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【京都からだ研究室②】からだをゆるめていく実験〜本来のあり方にかえる〜

京都からだ研究室中期のプログラムがすべて終わりました。事前動画から対面でのワークショップ2回、そしてオンライン振り返り会。運営メンバーとして参加する中で感じたことを書きたいと思います。

今回の講師はアレクサンダー・テクニークの田中千佐子先生。

テーマは「からだは思っているよりシンプル


アレクサンダー・テクニークは以前に、片桐ユズル先生のワークショップにも参加、体験してみたことはあったのですが、何が起こっているかよくわからない不思議だなーという印象。

今回は1回目から、その場で出てくる参加者からの質問やからだの違和感に対して、

「〜してみたらどう?」
「〜はこうかもね」
「こうしてみてどんなかんじ?」
とハンズオン(手で触れていること)しながら、からだを変えていく千佐子先生。

<どんな風にからだをみていくのですか??>と質問したら、

からだに触れたり、その人の動きをみて、それを自分自身のからだでイメージして、どこがどうなっているかを観てみるとのこと・・・。

その都度起こる、参加者のからだの変化は魔法みたい・・・。
ダイナミックに場があったまる中で、心地の良さを追求していったようなそんな時間でした。

不思議!!でもあったけれど、今回は、打ち合わせから千佐子先生をそばで感じてさせてもらって、少しアレクサンダー・テクニーク(AT)が見えてきたような気がしました。

それは目には見えない、頭ではわからない、からだの構造やタッチの感覚からの変化だったように思います。

不必要な習慣をやめていくプロセス

アレクサンダー・テクニーク(AT)の考え方として「誤学習」があります。


わたしたちは、日々間違った学習をして、癖を作ってしまい、本来のからだの動きを忘れてしまっているということ。
それに対して余計なことをやめていき、保留していくこと(「抑制」)を試していきます。

「立ち上がる」「歩く」「寝返りをうつ」など普段何気なくしている動きを、あらためて丁寧にやっていきました。
動きをallow(ゆるす)したり、ゆだねたり、やめていったり。
ゆるすということに抵抗があるなら、「OKする」とか大阪弁で「えーで」でもいいね!と新しいことばが生まれていきました。


実際にやってみているうちに、刻一刻と変わっていくからだ。

誤った学習、癖がついてしまっているけれど、千佐子先生は、「それ間違っているからやめようね」という言い方は絶対されませんでした。
試してみて、どんな感じが起こるか、変化が起こるか実験してみようという姿勢。
どんどん生き生きとした「からだ」と「こころ」が帰ってくるような気がしました。

終わった後は生き返った気分。
正解なんてない、結果は後からやってくるもの。
ただこの瞬間にあるからだの動きや方向性を丁寧にみていくと、おのずとからだが変わってくることを実感しました。

関節は動く!!


首や足首で動く関節なのに、無意識に固めてしまっているところがあると指摘する千佐子先生。

足首や、第1頸椎と頭蓋底(背骨のはじまりのところ)などは、不安定なので、固めてしまうけれど、
実は微妙なバランスを取りながら動いているということでした。

ATでは、首が楽になることがポイントとされますが、
特定の場所を「楽にしましょう!」とか「力抜いて!」と直接意識を向けるではなく、間接的に、全然違うところを動かしてみるんですよね。

そして、「あたまが繊細に動くと、からだ全体が動く」とのことで、首や頭がゆるんでいくと、からだ全体にも変化がある気がしました。


千佐子先生のワークが楽しいのは、からだをゆるめていくときに、
かわいらしいメタファーを使うこと。

「ロッキングチェア」とか、「ペコちゃん」とか。
いろんな言葉を使って、それぞれに届くように説明してくださいます。

肩甲骨も固まっている人が多いからと、「羽が生えているようにとイメージするとどう?」と声をかけてくださいます。

微細に動いているんだと思うだけで、やわらかく柔軟に動くような気がしました。
そして羽が生えたと言われるとふわふわと踊り出したくなるようなそんな気分に・・・。

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からだは”らせん構造”でできている

https://www.amakanata.com/2013/09/blog-post_12.html?m=1

対面2回目では、人類のからだは二重螺旋構造でできていることを教えていただきました。
突然、ピンクと黄緑の包帯テープが登場し、からだに巻き付けられ、どのように身体が動くかを体感。

それを知ると、からだの内部イメージが螺旋構造としてみえてきて、包帯テープのラインに沿ってからだをねじる動きが変わりました。
バネが入ったような、ぐいーっと伸びあがるようなねじり方に。
そしてからだだけではなく、宇宙も、天体も、植物も、DNAも螺旋構造になっていると。
螺旋って自然の摂理なんですね。
そういえば人間の成長も螺旋状になっていると言われます。
「らせん」は極端さを離れた、なめらかで柔軟なあり方ではないかと思いました。

また、左右に偏りがあるとそれを補正しようと、どちらかに重心を移したりしてみたり、真ん中にいくようにバランスを取ってみたりしがちですが、
螺旋構造で立ち上がっていくとイメージすると、すっと絶妙な真ん中に出会える気がしました。

原始反射を体験


赤ちゃんには、原始反射といって、新生児期にしかみられない無意識な反応があります。心理学を学んだことがある人は、絶対に通っている道!(笑)
成長していくと、それが見られなくなるので、新生児が身近にいる人はぜひ動きを観察してみてください!!

その原始反射を体験。今回体験したのは「非対称性緊張性頸反射」

赤ちゃんは欲しいものをみつけると、じっとそれをみて、手を伸ばし、取りに行こうとごろんと寝返りを打つ。
なんだか懐かしいような感覚。
これ、大脳が発達したり、足腰に力が入るようになると、みられない動きなんです。

この体験から、人間の動きの始まりは実は目なんだと教わりました。

ATでは、目で見たいものを見にいくとか、鼻先から動いていくとか、スタートを大事にします。
まさに動物としてのからだの使い方だと感じました。

イメージはプレーリードッグ。
きょろきょろと周りを物珍しそうに観察するように・・・
赤ちゃんが面白いものを見つけて、興味津々で追いかけていくように・・・
その目につられて首やあたまが動いていく。

本来の順番で、からだを動かしていくと、変なところに力が入らず楽に動きが生まれていくように思いました。

大人になって、ぎっくり腰を起こしたり、腰を痛めやすいのは、なんでも腰から動こうとしてしまうから。

自然なからだの動きをすれば、無理なく、すこやかに過ごせるんだなーと。


学習って学べば学べるだけいいと思っていたけれど、間違った学びになっていることもあるのだなーと。

それも、ぱっとやめるではなく、だんだんとやめていく、ゆるやかにアクセルをゆるめていくように。
癖に気づいてじっと待ってみる。新しいものがやってくるのを待つ。
新しいものはおっかない。でもそこにゆだねていくと、絶対に変わっていく。

ゆだねるは人間がはじめに獲得する能力でしたね。(By和葉さん)

赤ちゃんにかえっていく、動物にかえっていく、
自然にかえっていく、からだにかえっていく。

そして、いのちにかえっていく。

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還っていく場所がある。

そんなところに触れると、不思議な安心感に。

わたしたちの帰るところはどこでしょうか?

おうちに帰る。ホームに還る。

いのちの還る場所がひとりひとりあるんですよね。


合掌。

南無阿弥陀仏。

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