第九話
そしてひな誕祭当日。私は朝七時前から横浜スタジアムに来ていた。
〇〇:ふぁ~、眠っ……!
運営本部に向かい、朝の打ち合わせを行う。
今野:森田くん、おはよう
〇〇おはようございます
今野:今日明日は忙しいよ?
〇〇:分かってます…(苦笑)
◇
そしてメンバーもやってきて、当日リハーサルが始まる。
芽実:森田くん、水用意して
〇〇:はい!
メンバーの水分補給用の水を用意する。
菜緒:水貰うよ…
〇〇:ほい
菜緒:サンキュー…
史帆:暑っつ〜…
〇〇:ちゃんと水分補給してくださいね
史帆:ありがと…
ひより:…というか、なんで森田くんは汗かいてないの?
〇〇:そもそも水分摂ってねぇもん、出るもんがねぇよ(笑)
明里:えぇ…!?
好花:ちゃんと摂りなよ…
〇〇:はいはい…(苦笑)
◇
そしてリハーサルが終わると、メンバーたちはメイクなどの準備に移る。
一方で、私は会場の外に出て周辺を見て回る。
もうすでにおひさまが集まり始め、警備員さんが必死に誘導をしていた。
〇〇:すみません!通ります!
おひさまをかき分け、ハマスタ周辺を確認する。
〇〇:…特に不審な動きをしている人間はいないかな……
しばらく周辺を確認した後、中に戻って本番に向けて準備する。
〇〇:準備の方は順調?
好花:まぁぼちぼち……(笑)
菜緒:森田くんも早よ準備しな?
〇〇:はいはい…
ひなの:…あっ……!
〇〇:どうした…!?
ひなの:…私、今日のヘイオヒの煽り担当です……
菜緒:忘れてたの?(笑)
ひなの:どうしましょう…
菜緒:一緒に覚えるよ…!
そうして上村さんは小坂さんと一緒に煽りコールを覚えることに。
◇
そして本番前、準備を終えたメンバーさんが次々とステージ下に移動していく。
菜緒:……。
〇〇:…緊張してる?
菜緒:ちょっとだけね……(苦笑)
〇〇:小坂さん…
(ぎゅっ……)
菜緒:えっ……///
〇〇:大丈夫、頑張ってきて?
菜緒:う、うん…///
小坂さんの緊張をハグで無理やりほぐし、私もステージ下に移動する。
久美:ひな誕祭初日、盛り上がっていけますか〜?!!
メンバー:いぇ〜い!!
久美:行きます!せ〜の!
メンバー:空まで届け、ポカポカキュン!一人じゃない、仲間と共に高く跳べ!日向坂46!!ヒー!!
メンバー:お願いしま〜す!!
スタッフ:お願いしま〜す!
そして私は袖からアリーナに出て、座席の外側を周回する。
〇〇:……。
ライブ中の私の主な仕事は、来場者の監視と非常時の誘導である。
(🎶〜🎶〜🎶〜)
影ナレの後、OVERTUREが流れ始め、おひさまのボルテージが上がっていく。
〇〇:……。
今のところ、特に不審な動きは見られない。
途中、アリーナの外周を巡視していたとき、
〇〇:……おっ?
サインボールが飛んできた。
〇〇:…上村さんか
それは上村さんのサインボールだった。
〇〇:要ります?
ファン:ありがとうございます!
上村さんのタオルを持ったおひさまにサインボールを渡し、巡視に戻った。
◇
そうして何事もなくひな誕祭二日間を終え、私は誰も居なくなった会場にいた。
〇〇:ふぅ〜……
芽実:お疲れ様
〇〇:あ、お疲れ様です
ステージの上に立ち観客席を見回していると、柿崎さんがやってきた。
芽実:どうだった?二日間…
〇〇:疲れました……(苦笑)
階段に二人で腰掛ける。
芽実:明日からは菜緒ちゃんの専属か~……
〇〇:そうですね~……
芽実:でもまぁ、森田くんメンバーと打ち解けるの早いよね
〇〇:…まぁ二期生は面識ありますからね
芽実:だとしてもよ…(笑)
すると、
史帆:あ~!二人ともこんなとこにいた~!
陽世:もう打ち上げ始めますよ?
メンバーさんが呼びに来た。
〇〇:今行くよ
ケータリングスペースになっているところに行くと、
芽依:乾杯するよ~
菜緒:はい……
〇〇:ありがとう…
小坂さんから飲み物を受け取る。どこか不機嫌そうにも見えたが、ライブ終わりで疲れているのだろう、と思ってあまり気には留めなかった。
久美:それじゃあ、二日間お疲れさまでした!乾杯!
メンバー:乾杯!!
スタッフ:乾杯!!
そうして打ち上げが始まった。
陽菜:森田くん、ライブ中どこにいたの?
〇〇:どこって…、ずっと会場内の巡視だよ(苦笑)
明里:明里たちのパフォーマンス見えてた?
〇〇:逆になんで見えてねぇと思ってんだよ(笑)
明里:(笑)
久美:森田くん、お疲れ様
〇〇:久美さんもお疲れ様です
久美:…メンバーと距離縮めるの早いね(笑)その能力分けてほしいなぁ…(笑)
〇〇:たまたまですって…(苦笑)
久美:明日からはこさかなの専属だね?
〇〇:はい
久美:ファイト!!
〇〇:ありがとうございます!(笑)
~続~
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