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【講座レポ】実践ワークで計算・分析のスキルアップ!決算書を読み解き、自社の状況を把握する会計/財務講座〜ひなたMBA「つくる経営」②〜

事業年度ごとに作成する、会社の「決算書」。税理士さんに任せっきりになっていませんか? 11月9日(木)に開催したひなたMBA「つくる経営」2回目は、会計/財務のプロお2人が連携しての講座。会社の経営者や経理担当者、個人事業主など35名が参加し、「自分の会社の決算書が見れるようになる」というゴールを目指して取り組みました。

■講座概要
■テーマ:自社の状況を把握するための決算書の読み方
■講 師:河野 宝 氏(河野宝税理士事務所 代表)/ 新田 裕章 氏(株式会社インターグロー 代表取締役)
■開催日:2023年11月9日(木)10:00〜17:00
■会場:ホテルニューウエルシティ宮崎(雲海)

■講師紹介

河野 宝 こうの・たから(河野宝税理士事務所 代表)
宮崎県出身、明治大学法学部卒。大学卒業後、都内大手税理士法人山田&パートナーズにて勤務。2010年税理士試験合格。大企業から中小企業を顧問先に持つ税理士法人勤務を経て、2015年に宮崎に帰郷。2017年に個人事務所開設。法人、個人、相続申告等の税務業務を中心に、セミナー活動や、宮崎県よろず支援拠点コーディネーターとして活動中。
参考:ひむかWOMAN

新田 裕章 にった・ひろあき(株式会社インターグロー 代表取締役)
生まれも育ちも宮崎県延岡市。プログラマー、事務機器営業、パソコン教室運営会社を経て、延岡市にてパソコン教室を創業。創業後、経営について深く学ぶため中小企業診断士を取得。顧問先だけでなく、宮崎県よろず支援拠点等各支援機関に所属し、創業支援、経営改善支援、IT活用による情報発信や内部情報管理を得意とする。地域に根差した経営支援をモットーに、地域内の中小企業の支援を行っている。
参考:株式会社インターグロー


【講義/前半】決算書について深く学ぶ

最初に登壇したのは、税理士の河野 宝さん。決算書とは?という根本から丁寧に説明されました。

「決算書は会社の成績表であり、健康診断書です」。
経営者にとっては、自社の経営状況を分析し、その分析をもとに次の一手を考える判断材料の一つです。また、ステークホルダーにとっては健全な取引を行う上で必要な情報源。また、就活生が企業の経営状況や将来性を判断する材料にもなります。

「会計は英語、ITと並ぶ“ビジネス三種の神器”と言われています」
河野さんのこの言葉で、参加者たちのスイッチが押されたようです。インプットの時間も集中力高くのぞんでいました。

今回、決算書の中でも財務三表と呼ばれる「貸借対照表(B/S)」「損益計算書(P/L)」「キャッシュフロー計算書(C/F)」について、それぞれの構成要素や意味、どういう状況を読み取れるのか、を順を追って学びました。

また、それらにどんな相関性があり、どんなバランスだとどんな状況を意味するのか。いろんな事例を見ながら、一つひとつ紐解いていきます。

途中、参加者から講師へチャットで質問が入りました。

Q:「機材に投資をする際に30万円以下に収めるようにするのはなぜですか?」
河野さん:「10万円以上は固定資産として減価償却で経費にしますが、青色申告の場合、30万円未満まで単年度の経費として申請できます。細かい内訳をつくり、30万円以下に分けて経費申請する『資産分解』が非常に有効ですよ」

Q:「キャッシュフロー計算書は毎月作成する必要はありますか?」
河野さん:「投資を受けたり銀行から借入する時に必要になります。毎月は作らなくてもいいですが、3カ月あるいは半年ごとに作成するとより良いですね」

河野さんからの回答に、うなずく会場。

講座中にチャットで質問し、講師が即座に答える今回ならではの手法で、学びがより深まったのではないでしょうか。


【講義/後半】財務三表の読み解き方・分析方法を学ぶ

後半は、中小企業診断士の資格を持つ新田裕章さんが登壇。

「決算書は情報量が多くて苦手意識を持ちがちですが、全部覚える必要はありません。知りたい情報の読み方を覚えて、自社について自分で読み解けるようになりましょう」

そのために、次の3つを学びました。

①財務三表の仕組み要点を攻略
②会社の「収益性」「安全性」「成長性」を分析
決算書を読み解く実践(グループワーク)

後半は、参加者たちが実践に取り組む時間。新田さんならではの噛み砕いた表現で、難しそうな分析や計算にも比較的スムーズに取り組めているようです。

③のグループワークでは、新田さんから配られたA社、B社、C社それぞれの決算書を読み解き、会社の特徴や状況を探りました。

収益性、効率性、安全性について代表的な指標を使い、グループ内で手分けして計算・分析します。決算書とにらめっこしながら計算機をたたき、数字をメモする受講生たちは真剣そのものです。

前半に登壇した河野さんも一緒に、会場を回りながら受講生をサポートしていました。

【発表】講師も驚く、鋭い着目点と分析力

最後に、3社の分析をグループごとに発表しました。

「売上総利益率が高い。薄利多売で会社を回しているようだ」
「棚卸資産に対する売上が良い」
「おそらく大きな会社の子会社ではないか」
「販管費が抑えられているが、負債が多いのが課題」

その分析内容にうなずきながら、新田さんは最後にこうコメントしました。
「私が考えていた分析結果は、ほとんどみなさんが出してくれました。すばらしいですね。このようにして、ぜひ自社の決算書も分析してみてください」
みなさんの鋭い分析力が光る、グループワークとなりました。


10時から17時までの長丁場でしたが、「今更聞けないことが聞けて良かった」「新たな視点を得ることができた」と、満足度の高い学びの場となったようです。

また、講師のお二人は宮崎県よろず支援拠点延岡サテライトのコーディネーター。創業支援、税務、IT活用の相談なら連絡してみてはいかがでしょう。

講師のお二人、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!


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さて、2023年度のひなたMBA個別スキルプログラムはまだまだ継続中。ぜひチェックしてみてくださいね。

▼「つくる経営」経営者/経営幹部向け

取材・構成・執筆:矢野 由里
撮影:窪田 彩香

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