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セクハラとデートの線引きはどこにあるのか

出版社の編集による
女性ライターへのセクハラが話題になっていますが
この業界多いです、セクハラ

だって、多くがフリーランスである
ライターやイラストレーター、カメラマンなどの下請けにとって
編集者って圧倒的に強い立場の人で
生殺与奪の権利を持っているとさえ言えるんです。

女性のイラストレーター仲間から
「打合せだと思って出かけたらただの食事だった」
迫られた
みたいな話はよく聞きます。
それでも多くのフリーランスは声を上げることはありません。
仕事をくれる編集者は神様みたいなものだからです。

とある男性編集者から
「陽菜さんはもっと営業頑張らないと
スゴイ美人ならそれだけでも仕事来るけど
そうじゃないんだから」
と言われたこともあり。。。これもセクハラだよね。

モデルやアイドルならともかく、イラストレーター
美人だからという理由で仕事を回すことも
美人じゃない人に「美人じゃないから仕事が来ない」と言うことも
どっちもセクハラだよ。

ま、実際のところ
美人イラストレーターセクハラされる割合って
私などの比ではないのでしょうが。

私も最近はとんとなくなりましたが
30代くらいの頃までは、よく嫌な目に遭いまして
その頃のことを書いてみたいと思います。


最初に言っておくと
ここに書いた編集者はホンの一部であり
特に私が今までお仕事をいただいた編集さん
セクハラをされたことは一度もありません
(セクハラする奴は仕事もくれないのだ。サイテー)

ほとんどの編集さんは
創作者としてのイラストレーターにキチンと敬意を払って
尊重して下さいます。
そのことを踏まえてお読みいただけたら幸いです。


その1:エレベーターに気を付けろ!


2007年春ごろの独身時代の話。
大手出版社A社の編集B氏と知り合って
ポートフォリオのファイルを送ったところ
B氏はわざわざファイルを持って私の展示に足を運んでくださり
何度か二人きりで会うことになったのです。

最初は食事をというので
絵に関する感想を言ってくれるのかなーと思い
のこのこついて行きました。

絵に関してはお褒めくださったので大興奮。
このままいけば、有名女性誌や有名作家の小説などの
イラストを依頼してもらえるかも!と
淡い期待に胸膨らませて
その後も食事や芝居観劇など
誘われるまま出かけて行きました。

B氏との関係が終わったのは
ある居酒屋で食事を終えたエレベーターの中でした。

急に抱きしめられたのです。
一体何が起きたのかわからなくて、目が点になりました。

B氏妻とはうまく行っていないので
別れて私と付き合いたいと言いました。
正直、B氏に妻がいることも知りませんでしたが
興味もなかったので、ああそう、という感じでした。

申し訳ないけど自分はそういう気は全くないと告げると
その後B氏からの連絡は一切なくなりました。

当時の男友達に話すと、彼はB氏に同情的
「かわいそうに。その人期待したんだな。イケると思ったんだな」
とのことで、え?それって私が振ったってこと?
私が悪いの??とその時は混乱しました。

でもさ、どっちにしろ
「そのうち妻と別れるからキミと付き合いたい
って、不倫男が女を誘う常套句だよね。


その2:タクシーに気を付けろ!


B氏とのことがあってから数か月後のこと
某サブカル系出版社Cの営業D氏から
「陽菜ちゃんのイラストすげーいいからさ
今度でっかいプロジェクト立ち上げて絵本作ろうよ」
と連絡がありました。

C社に行くと、D氏の仲間の営業マン数名
編集者数名のチームが出来上がっていました。
まだ新人だった私には夢のような話。

数か月の間、毎週のようにチームで集まって
プロジェクトの概要(環境問題を取り込み募金する)や
ストーリーなど編集部で練ったあとは
居酒屋でプロジェクトの成功を祈って盛り上がり
男性陣の中に紅一点で、すっかり有頂天になった私。

それが終わりを告げたのは、ある日の帰りD氏
「陽菜ちゃん、タクシーで送るよ
と言い出したことでした。
私は当時山手線沿線に住んでいて終電は遅く
電車でも帰れたんですが
せっかくなのでと甘えたのが悪かった。

D氏は私よりだいぶ年下で、会うのはいつも大勢だったので
まさか向こうが私を女性としてみているとも考えてなかったのです。

タクシーに乗った瞬間にキスをされ
(服の上からだけど)体を触られたときには、とにかく驚いて。
D氏とはあまり上下関係なく仲間みたいに思っていたので
そのショックたるやなかったです。

必死にタクシーを降りて何とか電車で帰りましたが
その日を境にプロジェクトが空中分解したことは
言うまでもありません。

このことは私にとってよほど苦い想い出だったのか
ずっと記憶の奥深くにしまい込んで封印していたのです。

そこから5年後の2013年に
D氏と某所で再会
するまで忘れていました。
当時の仲間が主催する会に彼も同席していたのです。

すでに結婚して数年が経過していた私に
「俺あの頃、マジで陽菜ちゃんのこと好きだったんだよね」
D氏はニヤニヤしながらのたまいました。

その瞬間走馬燈のように
タクシー内で起きたことを思い出したのです。

はぁ~?
あれが好きな相手にすることか????!!!!

何よりショックだったのは
もしD氏のことを好意的に捉えて
私を好きだったとしたら

あのプロジェクト自体
私に会いたいだけで立ち上げただけのもので
絵を認められたわけではなかったということ。

それがもうとにかくショックでした。


いつでもどこでも気を付けろ!


それ以外にも
仕事のことで話があるからと呼び出されて行ってみれば
一応仕事の話もするけど、ほとんどずっと
「俺いいもん持ってるから、絶対満足させるから」
と言い続けるような
もはやセクハラ以外に言葉が見つからない
ドストレートなお誘いもありましたっけ。

エレベーターとタクシーのふたつについては
B氏もD氏も恋愛感情を持っていたのだから
セクハラではないのでは?という考えもあるでしょう。

それでも私はアレはセクハラだったと思う。

なぜかと言えば
B氏は毎回私のファイルを持参して
D氏はプロジェクトを立ち上げ
どちらも表向きは「仕事を依頼する」体で誘って来ているから。

本気で恋愛感情を持っているなら
仕事の話抜きで誘ってくるべきです。
仕事といわれれば断れないこちらの立場を利用して
打合せのフリをして誘ってくるのはみんなセクハラ

仕事の話で会っていたら好きになった
ということもあるかもしれませんが
それならまず素面で告白するのが筋でしょう。
酔った勢いでエレベーターやタクシー
襲い掛かるなんてありえない。

仕事の上下関係なく知り合った女性相手に
そんなことできますか?

ただ私としては、エレベーター内やタクシーで起きたこと自体より
打合せだと信じて会っていた時間を返して欲しい
それが本音かもしれません。


セクハラだと確信できたある作家さんの言葉


「セクハラが嫌だったら結婚するしかないよ」
その頃仲間にそういわれたことがあります。
そのために結婚したわけではありませんが
結婚したら結果的にセクハラはピタッとなくなりました。

2年ほど前に文芸の大物作家さん数名と
書店員さんたちと一緒に飲んだ時に
B氏のエレベーター事件についてネタついでに話したら
女性の大物作家Eさんがすごく憤慨して
「陽菜ちゃん、それひどい。訴えてやりたい
と帰るまで何度もおっしゃり、次にお会いした時
A社に訴えてやったら?」
とおっしゃっていたので相当ショックだったのでしょう。

Eさんのおかげで「やっぱりあれはセクハラだった」と
再確認できたので、話してよかったです。

でもEさん、すみません。
A社の名前は覚えてても
B氏の名前は覚えてないんで。。。
どうも私は嫌なことはさっさと忘れるタチみたいです。

私は性的被害を受けるところまでは行っていないこともあり
それほど傷ついてはいません
中にはもっとひどい目に遭って
忘れたくても忘れられず
トラウマになってる人もいるでしょう。

どうしたらこうした被害を避けられるのでしょうか。


セクハラを避けるには大物になる以外に道はないのか


作家や漫画家
は、同じように編集者と付き合いがあっても
下請けであるライターやイラストレーターとは立場が違います。

作家や漫画家など本の著者は
「先生」
として大事にされるんです。

特に売れっ子の作家や漫画家
下手なことをして怒らせて
書いてもらえなくなると困ります。
だから絶対セクハラなんてするわけがない

イラストレーターでも
一般にもよく知られて人気があり
その人がイラストを担当すれば確実に売れるなど
「数字が取れる」ことがわかっていれば
作家並みに大事にされるでしょう。

そんな人はホンの一部
ほとんどのイラストレーター下請けに過ぎず
必死に営業をして仕事を勝ち取るしかありません。

おかしいよね、絶対に。
大物でなければ
セクハラに遭って屈辱的な想いをしても仕方ないなんて。


繰り返します
ここに書いた編集者はホンの一部です。
編集さんがみんなセクハラをするという認識は
全くの的外れです。

ほとんどの編集さんは
創作者としてのイラストレーターにキチンと敬意を払って
尊重して下さいます。

まず「正式な仕事の依頼」があるのが前提
その後に必要ならば打ち合わせをするのが常識です。
具体的な話がなく「会って話しましょう」
と言われたら断っていいよ

たとえ性的にひどい目に遭わなくても
仕事がもらえるかもと期待を抱いて会った時間
無駄になること自体がもったいないしセクハラです

こういうことがわかるようになったのも
若い頃に痛い思いをしたから。
苦い経験も無駄ではなかったかもしれません。

そう言えるのは
心に傷を負うようなひどい目に遭わずに済んだからで
私は運が良かったともいえるでしょう。

セクハラは女性にとって深い傷をもたらす結果になりかねません。

もちろん悪いのはセクハラをする男であることは当然ですが
女性の側も被害を回避する賢さを身につけたいものです。
そのために私の経験が参考になれば幸いです。

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陽菜ひよ子 / イラストレーター&文筆家&漫画家

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ウレシイです♡
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