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ブルーベリーチーズケーキ

私は古民家の縁側からの眺めが好きです。

縁側からは今日も変わらずずっと山が見えています。いつでもどっしりと構えていて、今はまだ少し雪が残っているので春が待ち遠しいですが四季折々の山の表情が見れるので好きです。

今回は、変わらずずっと在り続けてほしいと感じた田舎の喫茶店に思いを寄せます。

スマートフォンでカフェを検索すれば、画面のマップの中にピンがいくつか立って色んなお店を教えてくれます。
でも実際に町を歩いてみると、毎日欠かさず見ているスマートフォンの情報よりも直感でピンときた初見のお店に惹かれることってありませんか?

その喫茶店は古そうな建物の1階にあって、お店の前は植木でいっぱいでした。オレンジ色であたたかく灯るランプが、手書き文字の木の看板を照らしています。植木に紛れるように鳥の餌台もあって、くちばしで突かれたリンゴがふたつ。
長野っぽさを感じます。

お店を見つけた時、ひとりで入るか迷ったのですがちょうど雲行きが怪しくなり雨が一粒あたったので思い返すと追い風が吹いてくれたのかもしれないなと思います。

こんにちは~と木の扉を開けると、切り盛りしているお店のおばあさんがひとり。そしてカウンター席の1番端にはお客様のおばあさんも座っていました。ご近所のお年を召した方々が集う喫茶店のようです。

コーヒーだけいただこうと入ったのですが、おばあさんやおじいさんが
好む飲み物ってなんだろうと思いメニューをよく見ると、コーヒーの他にも
こぶ茶、トマトジュース、レモンジュース、ミルク、ココア、ミントティー、フルーツティー、ティーヨーグルトがありました。

田舎にはもちろん若いひともいますが、ご年配の方が村長だったり
ご近所さんは世代が違ったりすることもあるので覚えておこうと思います。

メニューの真ん中にはブルーベリーチーズケーキがありました。

「すみません。コーヒーとケーキのセットをお願いします。」
「ブルーベリーのチーズケーキしかないけどいい?」

1種類しかないと申し訳なさそうでしたが、
上半分に果実たっぷりのブルーベリージャムがのっていて
とても美味しいケーキでした。

食べた後に分かったことがあります。

おじいちゃんやおばあちゃんが好きなものや愛着がある場所を残していく事だって文化を受け継ぐことになるのではないかと。
それも地方創生のひとつではないのかなと思いました。

いつもはご近所さんの顔見知りで集うお店に、いわゆる移住者という私が雨やどりと実は時間つぶしで入ったので少々警戒心を抱かれたかもしれません。

でも1種類しかないのかと仕方なく食べるのか、それとも
たった1種類だけど心ゆくまで楽しんでみるかはあなた次第です。

それは、おばあさんはブルーベリーとチーズケーキがどっちも好きなのかな、もしかしたら好きなひとの大好物だからこのケーキ1種類なのかななんて、ひとりのおばあさんに思いを馳せて、この田舎町のひとに触れた時間になったからです。

季節限定のケーキに惹かれがちな私ですが、いつ行っても変わらずずっとある安心感と定番の味も特別ですよね。

今度行った時はブルーベリーチーズケーキの
お話を聞けたらいいなと思います。

@furuka.mera

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