ポジティブにも前向きにもなれない夜でも朝は来るらしい。たぶんね。

今、ノンアルコールビールを飲みながら書いている。正直にいうと美味しくないしどうしてビールの代わりにこれを飲まなくちゃいけないのかと思う。そもそもビールは好きではなく乾杯の時に仕方なく「とりあえず一杯」を飲むが、それに含まれているアルコール分は「はかいのつるぎ」に変換され怖いものなしの状態になれるため悪くはないと思う。私はゲームをやらないので「はかいのつるぎ」が強いのか弱いのかわからないけれど、なんとなく強そうなので例えてみた。だからアルコールがないビールは私にとって何のメリットもないと思いながらも訳あって飲んでいる。

「ポジティブに生きよう」「前を向いて歩こう」日々そんな言葉が溢れている。目に入るたびに「わかっているんだけれどね」と言いたくなるけれど、そもそも「だけどね」なんて言葉を使っていること自体何もわかっていないんだと思う。

朝起きて顔を洗いながら「今日はポジティブにがんばろう」と思っているのだろうか。朝起きて何も考えること無く流れ作業のよう進み、気がつくと会社に到着していたという生活をしている。「前を向いて歩こう」だって日常的に後ろ向きで歩く人を見かけることはほとんど無いし、一人で歩くことが多いからよそ見をすることもない。時々はスマホに目をやりながら歩いてしまうことがあるが、それは危ないからやめなくてはいけない。私は「ポジティブ」とか「前向き」とかを意識して生きてない。それが良いことなのかはわからないがそういう生き方も良いと思う。

むしろ意識しているときこそ、心が安定していない。

「私は私、あなたはあなた」

そう思えたらどれだけ楽なのだろう。自分の立場や環境など努力ではどうしようもないことを比較しては嫉妬したり不安になる。がんばればなんとかなることでもその気力が薄れる。けれど普段はそんな思いを押し込み現実逃避をしているのだろう。

夜になるとえぐられるように苦しい。理由は多分わかっているが、それに気付いてしまったら多分壊れてしまう。楽になりたいと思っているからなのか「引き寄せの法則」を無意識に調べている私がいる。

「なりたい姿を思い浮かべる」

しかし思い浮かべては現実に引き戻され負の感情が溢れてしまう。「ポジティブ」を意識すればするほど「ネガティブ」になってしまう。それは決して引き寄せの法則を否定しているわけではなく、たぶん自分自身が信じられないだけだと思う。

ノンアルコールビールを飲んだのは冷蔵庫の整理のためだったが、アルコールが入っていないとわかっていてもこれを飲めば「はかいのつるぎ」をゲットできるような気がした。しかしノンアルコールビールでは何の変化も訪れず「はかいのつるぎ」をゲットするどころか私自身が夜の闇に刺されて瀕死状態になっていた。

そのまま眠れなかったとしても数時間後には日が昇り朝がくる。たとえ夜の感情が残っていたとしても一日が始まる。誰にでも平等に朝は来る。その繰り返しであるならばできるだけ現実逃避したままでいさせてほしい。

それが「ポジティブ」ということなのだろうか。


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