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さよならルッキズム 2023.07.18

寝苦しすぎる。

日本のニュースを見ると、連日暑い日が続いているようだ。特に私の地元の埼玉県なんかは、もともと暑い地域ではあったが今年はずいぶんな猛暑であると聞いた。そちらに比べたらニューヨークの暑さは湿気が少ない上にそこまで気温が高くない分マシかもしれないが、それでも最近は大変寝苦しく、朝5時だか6時だかに目がさめ水を飲み、二度寝するという睡眠リズムになってしまっている。

この間はビザの相談をするために弁護士とアポを取った。今の私のビザはOPTといういわば「働くことのできる学生ビザ」「職業訓練ビザ」と呼ばれるものである。これは大学・大学院卒業後1年ほど有効であり(分野によっては3年ほど有効なものもあるが、人文系はまず1年である)その後もアメリカにいたければビザを切り替えなければならない。私の職業は音楽家なので、OPT後はアーティストビザなるものに切り替える予定である。アーティストビザの申請はたくさんの書類を用意しなければならないため骨が折れる作業であり、ほとんどの人々は初回申請に弁護士を雇う。たまに全部自力でやる猛者もいるが、リスキーであるのと同時にそれをして失敗し、1年間母国に帰らざるを得なくなり、結局大変な思いをしたイスラエルの友人を目の前で見ていたので、弁護士を雇うことにした。

その弁護士事務所はマンハッタンのど真ん中にあった。いわゆる5番街といわれるエリアの近くであり、高級ブランドがひしめきあい、観光客で溢れ、ティファニーの一号店の前ではなんだかハリウッドセレブみたいな風貌の人が、お見送りに来た店員に挨拶をしたあとに高そうな車に乗り込んでいる。

そういう場所、日本で言うならばどこに当たるだろうか。港区?とにかく高級ブランドと高層ビルがひしめきあうような場所、であるということを頭に入れていただきたい。そんな場所にあるビルディングだから、セキュリティーもしっかりしていて、当たり前だがしっかりアポがないと入ることはできない。

そしてビルの受付で手続きを済ませてエレベーターに乗った後、私はある事実に気がついた。受付の人、めちゃくちゃ愛想なかったな、と。サービスが悪いとかそういう話でもなく、アメリカなら普通の範囲内の対応ではあったのだが、日本に置き換えるとなかなか起きないことなのでは?と感じた。

というのも、日本でああいうエリアにあるビルディングの受付というのは、いわゆる「受付嬢」とか呼ばれる仕事だろう。「華」や「顔」であるから美しくあって当然だ、という認識もあるし、丁寧で、にこやかで、それでいて若い女性が好まれるのだろう。あまり詳しくないが、やはり長く続く仕事ではないらしい。

対してアメリカの受付、仕事はしっかりしてくれていたが正直丁寧ではなかったし、前述した日本での『受付嬢が求められている要素』みたいなものはあまり持ち合わせていない人ではあった。マンハッタンのど真ん中で、受付嬢が見た目重視のマスコットではない、というのは「外見至上主義」ではないのだろうな、と思わせられる出来事であった。

もちろん、だからアメリカ最高!みたいな話にしたいわけではないし、アメリカもアメリカで色んな問題を抱えていて問題だらけだし、そもそも人種差別はルッキズムだろ、みたいな話にもなりかねないのだが。それでも、「若い」「綺麗」「かわいい」「細い」が最高!価値がある!みたいな日本の「外見至上主義」とは距離を置いていきたいし、外見に言及しない(これは余談だが、彼らは顔の造形や目の色などの『生まれ持ったもの』や『自分ではどうしようもないもの』には言及しないが、服や髪型などの『自分で選んだもの』に関してはかなり言及するし褒めてくる)という彼らのスタンスはこちらも見習うべきだなと思うなど。


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