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エッセイ

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2020年8月の記事一覧

また乾杯しよう

 あの夏、私は二十歳になった。そしてそんな私を、父は回らない寿司屋に連れて行ってくれた。

 回転寿司にしか行ったことのない私は、最初のネタに「サーモン」と注文した。するとそこの大将に「ないです」と鼻で笑われた。せっかく父がいいところに連れて来てくれたのに、とんでもない恥をかかせてしまった、と私は俯いた。その後、何を頼んで何を食べ、何を飲んだのか、全く覚えていない。

 寿司屋を出ると、今度は行き

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わたしはわたし

わたしはわたし

 私の「好き」は無自覚のところから始まる。
 私はきっと、自分の「好き」に無頓着なのかもしれない。「好き」と自覚するまで、結構な時間がかかることが多い。

 例えば私は私の「好き」が集まった店を見つけても、名前をなかなか覚えない。あの場所にあるあのお店にあるあれ、というような感じだ。だから何度か、その場所から移動してしまって、あるいは無くなってしまって、探す手立てもないようなこともよくある。

 

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