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訪問先:公立保育園・幼稚園②

『デンマークの保育園で見つけたあそびのデザイン』横尾 泉

日差しが柔らかく、爽やかな風が吹く5月。いい季節にデンマークの公立保育園を見学させていただきました。園舎の建て替えからあまり時間が経っていないそうでとても綺麗な園舎でした。
デンマークの人々は自然を愛し、自然に触れることをとても大切にしています。
それが保育園のいたるところからも感じることができました。

出窓がサンルームのようにくつろげるスペースになっていました。
大きな窓やガラス張りの天井から外の様子がよく見えます。室内にいても光や植物、季節の変化を感じられます。出窓から床まで、ステップがあるとはいえ高さがあります。ここはステップを使って登れる子だけがあそべる場なのかもしれません。
人権意識の高いデンマーク。自分で考え選ぶ、決めることを幼い頃から大切にしています。誰でも大人に助けてもらい平等に体験するのではなく、技術を得た子がその技術を活かしてあそぶのかもしれません。

各クラスにはデンマークで生まれたブロック、レゴ、車、ままごと、農場ごっこのおもちゃを共通で置いているそうです。
中でも目を引いたのはままごとコーナーにあった有色人種のお人形。
こちらの園では難民のお子さんやペタゴー(保育士)さんも在園しているそうです。
そういう取り組みや肌の色が違うお人形であそぶ、そんな小さな取り組みが差別や偏見を無くすことにつながるのではないでしょうか。

園庭は2箇所あり年齢別になっています。ご紹介するのは3歳~5歳の園庭です。
園庭は砂場、農場ごっこ、固定遊具、バスケットコートなどあそびの種類によってコーナー分けされていました。
園舎で日陰ができるところには砂場があり、大型遊具の下は水はけの良く、落ちても怪我がしにくい人口芝、地面の高低差など外遊びを充実させる様々な工夫が見られました。

園庭のいたるところにあった板状の家。側に椅子が置いてあったり、木製のガソリンスタンドの給油機がありました。どうしてこんなところに?と思うような場所にぽつんとあったりします。どの家にも小窓があり内側、外側立つ場所によって見える景色が変わります。それは子どもにとっては不思議なことかもしれません。立つ場所によってごっこあそびの役割も変わります。内側ならお店の人、外側ならお客さんなど。子ども達は狭い空間に安心感を感じ集うことがよくあります。この家でごっこあそびなどをすることで異年齢のコミュニケーションも深まりそうです。

倉庫には様々な種類の三輪車が数多くありました。

園庭をぐるりと囲むように石畳の道があります。フェンスと生け垣の間の道。
こういう大人の死角になる場所に道を作るところにあそび心を感じます。
緩やかな坂道、ぐるりと芝生を一周するような道、スピードが出そうな直線。
地面にペンキで歩道や駐車場を描いてスペースもありました。
これらの道は歩き回るのはもちろん、三輪車で走ることも重要視されていると感じました。
先程紹介した家を使えば三輪車に乗りながらごっこあそびも楽しめます。
倉庫にあった三輪車の数をからも三輪車であそぶことを重要視しているのではないかと思います。三輪車は下半身の力だけでは進まず、体全体の筋肉のバランスを取る全身運動になります。自然の中で活発に体を動かす事を大事にするデンマークらしい園庭でした。

子どもたちにどんなあそびを体験して欲しいのか?よく考えられています。毎日あそんでも発見や気付きがありそうです。野外でのあそびを大切にしていることが伝わって来る園庭でした。

感想『心震わす旅、デンマーク』
「人が育つ国」、デンマークに学ぶ旅から帰国して一ヶ月が経ちました。
たまたま見つけた旅の告知から説明会に参加。旅の内容はもちろん、コーディネーターのさやかさんがお話している姿を見て、この方に会うだけでも参加する意義があると思い参加しました。
結果、一緒に参加した素晴らしい旅のメンバーとの交流は今も続き、デンマークで見て感じたことが今後の自分の仕事や考え方の大きな支えになると感じています。

公立小学校のアンドレアス先生が自校の教育についてお話してくださった内容は、今後の自分の活動の指針になるような内容でした。学校という大きな組織の中で子ども一人一人を大切にし、学びを保障すること、その方法を具体的お話してくださいました。
中でもコロナ禍を経てあそびの重要性を改めて感じたという言葉がとても印象にのこりました。休み時間に校庭で高学年が低学年とおもちゃで一緒にあそぶ時間を作り、そのためのおもちゃも用意しているとのことでした。
小学校でたまたま見かけたボールやフラフープなどが入った大きな木製のカート。
あのおもちゃであそぶ時間を学校が大切にしていること、あそびの中に学びはあると実践されている事があそびをテーマに活動している私にとっては大きな励みになりました。

就労・自立支援・青年教育機関Chaplin代表ヤンさんのお話を聞いた日のことをよく覚えています。
福祉大国と呼ばれるデンマークでヤンさんが始めた障がいを持つ方の自立支援。その過程と今の様子を淡々とお話してくださるのですが、それを通訳しているさやかさんの言葉に熱が帯びて行くのを感じました。それほどヤンさんの思い、活動は参加者みんなの心を震わせる内容でした。質問もたくさん出てその場の温度が上がったような感覚がありました。
通訳終了後、さやかさんが「彼のように魂を燃やすような仕事がしたい!」と
おっしゃった事が私の心に刺さりました。この旅に参加したのがちょうど年齢的には人生の折返しの時期で、今後自分は何を学び、どう生きて行くのか?と悩んでいたからです。
ヤンさんの生き方、さやかさんの言葉に自分は?と考えずにいられませんでした。

この旅で訪問した場所、出会った人々は本当に言語化できないくらい素晴らしかったです。
旅に一緒に参加した皆さんにも出会えて本当に幸せでした。
とにかく何度も心が震えました。何年経ってもあの時感じた事は心に残る気がします。
それを支えに、私なりにやりたいことをやっていきます。



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