「コーヒーはフルーツです」に異議あり
「コーヒーはフルーツです」
近年あちこちで見かけるキャッチコピーですね。
そしてフルーツだから、コーヒーは本来フルーティな酸味や甘味を持つ飲み物なのです、と続きます。
確かにコーヒー豆は、コーヒーノキの果実の・・・・種子です。
ところで、フルーツの種子を手に取って「これはフルーツです」と言っているシーンはあまり見かけないと思うのです。
一般的に「フルーツの味」とは、果肉の味のことを意味しているのではないのでしょうか?
くどくなりました。
生豆を潰して煮出してみたことがあります。
その方法は以下の通り
使用した豆はコロンビアSUP(ウォッシュド、スペシャルティ)12g
①一定時間清水に漬け、シルバースキンをふやかして剥く。
②半日ほど乾燥させてから、プロペラ式の電動ミルで粉砕。とても堅く、何分プロペラを回しても一部大きな欠片が残る。
③フレンチプレスにて95℃、5分浸漬。
すると
少し濁った薄い緑茶のような液体ができました。
青臭さが強く、オエッとなる類いの臭いです。
そして飲むと薄い水飴のような甘味がする。
酸味は感じられませんでした。
種子(生豆)の味は、フルーツとはほど遠いものでした。
コーヒーの酸味も、甘味も旨味も苦味も最初からあるものではなく、焙煎(加熱)によって引き起こされる化学反応によって作られるものです。それは焙煎人ならば誰でも知っているはずの事実です。
なので「コーヒーはフルーツだからフルーティな飲み物です!」というのはちょっと無理があるのかなと思うのです。
私はフルーティなコーヒーを嫌っているわけでも否定しているわけでもありません。むしろ珈琲にとって、酸味はとても大切な要素と認識しています。
その証拠として、当店では常時4種類の浅煎り、さらに4種類の中煎りを置いています。
そろそろ奥歯にものが挟まったような言い方はやめにして、はっきり言います。
コーヒーはフルーツではありません、コーヒーはコーヒーなんです。
フルーティなコーヒーもコーヒー、ビターなコーヒーもコーヒーです。
サポートは謹んで辞退させて頂きます。お気持ちだけで十分幸せです。