見出し画像

自分の強みの見つけ方

わたしはフリーライター&イラストレーターをしている。フリーで働いていると特に「よりどころ」が欲しいのか、「才能とは」「自分の強みとは」などと、とりとめもなく考えてしまう。

先日和田誠さんの展示を見に行った。和田さんは日本でも3本の指に入るイラストレーターであることは間違いない。(ちなみに残り2人は個人的には安西水丸さんと原田治さんだと思っている)

和田さんは学校の先生でもある。だからなのか、和田さんの作品をただ楽しく味わえばよいのに、職業意識が邪魔をして純粋に楽しめない。

そこで、こんな考察をしてみたわけである。


どうすれば和田誠に「なれる」のか


わたしは上記記事で、「好き」は何より大事だけど、和田さんのようになるには、ただ「絵を描くこと」が好きなだけじゃダメだ、と結論付けている。

絵を描く以外に、映画や音楽や演劇についても、人並み以上の見識を持っていたからこそ、和田さんはあそこまで仕事を広げられたのである。

では和田さんのように博識で素晴らしいイラストを描ければ、和田さんのようになれるかといえば、今の時代では難しいと思う。

和田さんは100年に一度出るか出ないかの逸材であり、時代性にも恵まれた人だからだ。

和田さん以外にも、イラストレーター出身でタレント業などマルチに広く活躍している人はいる。けれど、失礼ながらその人たちが「イラストレーターとして一流か?」と言われれば、決してそんなことはない。

そういった人たちはむしろ「マルチタレント」として、タレント業に軸足を移してしまうケースが多いように感じる。

理由はいろいろあるだろうけれど、タレント業の方が圧倒的に儲かるのだろう。

イラストをちまちま描いても、一点数千円や数万円の世界だ。書籍のカバーや広告の大きな仕事が来てようやく十万円台から百万円台に乗っかる。テレビや講演などで数時間で数十万という仕事に慣れてしまったら、そちらの方がいいと感じる人もいるだろう。


強み=自分のキャッチフレーズ


話は違うけれど、ある芸人さんが「最初から芸人を目指すより、『おもしろいタクシー運転手』とかで話題になる方が売れる可能性が高い」と言っていたのだけど、これはクリエイターにも当てはまる。

イラストレーターは逆に、先に芸能人になってから売り出すのは、ひとつの手だと思う。芸能人としてはそこそこでも、「絵が得意な芸能人」となれば強みになる。

和田さんは「絵はうまくなくていいから、いい絵を描くこと」とおっしゃっていたけれど、そもそも「正解」のない世界なのだ。わたしは10年以上この世界にいるけれど、めちゃくちゃほめてくれて長く使ってくれるクライアントがいる一方で、けちょんけちょんにけなされたこともある。

でも、仕事が来やすい「作風」や「人となり」はある。和田さんがなぜあんなに仕事が来たかといえば、イラストに個性はあれど強いクセはないことが一つの理由だ。「使いやすい」ことは非常に重要なのだ。

そして、仕事が来る理由のもう一つは、「その人自身」に特徴があるということ。わたしでいえば「名古屋めしを誰よりもおいしそうに描けるイラストレーター」だろうか。

たとえば、釣りが趣味で、「魚を誰よりも正確に描ける」とか、旅行が好きで、「旅行記込みで仕事ができる」とか、そういった、自分の「趣味」がそのまま、自分の「強み」になるのが、この仕事なのだ。

和田さんになれなくてもいい。でも、「自分の強み」は前面に押し出そう。今日からプロフィールや名刺に「◯◯大好きイラストレーター」などと書くのもオススメだ。アイドルのごとく、自分に「キャッチフレーズ」を付けるように、自分の「強み」を考えてみたい。


いいなと思ったら応援しよう!

陽菜ひよ子 / インタビューライター&イラストレーター
もし、この記事を読んで「面白い」「役に立った」と感じたら、ぜひサポートをお願い致します。頂いたご支援は、今後もこのような記事を書くために、大切に使わせていただきます。