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ひの自然学校流 アウトドアのすゝめ【ハイキング活動準備編①】

 「密閉・密接・密集」の3密を回避しやすい自然の環境は、このコロナ禍において多くの人々が日頃の“感染対策疲れ”から癒しを得ることができる場所になりつつあります。実際に、予約件数がコロナ禍前に比べ2倍に跳ね上がっているキャンプ場があったりするなど、屋外レジャーへの需要が垣間見えます。
 今回は、幅広いアウトドア活動の中でも、気軽にできる「ハイキング活動」に焦点を当てて、そのテクニックを皆さんに紹介していきたいと思います。一口に「ハイキング活動準備編」と言っても、このページだけに収めるには長すぎるので、今回のトピックでは“事前の準備”に着目しています。


①登山のスケジュールを決める

登山にいつ出かけるのか、スケジュールを立てましょう。登りたい山の中に季節限定の植物がある場合は、その季節を外さないスケジューリングが必要ですね。また、積雪のある冬シーズンのハイキング活動は、場所によっては装備や服装も変わってくるので注意が必要です

スケジュールを立てる時のポイント

  • 可能であれば混雑しない時期・日付を選ぶ
    ➡自然の中の魅力の1つとして、「人の少ない非日常感」があります。山頂は山によって広さが違いますから、混雑時に行くと、むしろ人混みの中で過ごさなければならない可能性があります。また、たくさんの利用者が山の中に入ってくることによって、自然のオーバーユースになりかねませんので、可能な限り混雑を回避することができる日を選択するようにしましょう。

  • 天候不順のことを考慮して、予備日を決めておくと◎
    ➡もちろん雨の日でも登山は可能です。雨の日しか感じることのできない自然の魅力もあります。が、悪天候の日の無理な山行は遭難の危険性を高めてしまいます。悪天時の登山に対して不安を抱えている場合は、山行を止めるという判断も大切です。


②登る山を選定する

登山の楽しみはここから始まります。まずは自分の登りたい山を選んでみましょう。景色、山の標高、道中の自然、神社への参拝、山頂での一服タイムなどなど…山の楽しみ方は人それぞれです。行きたいと思う山の候補をいくつか挙げてみましょう。近年ハイキング活動の需要が高まる中、ハイキングに関するガイドブックや雑誌がたくさん出ていますので、そのようなものを参考にするのもアリですね!

登る山の選定のポイント

  • 山に何を求めて行くのか?
    ➡山の魅力は山頂からの景色だけではありません。特に日本では、昔から山、海、森や木などの自然界に神様が宿ると信じ、自然を拝み共に生きてきた経緯があるため、修験道や神社などのある山が多く存在し、そのような日本の文化を身近に感じることができるのも登山の魅力です。その他にも、綺麗な植物が豊富な山、滝や沢が魅力的な山など、人に個性があるように山にもたくさんの個性があります。単純に「人気だから」という理由だけでなく、その山の歴史や文化・自然にも興味を向けてみることで、楽しみ方が2倍にも3倍にも膨れ上がりますよ。

  • 自分の体力・技量にあった山を選定する
    ➡「1000mも満たない里山だから平気だろう!」と、登りたい山が“里山”とはいえ侮ってはいけません。むしろ2000m級の山々の方が登山道が明確で登りやすいことだってあります。選定した山々が、どれくらいの時間がかかるのか、どれくらいの勾配があるのか、危険個所(鎖場や梯子などの難所や迷いやすい地点)はあるのか…など、最終的には自分の体力や技量、経験に基づいて登る山を選定しましょう。比較的登りやすい山から少しずつステップアップすることが大切です。


③登る山のプランニングを立てる

登る山を選定することができたら、実際に山行計画を立ててみましょう。
山域によっては”登山計画書”の提出が求められているところもあります。ガイドブックや雑誌だけでは情報が不十分な場合があるので、可能であれば登りたい山域の「山と高原地図(昭文社)」などを購入して、実際のコースタイムやコース上の留意点、山小屋や茶屋・トイレなどのランドマークがわかるようになっているものを参考にしながらプランニングしていきましょう。


プランニングのポイント

  • メンバー
    ➡誰と行くのか?(子ども?・お年寄り?)個人・グループで行くのか?メンバーの登山歴は?登山計画書には一緒に登るメンバーのパーソナルデータが必要になりますので、予め情報収集しておきましょう。

  • 交通手段
    ➡登山口までの交通手段は?下山後の交通手段は?公共交通機関を使うのか、自家用車で行くのか、自家用車で行く場合駐車場はあるのか?など、登山口までの交通手段を調べてみましょう。

  • コースタイム
    ➡ガイドブックや山と高原地図などをもとに、実際の登り・下り時間を算出してみましょう。途中や山頂での休憩時間も忘れてはいけません。当たり前なことですが、カツカツなスケジュールよりもゆとりをもって行動する方が安全に、快適に登山することができます。

  • ランドマーク
    ➡ランドマークとは、登山ルート中にある山小屋(避難小屋)や茶屋、トイレ、分岐点、水場、テントサイトなど、山行を助けてくれるチェックポイントを言います。地図やガイドブックによっては“展望ポイント”や“見ごろの花”など、ランドマークで見所を教えてくれるものもあります。また、トイレの有無については人間の生理現象とのお付き合いになりますので要チェックです!(トイレがない山もあります…その場合は携帯トイレキットを携行しましょう。)

  • エスケープルート
    ➡登山やハイキングは自然が相手ですので、急激な天候不良があったり、登山中の体調不良があったりなど、予定の計画を遂行できなくなる可能性を考えておかなければなりません。そのような危急時の場合、即座に下山できるよう準備をしておくことが大切です。山行を予定している登山道の他にも、すぐに下山ができるルートも確認しておきましょう。併せて危急時に逃げ込むことのできる山小屋や茶屋も確認しておくとベスト!

  • 天候
    ➡当日の天気予報だけでなく、その前後の雲の動きや気圧の変化をチェックしておきましょう。また、山の上はその麓に比べて気温が低くなります。また、風の強さによっても体感温度は変化しますので、気温や風の状況も把握しておきましょう。

  • 装備・服装
    ➡食料や飲料水の十分な確保、危急時に対応できるファーストエイドキット、万が一に備えたヘッドランプ、トイレがない山に備えた携帯トイレキットなど、一度山行に入ってしまえば忘れ物を取りに戻ることはできません。まさに“備えあれば患いなし”!(ですが、備えすぎるのもあまり良くありません…そのあたりを次回詳しく!)


今回はここまで!
登山やハイキング活動における”事前の計画”は、山の楽しみ方を教えてくれるのと同時に、安全で快適な登山を促してくれます。きっと、事前の計画をすればするほど登ったあとの達成感や充実感は一味違うものになるでしょう。

事前の計画はアウトドアを楽しむための第一歩!できることが増えれば、楽しみ方も倍増。次回は準備編②、服装や装備について詳しく書いていきたいと思います!

大菩薩嶺:雷岩から大菩薩峠の尾根道

ひの社会教育センター/ひの自然学校 若泉わか

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