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「最新の学説」は信じてはいけない

こんにちは、GWに入り、皆さん楽しく過ごされてるでしょうか?

私はわけあってあまり動き回れないので、暇つぶしにnoteを更新したいと思います。

さて、今日は保守的な話をしたいと思います。よくCMや広告、雑誌で目にする「最新の学説」、こういうのは基本的に信じない方が良い、という話です。

ちょっと誤解が多くなりそうなので言い直すと、「まだ信じない方が良い」というのがより丁寧な表現です。私がこう考える根本的な理由は「情報不足だから」です。情報不足にもパターンがあり、重要なものは「正しいことの裏付け」「間違っているかどうかの裏付け」の2点です。

以下、順に説明していきたいと思います。

1.正しいことの裏付けが足りない

科学は「事実」から「考察」を行い、それをもとに「検証」を繰り返すことで精度が高められていきます。なので、例えば「鳥には羽毛がある」ということを証明しようとする場合、「スズメには羽毛がある」という1例だけではだめで、「カラスも鳩も、カモメも羽毛があるよね」というように事例を積み重ねていくわけです。

注意が必要なのは、これは「この鳥には羽毛がある」という例を積み重ねている時点では「現時点では正しいであろう」という見方ができるだけ、ということです。もちろん積み上げられた事例が多いほど、信じても良い可能性が高いということになります。

最新の学説というのはこの「積み重ね」が欠けていることがあるわけです。1回の実験、1回の発見をもとに発表された学説(仮説)は、再現性があるかどうか分からない、ということですね。

2.間違っているかどうかの裏付けが足りない

ちょっと変な言い方に聞こえるかもしれませんが、正しいことの裏付け(補強)とは別に、間違っているかどうかの検証は非常に重要です。先の「鳥には羽毛」の説であれば、「羽毛がない鳥がいる」ことが分かれば覆すことができます。例えば、鶏であれば品種改良された羽毛のない品種が存在しますし、インコやオウムには異常により羽毛のない個体が生じる例があります(これは「例外」ととらえるべきですが)。

科学の学説に重要な要素として「反証可能性」というものがあります。これは、「これを調べれば、間違っているかどうかが分かる」という要素があることを指します。鳥に羽毛があるかどうかは個々の鳥を調べればわかりますが、例えば「神の存在」「悪魔の存在」は立証も反証もできません。

学説が新しいものであればあるほど、この「反証」できるかどうかの積み重ねが不十分であることが多いと言えます。

3.番外編:非常にレアケースで、一般化できない可能性がある

これは先ほど例に出した「品質改良の結果誕生した、羽毛のない鶏」「異常により発生した、インコやオウム」が挙げられます。「鳥に羽毛」という命題であればこれは例外ですが、「羽毛のない鳥もいる」という学説であれば、サンプル数が少ない時点では「羽毛のない鳥も一般的にいるかも」ということになりかねません。
もっと言えば、鳥の存在を知らない人にこれらの鶏やインコについての情報だけを伝えれば、「鳥には羽毛がない」ことが一般的な事実として受け取られてしまうことになります。

鳥から離れると、最近はやりの「とある病原体」についての話題が挙げられます。

最近メディアで盛んに取り沙汰されているのが、この感染症向けに開発されたワクチンには「感染予防効果がある」という言説です。
根拠としては、感染も死者も多かったイスラエルや英国が2021年にはワクチン接種を強力に推し進め、その後は感染者数が急減していることが示されることが多いようです。これは「英国、イスラエルの状況を見るとそのように考えられる」ということですが、以下のような点が検証不十分とも考えられます。

①正しいことの裏付け:数10か国で同様の効果が得られるのか、または同じ地域で将来再び流行が起きても同様に効果を発揮するのか

②間違っているかどうかの裏付け:単に感染症の流行、衰退の周期で減少しているのではないか

③例外、一般化できない:英国、イスラエルに特有の事情があるのではないか(例えば白人が多く、彼らは感染しやすいなど)

他にも健康・美容関連では有象無象の「最新の学説」を謳う商品があふれています。これはもはや科学でない分野も多いのですが、元々は医学で得られた個別の研究結果を針小棒大にPRするパターンが多くみられます(水素水、腸内フローラ、XXXホルモンなど)。

本来、検証を重ねた学説は「すでに古い=成熟した」研究であることが多く、自動車や航空機、医学など、高度に発達した科学技術を用いた分野ではほとんどが「成熟した=使い古された技術」です。

「最新の~」はセンセーショナルで魅力的に映ることも多いのですが、検証が十分されているものでなければ、「まだまだ仮説、下手すればファンタジー」と受け止めた方が良いと思います。

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