見出し画像

最終話

そして約一年後、私たちは都内の結婚式場にいた。

〇〇:緊張するな~……

菜緒:(笑)

ファーストミートを終え、列席者の集合を待つ。

スタッフ:それでは新郎新婦のお二人、チャペルの方にご移動お願いします

〇菜:はい

チャペルの外まで移動すると、両家両親が待機していた。

母親:なんでそんなガッチガチになってんの?(笑)

菜緒:もっと言ってやってください(笑)

〇〇:(苦笑)

しばらくして式が始まり、私も扉の外で待機する。

スタッフ:それでは新郎様、入場いたします

扉が開き、中に入場する。

母親:…これで最後だからね?

〇〇:せやな……

母親にジャケットを着せてもらい、チャペルの中央を歩いていく。

聖壇の前で止まり、扉の方を振り返る。

しばらくしてまた扉が開き、今度は菜緒がお父さんと入場してくる。

ベールダウンをされた菜緒は再び歩き出し、私のもとまでやってきた。

菜緒父:〇〇くん、あとは頼んだよ

〇〇:はい、お任せください

菜緒の手を受け取り、一緒に聖壇を上がっていく。

牧師:新郎〇〇、あなたは菜緒を妻とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?

〇〇:はい、誓います

牧師:新婦菜緒、あなたは〇〇を夫とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、夫を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?

菜緒:はい、誓います

指輪の交換を行い、キスをする。

〇〇:菜緒、綺麗だよ

菜緒:ありがと…///

ゆっくりと顔を近づけ、誓いのキスをする。

※※:ヒューヒュー…!

〇菜:……///

そして式の後は外でブーケトスを行う。

菜緒:行きま~す…!

菜緒が放ったブーケは綺麗な放物線を描き、

すみれ:やった……!

宮地の手に収まった。

そして菜緒と宮地と三人で記念撮影をする。

カメラ:行きますよ~、はいチーズ

(パシャッ)

そしてその後は、全体の記念撮影になる。

カメラ:始めにお二人、並んでいただいて…

〇〇:こっちおいで

カメラ:はいチーズ

(パシャッ)

続いて両家親族で記念撮影。

菜緒父:ちょっと待ってて……(涙)

菜緒:(苦笑)

〇〇:愛されてんな…(笑)

カメラ:行きますよ~、はいチーズ

(パシャッ)

そしてメンバーや友人とも記念撮影をする。

友人:結婚おめ

〇〇:サンキュ

今野:二人とも結婚おめでとう

〇菜:ありがとうございます

秋元:僕たちが二人のキューピットかな…?

〇〇:ですかね…?

好花:おめっとさん

〇〇:どうも

菜緒:みんなで撮る?

ひより:いぇ~い

〇〇:相変わらずだな…(笑)

美玖:菜緒、あんたホントに綺麗だよ…!

菜緒:ちょっと、泣かないでよ(笑)

ひかる:〇〇~!

〇〇:抱き着くなよ…?(笑)

天:おめでと~!

夏鈴:なんか時が経つのも早いですね…

保乃:お二人ともお似合いです…!

菜緒:ありがとう




数日後、私は仕事終わりにひかるとサシで飲みに行くことに。

〇〇:おつかれ

ひかる:〇〇もおつかれ〜

二人で乾杯をして喉を潤す。

ひかる:ぷはぁ〜……!

〇〇:…結婚式どうだった?

ひかる:すごく良かったよ、

〇〇:そりゃよかった(笑)

ひかる:でもなんか寂しいなぁ…、

〇〇:なんでよ(笑)

ひかる:私、結構〇〇のこと好きだったんだよね〜…、

〇〇:…恋愛対象として?

ひかる:うん、従姉弟同士なら結婚出来るって思ってたのにな〜(笑)

〇〇:しゃあない、私が菜緒に一目惚れしちゃったんだから(笑)

ひかる:う〜わ、惚気だ〜!(笑)

〇〇:こちとら新婚ホヤホヤじゃ、ボケ(笑)



そして結婚式から数か月後、仕事から帰ると菜緒から『話がある』とリビングに呼ばれた。

菜緒:ちょっとそこに座って?

〇〇:うん、…何があったの?

菜緒:今日もらってきた…

そう言って菜緒が見せてきたのは…、

菜緒:女の子やって

一冊の母子手帳だった。

〇〇:…マジ……!?

菜緒:マジ(笑)

〇〇:おぉ……!

私は立ち上がり、菜緒に抱きつく。

〇〇:なんか泣きそう……

菜緒:菜緒もだよ~…



そして予定日直前、私は午前中だけ打ち合わせが入っていた。

〇〇:年度末のひな誕祭についてですが……、

そうして打ち合わせを行っていると、

(ブーッブーッブーッ…)

スマホのマナーモードが鳴った。

『森田菜緒』

〇〇:……失礼…

私は会議室の外に出て、電話に出る。

〇〇:はい、もしもし

莉奈:〇〇さん、小坂さんに陣痛来ました

〇〇:分かった、タクシーで病院に連れてってもらえる?私も向かうから…

莉奈:はい…!

電話を切り、会議室に戻る。

〇〇:失礼しました

MG:…小坂さん、陣痛ですか?

〇〇:えぇ、この打ち合わせが終わったら病院に向かいます

秋元:森田、今すぐ向かいなさい

〇〇:……分かりました、

私は荷物をまとめ、事務所を後にする。



そして病院に到着すると、陣痛室に入る。

菜緒:やっと来た…

〇〇:(笑)秋元さんにどやされて打ち合わせ抜けてきた

菜緒:でしょうね…(苦笑)

そして徐々に陣痛の感覚が狭まってきて分娩室に移動することに。

助産師:お母さん、まだ力まないよ

菜緒:ゔうぅ……

〇〇:偉いよ、よく頑張ってる…

菜緒:〇〇ぅ……

〇〇:よしよし……

助産師:よしっ、力んで!

菜緒:ふゔぅ……!

そしてついに…、

(おぎゃぁぁ……!!)

産声が聴こえた。

〇〇:菜緒ぉ……!(涙)

菜緒:生まれたよぉ……(涙)

カンガルーケアで赤ん坊を抱く。

菜緒:ちっちゃいよ…

〇〇:ほんと、両の手に乗っかりそう…

二人で涙を流しながらその子を抱く。



そして病室に戻った私たち。菜緒にはゆっくり休んでもらって、私はさっそく子供の名前の候補を考える。

〇〇:何にしようかな…

ネットで色々調べるが、ピンとくるものがない。

〇〇:夕日綺麗やな……

ふと窓の外を見ると、夕日が紅々と輝いていた。

〇〇:紅い夕日か……

そして候補の一つに『紅里』と書いた。

果たして、君のため何ができるだろう……。

そう思いながら、二人の寝顔を見つめていた。


Fin.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?