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コーヒー関連の資格を取得することにメリットはあるか?:店を始めたい人へのメッセージその26

これから述べることはあくまで私の私見であり持論です。

最初に申し上げておきたいことは

珈琲屋を開業するにあたり、取得しなければならない資格はひとつもありません。誰でもバリスタ、ブリュワー、ロースターを名乗れます。
※「食品衛生責任者」の資格は必要ですが、これは珈琲屋に限らず飲食店、食品製造所のすべてで必要になる資格ですので除外します。

その上で・・・

それでもコーヒー関連の資格を取得することにメリットはあるか?

まず結論から申します。

メリットは大いにあります。大ありです。

そして

ただし、

がつきます。

●コーヒーのことをきちんと学ぶためのきっかけ作りの場として、そのメリットは大いにあります。

われわれ珈琲屋は、珈琲をもとめるお客様と珈琲業界を繋ぐ場所にある存在です。いわば「インターフェース」です。
ですので、商品そのものやその背景(植物学的知識、生産や飲用の歴史、生産国の気候風土や文化、歴史など)についての豊富で詳細な知識をもち、必要に応じてお客様に説明し、さらにはコーヒーライフのクオリティを高めるためのお手伝いもできなければならない存在です。

「珈琲ほど日常に溶け込んでいる飲み物はない、にもかかわらず、これほど理解されていない飲み物もない」と日々感じています。

だからこそわれわれ珈琲屋はきちんと勉強をしなければならないのです。そのための手段として資格取得は大いに有効です。

一方、資格取得を集客の手段と思っている方に、残念な事実をお伝え致します。

●お客様を呼び込むための直接的なツールにはなりません。そういう意味でのメリットは全くありません。

私は開業後1年してSCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)の「コーヒーマイスター」を取得しました。
そしてそのことをSNSやローカルの紙媒体で一生懸命喧伝しました。まったくスケベな輩です。残念ながら直接的な集客にはつながりませんでした。
もちろん既存のお客様はたいそう喜んで下さいました。
それだけが救いでした。

コーヒーマイスターなどという資格は、ひとたび業界を離れてしまえば全く無名の資格です。カフェのオーナーですら知らないことが多いです。Qグレーダーなんてもっと誰も知りません。
ワインのソムリエのことは名前くらいは誰もが知っていますが、コーヒーマイスターのことは名前すら誰も知らないのです。それが現実です。
だから「あの店の店主はコーヒーマイスターの資格所持者だから行ってみたい」などという来店動機にはならないのです。

追記:現在店内に「アドバンスドコーヒーマイスター」と「国家1級自動車整備士」の免状を額に入れて掲げていますが、自動車整備士資格の方が、知名度も説得力も圧倒的に上です。
機械に精通した人間が焙煎機の保守点検整備を実施して、焙煎機をベストな状態に保っているという信頼感を得るための有効なツールになっています。
前職のキャリアが現職を支えてくれています。これはとてもラッキーなことです。

●資格取得にはかなりの出費を必要とします。資格取得に掛かる費用と時間は「投資」という側面もあるので、対費用効果も視野に入れて取得するかどうかを考えなければなりません。

追記:私がQグレーダーの取得を踏みとどまっている理由もそこにあります。Qグレーダーを取得することによって得られる新たな知識やスキルがあることも解っているのですがね・・・対費用効果に疑問が残ります。



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