見出し画像

バイアスを超えよう!

バイアス【bias】
①斜め。偏り。偏向。「―がかかった見方」 広辞苑より

先入観固定観念のことを「○〇バイアス」と言います。

男女に関する固定観念のことはジェンダーバイアス。「自分は大丈夫だ」と思い込んでしまう現象は正常性バイアス。身内びいきは内集団バイアスなど、よく考えると、バイアスってとっても危険な思考。

バイアスを取り払って、もっと自由になりたい!

1. 綺麗な工場バイアス。

数年前、役所の職員さんから「観光事業と連携した工場見学の企画があるのですが、市川さんの工場で見学ツアーをやりませんか?」と、打診されました。

わが社、2人しかいない会社なのに工場は200坪もあるし、あちらこちらに製作途中の製品、プロジェクトの試作品、実験中のパーツなどがあって、企業秘密だらけ。外部の人を工場に入れるとなると、指を切断してしまう危険な機械もあって不安、何よりお客様を迎えるための掃除が大変!だから、工場見学は現実的ではないとお断りしたら、こんなことを言われてしまいました。

良い製品は、綺麗な工場からって言うじゃないですか。工場見学がきっかけで掃除をすれば、製品の質も良くなるかもしれませんよ?

ん?
なんかおかしな話じゃないですか?

役所の職員さんは、デスクワーク。その上、我が社の工場なんて、見たこともない。工場の何たるかも知らない人が、「良い製品は、綺麗な工場から」と言うなんて!

確かに、掃除が苦にならない几帳面さは、モノ作りをする上でのアドバンテージになるかもしれません。でも、几帳面な人が良い製品を作れるわけではありません。良い製品を作り出す根拠は美意識。つまり、几帳面さではないのです。物書きや研究者の書斎だったら、資料が山積みになっていて足の踏み場が無ければ「この人は、すごく勉強していて、説得力のある文章が書けそう」と思うのに、工場は、綺麗に片付いているから「良い製品を作っている」って思うのは、なんだかおかしくないですか?

2. 職人バイアス

職人が「仕事を教えてもらった事は無く、親方の作業を見て覚えた」と話すのを、テレビなどで見たことありませんか?私も、結婚して木工業の世界に放り込まれて以降、このような話は耳にタコができるくらい聞きました。しかもどの職人さんも、自慢気にこう言っていたと思います。

寡黙なのは職人の証拠と捉えている人も多くいます。作業は見て覚えるから修業に10年以上もかかるとか、おおよそ現代的でないことが、まかり通っています。

でも実は、職人は喋らずに黙々と作業をするのが良しとされる世界ゆえ、考えを言語化する機会が圧倒的に少なくなり、口下手になるのだとわかりました。

さらに、仕事に慣れてルーティンで作業が進むようになると、いちいち考えなくても手が勝手に動くようになります。それは職人としては仕事の効率が上がって良い事でもあるのですが、逆に頭を使わなくてもできてしまうところに、落とし穴があります。

自分の作業を論理的に考える「ロジカルシンキング」、それを他人に伝える思考の言語化を大幅に端折ったところに、「仕事を教えてもらった事は無く、親方の作業を見て覚えた」は、あります。「見て覚えろ」も、「喋るな」も、もはや時代遅れ。職人は寡黙という考えは、そろそろ取り払った方が良さそうです。

3. 奥さんバイアス

夫婦で同じ仕事をしている女性によく使われる固有名詞の「奥さん」。呼ばれたことのある皆さんは、どう思っていますか?私は、家族やプライベートの友達以外、ほぼ「奥さん」としか呼ばれていません。正直腹立たしく、悲しい話です。

「奥さんも仕事手伝ってるんですか?」とも言われます。

奥さんの手伝い

使いやすいからこそ、残酷な言葉です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?