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君のため何ができるだろう

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第一話

第一話

〇〇:うわっ、マジか……!

私の手に握られたスマホの画面には、滑り止め大学の合否発表の画面が映されていた。

『不合格』

〇〇:四月からどうしよ……

入試を受けた大学全てに落ちた私、森田〇〇。大学進学を諦めて就職先を探すことにした。

と言っても、すぐに就職先が見つかるわけもなく……、

〇〇:…ダメだ……

日々、お祈りメールに心を抉られ続けていた。そんなある日、見覚えのあるアドレスからメ

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第二話

第二話

菜緒:…なぁ、菜緒たち初対面ちゃうよな……?

〇〇:えっ……?

菜緒:オーディション一緒に受けたやんな、森田〇〇くん…

〇〇:…そうね

小坂さんが私のことを覚えているという事実に、私は驚きとともに嬉しさが込み上げた。

菜緒:忘れられてると思っとった?(笑)

〇〇:そら思うやろ、あれから5年半経ってんねんで?(笑)

菜緒:ふふふ…(笑)

菜緒:…ひらがな二期オーディションからもうそん

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第三話

第三話

そうして迎えた三次審査、私は七時過ぎには起きて準備をする。

〇〇:忘れ物は…、携帯…!一番大事なもの忘れるとこだった(笑)

一番大事なものは通知書と身分証明書だが、忘れ物を確認した私はホテルの部屋を出て、鍵をフロントに預ける。

フロント:いってらっしゃいませ

〇〇:ありがとうございます(笑)

国会議事堂前駅から千代田線に乗り、乃木坂駅を目指す。そして乃木坂駅で降りたとき、聞き覚えのある発

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第四話

第四話

そして8月8日から11日にかけてSHOWROOM審査が行われた。

私は8日の17時から顔出しで配信を始めた。

〇〇:…聞こえてますか~?

〇〇:始めに自己紹介させていただきます、大阪府出身中学一年生12歳のエントリーナンバー24番です

〇〇:わぁ~、コメントありがとうございます

〇〇:え~っと、『オーディションに応募したきっかけは?』

〇〇:ん~とねぇ…、一言で言うなら純粋に興味があっ

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第五話

第五話

そして最終審査。私は三次審査のときより早めにホテルを出て、会場に向かう。

スタッフ:森田くん、こっちね(笑)

〇〇:はい…(笑)

あの一件以来、スタッフさんにはすっかり覚えられていた。スタッフさんの誘導に従い、A4出口から外に出る。

〇〇:おはようございます

スタッフ:おはようございます

〇〇:エントリーナンバー24番の森田〇〇です

スタッフ:24番…、ではこの番号シールを左胸のとこ

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第六話

第六話

審査員:ではこのオーディションを応募した志望動機を改めてお願いします

〇〇:はい…、

〇〇:…私がこのオーディションを応募したきっかけは母親からの紹介でした

〇〇:それまでアイドル歌手という存在を知らなかった私にとってけやき坂46はとても素敵で、

〇〇:メンバー同士の絆や有無相通ずる関係性は画面越しにも伝わってくるほどでした

〇〇:私は今、地元から離れた私立の中学に通っていますが、今の学

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第七話

第七話

合格発表のため、審査会場にやってきた私たち。心なしか空気がピりついている。

3列×8行に整列し、そのときを待つ。会場後方には候補者の保護者が待機している。

そしてついに、そのときが来た。

司会:これより、けやき坂46追加メンバー募集オーディション最終審査の合格者を発表します…!

合格者が一人ずつ名前を呼ばれていく。

司会:3番、河田陽菜さん

司会:5番、濱岸ひよりさん

司会:7番、金

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第八話

第八話

今野:今日も現場リハーサルをしていくんだけど、その前に今日から日向坂に配属となったマネージャーを紹介します

今野:森田くん、入ってきて

〇〇:はい

私もメンバー控え室に入る。

今野:ということで、森田〇〇くんです

〇〇:初めまして、森田〇〇です、これからよろしくお願いします

(パチパチパチパチ……👏👏)

すると、

ひより:……あっ

久美:何、ひよたん?

ひより:森田くんじゃ

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第九話

第九話

そしてひな誕祭当日。私は朝七時前から横浜スタジアムに来ていた。

〇〇:ふぁ~、眠っ……!

運営本部に向かい、朝の打ち合わせを行う。

今野:森田くん、おはよう

〇〇おはようございます

今野:今日明日は忙しいよ?

〇〇:分かってます…(苦笑)



そしてメンバーもやってきて、当日リハーサルが始まる。

芽実:森田くん、水用意して

〇〇:はい!

メンバーの水分補給用の水を用意する。

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第十話

第十話

そしてライブ後から一日休みを挟み、小坂さんの専属マネージャーとしての仕事が始まった。



〇〇:お待たせ

菜緒:お願いします

小坂さんをマンションまで迎えに行き、後部座席に乗ってもらう。

菜緒:寝るから、着いたら起こして?

〇〇:分かった

そして仕事会場に到着し、

〇〇:小坂さん、着いたよ

菜緒:んっ……

小坂さんを起こし、車を降りる。

菜緒:おはようございます

〇〇:おは

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第十一話

第十一話

ひなの:森田さん!助けてください!

〇〇:どうした!?

ひなの:変な人に追われてます…!

〇〇:分かった、今どこにいる?

ひなの:家の近くのローソンから北に進んだところです…!

〇〇:分かった、すぐに向かう!

私はシャツを羽織り、車の鍵を持って家を出る。そのまま車に乗り込みシフトレバーを下げたら、法定速度ギリギリで上村さんのもとに向かう。

〇〇:…ここを左か……?

上村さんの家の近

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第十二話

第十二話

そして約一週間後、櫻坂のマネージャー陣が無事コロナから復帰し、私のマネージャー代理も終わりを迎える。

〇〇:それじゃあ、一週間お世話になりました

スタッフ:ありがとね

ひかる:え~、帰っちゃうの?

天:もう少しいてくださいよ~

〇〇:いや~、日向の人間がこれ以上ここにいるわけにもいかないし…(苦笑)

ひかる:じゃあこっちにくればいいんだよ

〇〇:行きません

ひかる:ぶぅ~……

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第十三話

第十三話

菜緒:森田くん、

〇〇:はい

菜緒:ひかるちゃんといちゃつきすぎ…!

〇〇:へっ…?

菜緒:いくら従姉弟同士でもあれはアカン…!

〇〇:はぁ…、すみません……

菜緒:むぅ……

私にはなんだか小坂さんが……、

〇〇:……あの、

菜緒:何?

〇〇:嫉妬してます…?

菜緒:なっ、そんなわけないでしょ……!?

〇〇:本当は?

菜緒:…ちょっとだけ……

〇〇:やっぱり…

菜緒:

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最終話

最終話

そして約一年後、私たちは都内の結婚式場にいた。

〇〇:緊張するな~……

菜緒:(笑)

ファーストミートを終え、列席者の集合を待つ。

スタッフ:それでは新郎新婦のお二人、チャペルの方にご移動お願いします

〇菜:はい

チャペルの外まで移動すると、両家両親が待機していた。

母親:なんでそんなガッチガチになってんの?(笑)

菜緒:もっと言ってやってください(笑)

〇〇:(苦笑)

しばら

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