「大人の道具箱」の世界へようこそ。新しい収納家具の秘密・その1
とにかく私は掃除が大嫌い。そんな我が家は、一番多い時で7人(私たち夫婦、子供3人、社長の両親)がひしめく大所帯でした。
日々の家庭生活を滞りなく送るためには、縁の下の力持ちとして暮らしをまわすキーパーソン(主婦、主夫)が必要。我が家の場合は、私が日々の暮らしの旗振り役です。料理は大好き、洗濯は洗濯機まかせ、そして、掃除は大嫌い。
家とはどうしても、暮らすだけで散らかるもの。厄介なのは、文房具や、爪切りなどなど、しょっちゅう誰かが使う、こまごましたものです。掃除嫌いがこれを毎日片付けるわけもなく、自分が片付けないものを人に注意するわけも無く。結果、常にこまごま用品が散乱する家となりました。
1. ヒントは、なんと目の前に!
きっかけは、毎日使っている、木工所に必要不可欠なもでした。何気なく工場を眺めていたある日、「あ!これ使える!」と、気が付いたのです。
それは、台車。ちなみに台車とは、板に車輪を付けたもので、移動する時など、加工品を台車に載せることで、楽に、しかも大量に運べる便利な道具です。
工場内には、置き場に困った材料の板も、台車に積まれて放置されていました。でも、台車に載っているから、問題無く楽に移動できます。灯台もと暗しとは、まさにこのこと。
2. 私みたいな人は、他にも絶対いるはず!
台車というヒントを見つけたら、その後のアイデアは、あっという間にひらめきました。
「贈答用のかわいいお菓子の缶を、物入れにしている人は多いはず!散らかってしまうものは、箱に入れて、まとめて台車に積めばいい!」
その時私の中でできたプランは、このようなものです。
これは私にとって、救世主のようなアイデアでした。だって、同じような思いをしている人は、絶対にいると思ってましたから。
3. 生活感覚がない人の壁
早速、試作品を作ってもらおうと、社長にプランを話しました。ところが、「何が良いのか全くわからない。」という態度なのです。
「え?箱?積むの?」「え?台車も作るの?」「え?いったい何入るの?」と、アイデアに全く共感してもらえません。そうなのです。同じ家に暮らしていても、家族が滞りなく生活できるようにキープする暮らしのキーパーソンは、私だけだったのです。社長は、私がハウスキープしている家に暮らしているだけでした。その時初めて、生活感覚は、誰にでも備わっているわけじゃないと、痛感しました。
ようやく社長が試作に取り掛かったのは、アイデアがひらめいてから2年が過ぎていました。
4. 作る!と決めたからには
それでも、社長はアイデアの青写真が理解できてからは、どういうものにすれば市川木工らしいかを、常に考えるようになりました。
わが社の商品開発は独特で、スケッチ無し、図面無し、常に頭で考えて、仕事の合間に少しづつ試作するスタイル。ですから、「まだ作らないの?」「作り方とか、加工方法とか、今考えてるところ。」というやり取りが、約1年くらい続いたでしょうか。
そうして、長い時間をかけて、デザインが固まりました。
最初の構想から2年以上経て、ようやく第1号が完成しました。
5. 大人の道具箱
名前は、誰にでもわかりやすいように、大人の道具箱にしました。
(写真は、静岡県産ひのき材を使ったバージョン、ひのきの。他に、バースウッド製のものがあります。)
いちばんの特徴は、積めること。組み合わせられること。単体でも使えること。
スタンダードは、5層のセット。
蓋はトレーにもなり、薄い箱には取り外しできる仕切りを付けました。深い箱は、横にして本棚としても使えます。大人の道具箱が完成したのは、2016年でした。
つづきます。
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