとっても勢いのある植物で成長が速い。

そんなアカメガシワよりもっと成長が速いのが竹。
竹の成長が速いというのは知っていたけど、15メートルの高さになるのにたった3ヶ月というのには驚いた。凄まじい生命力。

最近はエコ素材として竹から作った物が売られているけど、海外製でプラスチック製品より高額だったりする。3ヶ月で15メートルにもなって、すぐそこで手に入る竹より、数億年前の生命の蓄積を地下深くから採ってくる化石燃料の方が安い。
人手が足りなかったり、竹を加工する機械が高額だったり、行政から補助金が出なかったり、他にもいろいろ大人の事情というものがあるのかもしれない。

竹はあまり低い位置で切ってしまうと、タケノコに栄養がいかなくなるということで、少し高めの位置でカット。竹は筒状になっているから、切った所に雨が溜まってヤブ蚊が大量発生してしまわないように、節のすぐ上で切って、雨水の通り道として逆三角形に切り込みを入れておく。

沈丁花

誰かが植えた沈丁花の花が満開で、爽やかないい香りに包まれながらの作業。
午後から雨の予報で朝からずっと雲行きが怪しかったけど、午前中は無事何本か切ることができた。

原木椎茸

まだ蕾で春を待つ大きな桜の木の下で、濃いピンク色の花を咲かせている寒緋桜を横目に、小雨の中お昼ご飯。持参したお弁当と、採りたての原木椎茸をいただく。
初めての原木椎茸、肉厚で感動の美味しさ。調味料を何も付けずに食べる。美味すぎる。作業の後の楽しいひと時。

雨の山は危険だから午後からの活動は中止にして、雨が止んでいる隙に帰ることになった。
帰り道も道端の植物や畑の作物を観察しながら、名前を教えてもらいながら歩く。
(次回からはカメラとメモを常に準備しておくこと!!!2回目)



熱帯雨林などの森林破壊の問題があったり、気候変動で緑が減っているから、森を再生していくためにはまず植樹をするというイメージがあったけど、場所によっては、豊かな森を作るには、木を切る必要があるというのが新しい発見だった。

こんなにも積極的に森の形成に人間が加わっていいのだということが嬉しかった。植物、虫、動物、菌、鉱物、たくさんの生命が参加している森に、私たち人間は参加できないと思っていた。ただそれらの大自然を目撃するだけで一体にはなれない、蚊帳の外なんだと、疎外感を覚えたこともったから、体を動かして森の形成に参加することができたこの体験で、うまく言えず大袈裟な表現になってしまうけど、生きてていいのだと許されたような実感が小さくあって、心が軽くなったような感じがする。ひとりぼっちではない、仲間に入れてもらえた時の、心強さのような。


ほったらかしになってしまっている荒れた里山はまだまだたくさんあって、手を加えられたらいいけど、山の所有者の方とボランティア団体が繋がれなくて、改善したくても手を出せないという問題もある。
知名度の低いボランティアは信頼してもらう必要もあるから、行政に間に入ってもらうことや広報を頼んでいるけど、なかなか取り合ってもらえないみたいだ。

今後も継続的に保全活動に参加するのと同時に、市に働きかけることも課題だな。


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