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スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け 感想



子供の時から大好きスターウォーズシリーズ。

この映画を見たのは公開当時、映画館でなのでもうずいぶん経つんですが、その当時書き留めたメモがあったのでnoteにすることにしました。まず、私はスターウォーズのシリーズ、子供のころから大好きです。初めてEP4を見たのは、まだ物心つかない4才、5才くらいだったはず。フォース、ジェダイ、シス、ライトセーバー、帝国とXウイングなど、あの世界観にすぐに夢中になり、初期の3部作は何回観たでしょうか。プリクエル(若きアナキンの3部作)も観て、様変わりした世界観に若干の戸惑いも覚えつつ(余裕があったらこれも書いてみたい)、それでも最新の映像技術と時代感で製作された新しいSWに感慨を深めたものでした。

で、今回の3部作のラストを飾る本作品。観てきましたよ。

でも心の綺麗な皆さんにはお楽しみいただけないネガティブな内容なので、それがお好みでない方は、他の方、他のエントリに飛んでいただいた方が良いかも。

それでは、見終えた感想をつらつらと書いていきたいと思います。

とっても長いので、はしょってはしょって簡潔にどんなあらすじだったのか書きますとこんな感じ。

あらすじ(箇条書き)

①しわしわジジイ(パルパティーン、以下しわジイ)生きてた!けどまだ巨神兵状態(装置につながれて修復中)

②デス・スターの機能がついた戦艦(スター・デスロイヤー、略してスヤァ)作ったよ!

③中二病のカイロ・レン、しわジイからほぼ彼女=レイの殺害命令を受ける

④修行中だったレイ、スヤァを壊す旅に出る

⑤レイ、しわジイの孫だったことが分かりドン引き(老後があの顔じゃあねぇ・・・)

⑥レン、レイと戦って敗れ、改心する

⑦レイとレンでしわジイ宅(惑星エクセゴル)に殴り込み

⑧レジスタンスとスヤァ艦隊(ファイナル・オーダー)もドンパチ

⑨レン崖から落下→レイ、しわジイと相討ち→崖から戻ったレン、レイを蘇生して自分は死亡

⑩レイ、亡き師匠(ルーク)の生地に赴き、「あたいはスカイウォーカーよ!」宣言

まじめに細部を楽しみたい人は、ぜひ映画を観てね!

で、ひとまずはすっきりした短い表現で感想を。

総括

とにかく雑、且つ無節操。逆に同シリーズへの愛着を痛感することになり、悲しい

で、以下、あらすじには出てない部分も含め、悲しかった色んなことを書いていきたいと思います。

ツッコミどころ

① ハックス将軍の無駄遣い

ハックス将軍は、サーガ3期目の1作、2作でカイロ・レンと出世を競ったエリート風イケメン。ライバルであるレンはフォースの恩恵をフルに活かし、中二病ですが何か?失敗したけど俺ケンカ強いもんね、文句ある?的な特別扱いで出世続き。対してハックスは明晰な頭脳と冷徹さを武器にファースト・オーダー内でのし上がってきた人物。

なのに今作では、なぜかライバルであるレンの足を引っ張りたいというやっかみ一つで反乱軍に寝返り、スパイとして軍の重大機密を反乱軍に引き渡す。ファーストオーダーの艦内に囚われたポー達を逃がし、アリバイ作りのために自身を撃たせる偽装工作をするも、上官に一発で見抜かれ、銃殺される。1,2作で積み重ねた出世とイケメンエリートっぷりが数分で台無しに。寝返った背景の説明は3秒。雑だ、雑すぎる。

② 切れ味のムラが半端ないライトセーバー

EP3あたりでも顕著だったが、なぜかちょいちょい、(特にシスの?)ライトセーバーの切れ味が鈍っている。そもそもライトセーバーは敵の腕を一刀両断(EP4=第1作から)し、強力な装甲をまとったジャンゴ・フェットの首も一発でハネ飛ばし(EP2)、鋼鉄の扉に突き刺せば金属も溶け出す(EP1?)、なんなら今作では〇〇専用戦闘機の翼さえ切り落とす(!)という、天下無双のレーザー剣?みたいな扱い。でも、闇落ちしたアナキンが母の敵討ちに出た際(EP3)や、今作でカイロ・レンが単身どっかの雪景色の中(もはや感情移入できなかったのでちゃんと覚えてない)で敵をバッタバッタと斬りまくるシーンでは、力いっぱい斬りつけたはずの敵は「普通の刀傷」を負って倒れるだけ。腕も首も胴体もふっ飛ばない(なんか焼けた後だけはついているけど)し、後ろに跳ね飛ばされるでもなく「なで斬り」されて普通に死んでる。何なら、無理やり突き刺すことで力任せに貫通させている描写もあるくらい。でもレイが振り回すと大木は真っ二つ。なんなら投げてブーメラン的に使っただけでも木は真っ二つ。シスのセーバーだけ切れ味が悪いのかと思いきや、ドゥークー伯爵のセーバーはアナキンの腕を一刀両断している(EP2)ので、別に赤セーバーだけ錆びていてナマクラってわけでもなさそう。とにかく調子が読めない。セーバーがフォースと共にあらんことを願うばかり。

③ レイ、空中浮遊を体得

まあ、前作でも出てくるんだけどさ。レイは宙に浮かべるようになりました。今までの作品で脚力使って跳躍してたジェダイの身体能力がぶち壊し。でも実戦では絶対使わない。
今作で描かれるのはレイが修行中の一コマだが、周囲に石を浮かべ、自身も空中に浮いて精神を集中している。フォースでものを浮かび上がらせることができるのは以前から描かれていたが、「周りのものを浮かび上がらせるなら、自分も浮けるよね」ってな感じなのかもしれないが、そうなると並み居る歴代のジェダイ達はなんで今まで空中浮遊しなかったの?自分の脚でバッタよろしく大ジャンプしていたジェダイもいるし、奈落の底に落ちて死んでいったジェダイ(EP3:メイス・ウィンドウ)もいるが、集中すれば空中には留まれるらしい。ジャンプしたジェダイ、墜落死したジェダイ、みんなご愁傷様。落ち着いて浮けば良かったんだってさ。アナキンも、EP3でオビ・ワンと戦った時にジャンプしなければ(普通に浮けば)勝てたかも。

④ レイとレンのニコイチ機能、ルークの修行の成果を凌駕する

レイとレンはなぜかフォースでつながっていて、交信できると思ってたら、交信だけじゃなく触れ合えるらしい。今作では離れたところにいる二人が、物理的なやり取りをする場面がいくつも登場する。ライトセーバーでの斬りあいもするし、レイが首につけた首飾りをレンが奪い取ったり、ライトセーバー自体を受け渡ししたりする。ルークは命と引き換えに離れた惑星に動画配信してレンをビビらせた(EP8 )けど、レン、もっとすごいことできたんじゃん。これ、遠隔おさわりもできるんじゃん?それってもう宇宙を股にかけた痴漢じゃない?しかも命を削るどころか消耗なしで何度でも出きるっぽい。ルーク、修行足りなかったんじゃないか?

⑤ レン、大時化の中で放置されるもしれっと帰還

海のど真ん中に墜落したデス・スターでレイと戦い、負けた上に放置されるレン。乗り物も残ってないから、普通の映画ならここからの脱出で1本映画取れるくらいのサバイバル設定。でも何の説明もなく帰還。尺が足りなかったのかねえ。

⑥ レイア、セーバー使えたんだ→なら戦えや!

ルークの回想シーンで、ルークとレイアがライトセーバーで手合わせしているシーンが出てくる。そこでは結構いい勝負どころか、ダースベイダーを斬り伏せたあのルークが倒されるほどに、レイアはライトセーバーが達者だった。指揮官だから現場に出ないってのはあるかもしれないが、そんなにチャンバラできるなら若い頃に一回くらい実戦経験してもよかったんじゃないの?


⑦ パルパティーン、認知症?

パルパティーンの劇中の言葉はブレ幅がすごい。
1.レイを殺せ、必ず殺せ
2.レイが目の前に来たら「待ってたぞ、後継者よ」
3.私を殺して女帝になるがよい、ふはははははははは
4.レイが切りかかってきたら、「死ねー!ついでに若いエキスをいただいちゃる!」
だめだ、全然理解できない。一回死んでるから脳みそ腐ってるんじゃないか?(スペアの体だけど)

これが、若きジェダイを手玉に取る老獪さ故の変わり身!と言いたい人もいるだろう。でもプリクエル(EP1-3)を見てほしい。あの頃のしわジイ(まだしわはなかった)は、本当に老獪だったし、悪の魅力に溢れていた。清廉な言動と強いリーダーシップを武器に表舞台では政治家として活躍し、裏ではジェダイに立ちふさがるシス卿として君臨。シリーズの終盤までおぞましさを見せることはせず、いざ正体を現せばあのヨーダでさえかなわないラスボスっぷり。アナキンの、パドメを死なせたくないという純情さを突いて篭絡したあの心理戦も思い出してくれ。そして今回の支離滅裂ぶりを見てくれ。設定崩壊も良いところだから!


⑧主義が変わりすぎなしわジイ

 映画の最終盤、力を得て蘇るパルパティーン。そして背後に控えるフードの集団。

ちょい待ち。

まさかあのフード、シスじゃないよね?まさかね?
シリーズを通し、シスは非常に強力だったが、基本的にマスターとアプレンティス(弟子)の1組のみで、その制度ゆえジェダイよりも圧倒的に少数であった。パルパティーン全盛の時代もそうだったので、そこからシスが爆発的に増えるわけがないのだ。断じてあり得ない。宗旨替えするにしても一回死んでからじゃ遅すぎる。でもしわジイの背後には無数のフードの集団が。割とSWシリーズのお約束で、フードの人物はフォースの使い手。もちろん例外はあると思うが、シスの本拠地でしわジイがシス復活を宣言する場でシス以外が無数にたむろしてるってのもあり得ないし。雰囲気無くて寂しいからエキストラでも雇ったのか?


⑨ レイ、蘇生術を体得→レンもなぜか死ぬ間際に体得

劇中、レイは蛇のモンスターと対峙し、その蛇がけがを負っていることに気づく。レイがその傷に触れると、傷はあっという間に治り(塞がり)、蛇はレイ達を襲うことなくその場を離れる。ここでレイは初めてこの技を使ったように見える。その後、色々あって瀕死の重傷を負ったレンにも、手をかざすとその傷が治り、レン君は元気いっぱいに。レイ固有の特殊能力か!?とも思われたが、終盤にレンも同じ能力を発揮。今度はレイが瀕死(いや、死んでる?)になっているところに蘇生術を施す。ただし、なぜかレンはレイを蘇生した直後にご臨終。こいつら、片方が死んだらもう一方が蘇生すればいいんじゃね(無限ループ)?と思ったが、なぜかそれはできないし、なんでできないかは全くわからない(説明なし)。
ちょっとだけマジメな話をするが、今までこのシリーズでは、死んだ者は生き返らなかった。だから亡きジェダイが霊体になって出てくることが神秘性を持っていたし、アナキンがパドメを死なせてしまうことに対する強烈な怯えがリアリティをもっていたし、彼が最強のジェダイナイトからシスに転落しまう、愛ゆえに道を誤る悲しさが際立っていた。

それに対して、ラスト数分で簡単に二人も生き返るという表現は、今までの世界観をぶち壊すに十分すぎる。ドラゴンボールの悟空だって、クリリンが生き返れないと思ったからスーパーサイヤ人になれたのだ。それがセル編では「みんな死んでもシェンロンに頼んで生き返らせればいい」なんてほざくようになってしまう。蘇生術というのは命を軽くする暗黒面の術なのだ。

⑩ 同性カップルのキスシーンについて

最後の戦いが終わり、反乱軍メンバーが基地に帰還した際、喜び抱き合う反乱軍メンバーの中で、女性カップルが抱き合い、熱いキスを交わす一コマがある。

今まで、ことさらそういうLGBTめいた描写はスターウォーズにはなかったように思うが、急に出てきたこのポリコレ感。必要か?

物語に特に絡むこともないので、入れても入れなくても大筋に影響ないと思うが、わざわざ入れる意味はあったか?しかも間に合わせ感満載の1秒未満のシーンで(物語に深く絡むならまだ意味・意義はある)。

ちなみにゲイカップルは見当たらなかった(見苦しいから?)。もしも何等かの理由でLGBT配慮をしたいなら、せめてL,G(B,Tも)平等に出すのが妥当じゃないか?何というか、わざわざ目に付く形でこの画を入れる意味が見いだせない。そして違和感だけが残る。映画に集中してるのに、入ってくるはずのないCMを見せられている気分。

誤解のないように付け加えると、LGBTが市民権を得ることは良いことと思う。でも、必要もないのにやっつけ仕事的に、今までそんな表現がなかった映画に一瞬のあの映像をはさむ意味があったのかと、私は問いたい!悪く言えば、その意義も分かっていないのにポーズだけ取っているという偽善だけが鼻につくのだ。そんなことしてもこの映画が持つ意味に変化は起こらないぞ。

⑪ 黄色いライトセーバー

終了間際、レイがルークの育ちの家を訪ね、ルークとレイア、それぞれのライトセーバーを地中に埋める。そのあとおもむろに出したもう一本のライトセーバー。どこに持ってた!?と思う間もなく、起動されたライトセーバーは黄色(ゴールド)だったので二度びっくり。一応、ライトセーバーは機械で、中にクリスタルが使われてるとか、使われてる石の種類によって色が変わるとか設定があるので良いっちゃ良いんだが、奇をてらってるとしか思えない。今まで、ライトセーバーの色はブルー、グリーン、赤、紫(メイス専用)だったが、ここにきていきなりゴールド登場。プレミアグッズとして売り出したいんだろうか?「完結編」たる本作の最終盤で出てきたこの小道具、活かすとすれば関連作(まさかの新たなる3部作?)でフィーチャーするしかないと思うが、「完結編」でこういう「続きは次回で!」としか見えないシーンを放り込んでくる無節操ぶりには本当にシラケる。この映画を見て「本当に完結した、長い長いサーガに終止符が」なんて感動のレポートを書いてた人もたくさんいるが、皆さんこれはスルー出来たんだろうか?

⑬ 今日からあなたもスカイウォーカー!


今回、レイの出自は結構なキーポイントになるのだが、レイは前作では「お前は何物でもない=いい血筋なんか持っちゃいない、雑草」として描かれていた。前作では、その雑草のレイが強いフォースの力を持つことで、「血筋なんて関係ない!誰でもヒーロー・ヒロインになれるんだ!」という主張を感じることができた。でも今作ではパルパティーンの孫だった。そりゃフォースも強いわけだよね。で、そんなの関係ねえ!とばかりに終了間際、赤の他人から名字を問われたレイは、「スカイウォーカー」と答える。スカイウォーカーの後継者ということなのかと思うが、シリーズ全体を見てきたファンからすれば一気に脱力する一言。EP1~6まで、または8に至るまで、物語はスカイウォーカー一族を中心に描かれてきた。ルークは、父の敵と思っていたアナキン/ベイダーとの親子の絆を突き付けられて苦しみ、絆を受け入れ、最後にはベイダーに愛情さえ見せて、戦いに勝利する。EP7-8でも、ルークの苦しみは血縁者たるレンとの葛藤にある。もちろんそこにレンの母親であるレイアも加わる。そんな、この大サーガを貫くフォースの申し子、スカイウォーカー一族の系譜だが、それはどうやら気持ちの問題らしいことが判明したわけで。
今作の題名は「Rise of Skywalker」。読み取り方は人それぞれだが、スカイウォーカー(一族)の勃興(再興)とも取れる。または、意訳で「立ち上がるスカイウォーカー」とかか(これならまだクライマックスにつながる表現として許せる気がする)?どっちにしても、みんなシリーズ全体のテーマでもあるスカイウォーカー一族の動向に目を凝らしてこの映画を見たわけだ。で、その結論が「レイはパルパティーンだけど、やる気があれば今日からスカイウォーカーだよ☆」である。バカにしてんのか?純和食の料亭で食事してたはずなのに、締めにファンシーなイチゴショートケーキを出された気分である(ケーキに罪はない)。しかも、「和の精神で作りました」とか言われて。せめてレンを何とかしてやれなかったのか?

まとめ

色々と書き散らしてきましたが、全体通じて強く思うのは、「後付けで何でもあり」の設定改変に、本当に悲しくなってしまったことです。シリーズが続けば「強さのインフレ」が起きてしまうことは仕方がないことかもしれない。でも、今までの作品でできなかったことを何の説明もなく「普通に」できたことにしてしまうのは興ざめです。一定のルールが無ければ、強さのインフレは簡単に子供の「ぼくのかんがえるさいきょうのひっさつわざ」レベルに落ちてしまいます。旧来のルールを破るなら、それに代わる説得力のあるルールを作らないと世界観を保つことはできないから、そのルール構築をサボったらその作品(シリーズならその全体)のブランドをいとも簡単に崩壊させてしまいます。

レイの空中浮遊、「つながってる」設定、蘇生術と、ぶち壊しを続けてきた今作は、今までのSWシリーズに見事なとどめを刺す記念碑的な作品になったと思います。

また、新シリーズなのに肝心な部分が過去作品の二番煎じであることもがっかりポイント。ラスボスはしわジイ(パルパティーン)、艦隊での戦いでキーになるのはランドゥ、最後まで殺傷能力のないフォース・ライトニング(映画シリーズを通してジェダイは一人も死んでない)まで、ココイチの演出が致命的に古い。そうゆうところこそ、新たな時代と設定で新機軸を開拓しなきゃならないんじゃないの!?と具体性のないダメ出しを言いたくなってしまいます。

シリーズがディズニーの商業主義に染まったからだとか、歴代のシリーズで矛盾が多すぎてもう整合性を保つのは無理だとか言われているが、もしそうならSWのシリーズはこれで終了した方が良いと思います。または、盛大な矛盾を当たり前のものとしてスピンオフを量産するとか、リブートするとか(バットマンとかリブート天国だし、あれはあれで面白い)。まあでも、もし関連作がまた作られても、今までのような期待をもって見ることはできないでしょう。合掌。

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