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現代視覚文化で中国語を勉強しよう!ノベルゲーム編②山桂 ~Sweet Osmanthus~

 さて、前回のおさらいとして、中国語を勉強するには情熱が必要だと結論付け、僕はその情熱を、ノベルゲームに求めたところでした。

【前回】現代視覚文化で中国語を勉強しよう!ノベルゲーム編①序章

 中国語に対応したノベルゲームの多くは、PC用ゲーム配信プラットフォームであるSteamから入手することができます。Steam以外にも、DLsiteなどで中文対応の同人ノベルゲームを買うことができますが、作品数はあまり多くありません。

 Steamで中国語対応ゲームのノベルゲームを検索すると、かなりの数のゲームが検索結果に表示されます。でも、これらの大多数は、字幕だけ中国語に対応したものがほとんどです。

 序章で説明しましたが、中国語学習の鍵は、なんと行っても発音にあります。つまり、中国語を学習するうえでは、音声も中国語であることが望ましいといえます。

 例えば、日本で発売されたNEKO WORKsのNEKOPARAは、その可愛さから全世界で大ヒットしました。Steamで各国語版を入手することができますが、音声は日本語しか対応していません。

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 NEKOPARAは音声が日本語だけが惜しくて、絵は可愛いし、グリグリ動くし、アレなパッチもあるし、日本語と中国語の同時字幕に対応してるし、神ゲーなのですが、そこまで都合のいいことは人生あまり起きないものです。

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 音声が中国語じゃないのは、当然、NEKOPARAが日本で作成されたゲームだからです。映画市場と異なり、ノベルゲーム市場は、各国語版声優を雇うほど、リッチな市場ではありません。字幕の翻訳が限界です。

 では、どうしたら中国語の音声に対応したノベルゲームに巡り合うことができるのでしょうか。答えは簡単です。中国や台湾で制作されたノベルゲームを探せばよいのです。

 ということで、前置きが長くなりましたが、今回紹介するゲームのタイトルは、中国大陸で制作されたの「山桂」というノベルゲームです。制作会社は、「Magenta Factory」という南京にあるゲーム制作会社です。

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 ゲームタイトルである「山桂」とは、副題の「Sweet Osmanthus」にあるとおり、金木犀のことです。このゲームは、シナリオも、原画も、音楽も、すべて中国で内製しているところがとても素晴らしいです。

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 詳しくは別の機会に説明したいと思いますが、中国や台湾で制作されているノベルゲームの中には、原画や声優を日本に委託しているところが多くあります。

 しかし、中国語を勉強している皆様方においては、単に言語としての中国語を学習するよりも、中国の文化や歴史、空気感に触れたいという思いが少なからずあるはずです。

 ゆえに、すべてが中国国内で内製されている純度100%の作品は、これまでノベルゲームをプレイしたことない人でも、中国語学習教材の枠を超えて、いち作品として純粋に楽しめると思います。

 このゲームのよいところは、Steamだけでなく、Androidでもプレイできるところです。しかも、値段も110円と激安なので、Google Playストアか今すぐ入手することをおすすめします。

 日本語環境で実行すると、日本語のメニューが表示されますが、設定から中国語に変更することができます。簡体字や繁体字だけでなく、ロシア語やスペイン語など、世界各国の言語に対応しています。

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 ゲームの舞台は、夏真っ盛りの山の中で、主人公の女の子が遭難しかかっているところからはじまります。金木犀のくせに真夏なのかい、というところは、いったん置いておきましょう。

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 ゲームを開始すると、物悲しい音楽と共に、暗い内心の吐露から始まる感じの文章が画面に踊り始めます。おいおい大丈夫かという気持ちになりながらも、じっとりした盛夏の大気の下、物語は進んでいきます。

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 ネタバレになるので、多くは語りませんが、ひとことだけ言わせてもらうと、山桂は、日本のノベルゲーム、いわゆる「泣きゲー」でよくありがちな、「無理矢理泣かせにくる」ような感動の押し売りは皆無で、非常に爽やかな読後感に仕上がっています。

 なお、クリアまでのプレイ時間ですが、2~3時間あれば終わるので、中国語学習の気分転換に、サクッとプレイすると、とてもよいと思います。


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【次回】現代視覚文化で中国語を勉強しよう!ノベルゲーム編③雪茸~Tiny Snow~

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