【エッセイ】女に生まれてみたかった
女になりたいわけでは無いけれど
「女に生まれてみたかった」と思うことがある。
私はいわゆる
「トランスジェンダー」
ではないので、自分の性別に
違和感を覚えたことはない。
男性としての自分が好きだし
美人になりたいとも
かわいくなりたいとも思わない。
それでも
「女に生まれてみたかった」
と思うことがあるのだ。
それはなぜか。
*
私は
かわいいものが好きだし
甘いお菓子や
アロマや
スキンケアなど
女性が好みそうなものばかりが好き。
そしてもちろんゲイなので男性が好きだ。
だけど大きな声でその話をすることはできない。
女っぽい
ゲイっぽいと思われることが嫌なのだ。
でもたまにはそういう話をしたい。
ぎりぎりアロマやお菓子の話は出来るが、
それらに対する情熱を
全力で表現することは出来ていない気がする。
心の中では
「これめっっっちゃかわいいよね!!!」
くらいの感情でいても
「かわいいよねそれー。」
程度のテンションでしか話ができない。
やっぱりありのままの自分を
見せるのが怖いのだ。
かわいいものが好きで熱くなっている自分が
気持ち悪いもののように感じてしまう。
*
私は女性の容姿に対して全く興味がない。
ゲイでもそういったことに興味がある人も
居るらしいが私は本当に全くない。
造形的にかわいい
美しいみたいに感じることすらないのだ。
ただ男性に対しては違う。
明らかに好きな顔、嫌いな顔があるし、
興味があるので話を広げることもできる。
でも話す相手がいない。
「あの人かわいいよねー!」
「〇〇くん(芸能人)の顔苦手なんだよな。」
「男性のファッションならこれが好き。」
など
たまには誰かと共有したい。
そして共感しあいたい。
でも出来ない。
*
私はなぜか女子会に呼ばれることが多い。
女子2+私
みたいな。
そんな時の話題は
恋愛だったり
好きなアイドルだったり
家族だったりするのだが
私はほとんど聞き役に回るだけだ。
本当は
いつかの失恋の話や
好きな芸能人の話
将来どうやって生きようとしているか
など話をしたい。
でもやっぱり出来ない。
私はたぶん「私」の半分くらいしか見せないで
みんなと会話をしている。
そんなの面白くない。
だけど私が「私」で居ることを
私自身が許せないのだ。
否定されることに
おびえているのかもしれない。
そんな時に私は
「女に生まれてみたかった」
と思う。
もし私が女だったら
この前の大恋愛の話も
好きな男性芸能人の話も
将来の話も
全部話すことが出来るのに。
*
先日とある女子社員から
某家具メーカーがやっている
ショップに行こうと誘われた。
家具だけでなくアロマの調合をする場所や
カフェが併設されているおしゃかわな店だ。
嬉しい反面
どのテンションで行けばよいだろうかと
一瞬不安になった。
でも行くなら全力で楽しみたい。
というかこういうところに
誘ってくれている時点で
彼女は私のことをある程度は
理解してくれいるはずだ。
たぶん。
4月某日に行くことになったので
全力で楽しもう。
かわいいとおしゃれを全身に浴びよう。
下手したらカミングアウトしちゃうかも。
いやしないか。わからん。
最近もうどうとでもなれと思うことが多い。
ただありのままで生きたい。
一度きりの人生、全力で楽しみたい。
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