一人ぼっち

その男の子は一人ぼっちだった

少なくとも男の子はそう思っていた

誰も自分のことなど理解できない

その思いが男の子をより一人ぼっちにしていた

男の子は寂しく、辛く、悲しかった

男の子はあまりにも寂しかったので

命を投げたそうとしたこともあった


そうした時、男の子の周りの人達は涙した

その涙は明かりになった

男の子は自分の足元しか見えていなかったが

その明かりが男の子の周囲を照らしてくれた

男の子が周囲を見渡すと

そこには男の子のことを待ってくれている人々がいた

男の子が一人ぼっちの殻から出てくることを、待っていてくれていたのだ

それを見て男の子は涙した

男の子はそういった人達にたどたどしくも少しずつ、自分のことを話すようになった

そうして男の子は一人ぼっちの殻を脱ぎ捨てた

今ではその男の子は決して多くはないが、男の子のことを待ってくれていた人々と共に生きている

人と共に生きるのは楽しいことばかりではなかったが、男の子の表情は穏やかだった

そうして男の子は一人ぼっちをやめた

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