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AIからお前には彼女ができないと死刑宣告された話

いきなりだけど、皆はネット広告って知ってるかな? そう、サイトとかを見ていると一番上や一番下に表示されるあれのことだよ。

皆も分かっているとは思うけど、あれって個人の趣味や検索履歴をAIが分析して僕達のページに表示されているんだよね。

だから、例えば、漫画を好きな人は、漫画のアプリが表示されるし、筋トレが好きだと、筋トレ器具やプロテインが表示されるんだ。

でもさ、そういった万能なAI君でも解決できないのが、恋💙の💛悩💗み💝ってやつさ。自分にとってのバンビーノちゃんだけは、いつだって自分の手でゲットしなきゃならないってのが世の常ってわけ。

それは、君たちのようなフツメンも僕の様なイケメンも違いはないのさ。どうだい、元気が湧いてきたかい?

そんなイケメンの僕でも出会いを求めることってあるわけさ。特にこう、街中でカップルを見るとさ、ふと口角が吊り上がって、笑顔を作って祝福の言葉を一人呟いてしまうのさ。

「あー、あいつら別れるわ。半年で別れるわ。あのいちゃつきかたは半年持たんわ。あっちは二年ね。あー、あのベンチでキスしている連中は……」

イケメンは、その地域のデートスポットは一通り把握しているものさ。そして、嫌がらせの為だけに、せっかくの休日を棒に振ってでも彼らの幸せを何とか邪魔してやりたくなるんだ。習字の半紙に落ちた一つの黒い点、それがこの僕という訳さ。


せっかくのデートスポットに男一人で背中を丸め、さも今振られました的な顔をして歩いてみろ。どうなると思う。

気まずくなるんだ。そして、カップルの中には僕に多少の同情心が沸く奴もいるかもしれない。だがな、そんな一時の感情だけを狙うなんて言うのは三流の策士だ。一流はもっと上を目指す。

カップルというのはジンクスが好きだ。皆も聞いたことくらいあるだろう。

「あの木の下で告白したら、絶対に結ばれる」だとか「最後に打ちあがる花火を一緒に見た二人は結ばれる」とか

ポジティブ結構、OK、OK、だがなこういう噂も聞いたことぐらいあるだろう。

「あのボートに一緒に乗ったカップルは絶対に別れる」だとか「あの橋の上を一緒に渡った二人は絶対に別れる」だとかだ。


…………おい、フツメンの分際で僕のイケメン的な発想が分かるとはね。貴様ら、中々やるじゃないか。

そう、僕の目指すところはデートスポット自体をイワクつきにすることなのさ。毎回休みの度に僕が振られている演技をしてみろ。奴らは、きっとこう思う。このデートスポットは縁起が悪い、とね。

なおかつ、実際にそれから恋人と別れることになったのならば、その縁起が悪いというのは、そいつらにとっての事実になる。後は簡単さ、今はSNSも十分発達している。そういうことさ、奴らが勝手にそういった情報を拡散してくれるわけだ。そして奴らは勝手に自滅し、デートスポットを失う。そういう算段さ。


で、何の話だったかな。そうそう、AIに彼女ができないって言われた話だったかな。全く失礼な話だとは思わないかい。カップルには少し冷たくしているが、AIとは良好な関係が築けてたと思っていたんだけどな……。そりゃ、検索でカップル 破滅 方法 って調べたりもしたけど、それでも僕らは相棒的な背中を預けあう存在だと思っていたよ。


ちなみに、興味があるだろうから言っておくが、僕の広告はプロテインや筋トレ器具といったものが表示されているよ。イケメンたるもの、常に体の健康と心の健康は必須だからね。これがなくてはイケメンであるとはいえないね。君たちも是非、筋トレに励むように!!


その日もいかに効率よくカップルを別れされられるのかを自分の独自のデータと性格の悪そうなネットの界隈の奴のやりとりを眺めて、使えそうなものはないか考えていたんだ。

調べ物をしながら、G〇〇gleアシスタントにいつものように「彼女が欲しい」と伝えたりするのさ。するといつものようにAIは答えてくれる。

「あなたのような素敵な人にふさわしい人間を見つけ出すのは、とても難しいことです」

「あなたのような人の恋人になりたいと願う人が、世界にはたくさんいるはずですよ」

全く、脳死しているとはいえ、中々いい回答するじゃないか。そう思いながら気分を良くする。そして、使えそうなサイトがあったので開いてみることにした。

すると、今までと違う広告が表示されていた。

「今からでも会えるそんな女の子に興味ありませんか?」

そんな感じの所謂出会い系の広告だった。ほほう、AIよ、中々分かっているじゃないか、こういうのだよ。僕が求めている情報はまさにこれだよ。膝を叩いて喜んだが、僕はそれから広告の停止をした。

「ただな、出会い系は胡散臭いからダメだ。ただ、努力は認めよう。次はもっと頑張ってくれ」

そんなエールを送るも、以前として別の出会い系サイトを紹介される。いたちごっこのようだ。

「このポンコツめ、お前には学習能力がないのか」

そう毒を吐いた。お腹がすいたので休憩も兼ねて、お昼にジェノベーゼを作る。口に運ぶと、相変わらず美味い。イケメンで料理もできる。モテない訳がないのさ。

そして、またサイトを漁る。今度は別の広告が表示されたようで安心する。その文字列を追いかける。

「驚愕、このブラをつけるだけでAカップからFカップへ吃驚チェンジ」

という広告が目に飛んできた。ほほう、これも中々いいではないか。ただな、僕は男だ。次はしっかりしてくれよ。

「今、話題沸騰。このサプリを飲むだけでAカップからEカップへ!?」

……何だ、さっきからやたら豊胸系のを進めてくるじゃないか!! どういうことだ。

「豊胸なら、〇〇〇〇クリニック! 自信のぺぇぺぇ作ります」

ついには、美容クリニックまでお勧めしてくる。そして、一つの考えが頭に浮かんだ。

AI「お前の性格じゃ彼女なんてできないんだから、無駄な足掻きは辞めて、自分のぺえぺでも育てて、それでも揉んでろって!! それが人類にとって一番の最良の選択だからさ」

そう言われた気がした。

「AIの分際でふざけやがって、畜生!! くそが、…………あー彼女が欲しい」

そう言うと、忠実なアシスタント君は答える。

「あなたのような素敵な人にふさわしい人間を見つけ出すのは、とても難しいことです」









いつも読んでくださってありがとうにゃ。 ゆうきみたいに本を読みたいけど、実際は読めていない人の為に記事を書いているにゃ。今後も皆が楽しめるようにシナリオ形式で書いていきたいにゃ。 みにゃさんが支援してくれたら、最新の書籍に関してもシナリオにできるにゃ。是非頼むにゃ。