小説を読まないわたしの読書記録と積読 2022年10月~12月あたり

 なぜかわたしのなかで、本=小説 みたいなイメージがありました。
 おそらく、文章のジャンル分けについて良く知らない子供時代、文章といえば小説、小説といえば本、という少ない知識からの連想によって、そういうイメージがついたのかもしれないです。

 それで、最近図書館によく行ってるしわたしにしては本をたくさん読んでるな、と思いながら本屋さんの文庫本小説コーナーに入ってみたら、作者の名前に全然なじみがない。
 あっ、わたし全然小説読んでないじゃん、とその時気づいた。


 じゃあ私はどんな本を読んでいるんだろう?

 ということで2022年10月~12月あたりに読んだ本をまとめてみました。
 果たしてわたしは一体何を読んでいたんでしょうか。


コヘレトの言葉

 最近読んで面白かった本は?と言われたら、迷うけれど、とりあえず「すべてには時がある」は読めて良かった。

 NHKの「こころの時代」という番組で放送されていた、旧約聖書の中のコヘレトの言葉を読み解くシリーズを元に書籍化されたものです。

 番組も本もすごく良かった。聖書なんて読んだこと無かったけれど、人間の生活に寄り添った解釈が色々できるんだなって学べたり。
 番組テキストの方も是非欲しいところ。


 上記のこころの時代のコヘレト回には小友聡さんと若松英輔さんが出演されていたんだけど、ここから発展して小友聡さんの「コヘレトの言葉を読もう」も買った。

 文章とか固くなくて読みやすい。
 一度に色々な本に手を出してしまう性分なんですが、今手を付けてる本が一段落したらまた読み進めたいなぁと思っています。楽しみ。


若松英輔

 コヘレトの言葉をきっかけに若松英輔さんという人に興味が湧きまして、しばらく本は若松英輔さんの著書を読んでいくことにしています。

 図書館や本屋さんって選択肢が多すぎて逆に混乱しちゃうから、とりあえずそういう風にルールを決めてみた。

 文字が大きくて小さい本で、触れ込みでは2時間で読めるとか書いてあったっけ。わたしは2時間よりかかりましたが、とても読みやすいので、哲学や利他について知る最初の一歩としていいと思います。

 若松英輔さんの著書を読んでから改めて見ると、ページ数の限られる本だけど若松英輔さんらしさがちゃんと詰まっていてすごい。


 若松さんの著書には、大きな悲しみに向き合った人の言葉が書かれていて、とても優しい。

 そして何冊か読んでいると、著者の引用としてよく出てくる常連メンバーが分かってくる。
 そしてその常連メンバーの1人である池田晶子さんの本も読みたくなる。


池田晶子

 これ面白かったです。

 後で詳しく書きたいけれど、「社会的な私」「形而上的な私」という考え方が目から鱗だった。
 とっつきやすいエッセイに見えて、当たり前の世界が揺らいでいくような難解な言葉が出てきたり、でも「わかる」と思える瞬間があったり。おもしろい。

 今は「死とは何か」を読んでます。


積読

 ここまで書いたところで坂口安吾の堕落論が途中だったことに気づく。

 安吾も面白い。
 ただ、私とは全く考えが違って面白い、という感覚だったので、自分と似た感性の作者に出会いたいとこれを読みながら思っていた。
 そうして出会ったのが若松英輔さんです。


 読みかけの本と言えばこちらも。

 大学の授業でゴッホについてプレゼンしたことがあるんですが、その時小林秀雄のゴッホ論に出会いまして、これはちゃんと読んでみたいなと思って買った本です。

 が、とても難しかった。
 途中まで読んでるんですが、もう一度最初から読み直そうと思っています。

 書かれたのが1952~53年あたりなんだけど、そのくらい前の文章って今と暗黙のルールみたいなものが違って読みにくいよね…。


さくらももこ

 さくらももこのエッセイはうっかり吹き出しそうになるくらい面白い。本当にストレスなく頑張ろうとせずに読めるので、今後も難解な哲学本と一緒に借りて箸休めに読みたい。


アヘン王国潜入記

 民俗学にも興味があって、アヘン王国潜入記を読んだ。(一番最近読んだ本なので感想が長めです)

 ビルマ政府とか中国とかワ軍とかそのあたりの関係性についてこの本で初めて知ったので、まだちょっと理解が混乱しているんですが、とても面白かったです。

 アヘン栽培をしているとはいえ、作者の滞在した村の軍事責任者であるアイ・スンや村長のアイ・ムンなど、村人の持っている価値観は理解できるものに感じた(アヘン以外は)。

 アイ・スンもアイ・ムンも健在なら60歳前後になるんだろうか。この2人は作者と親しかったので作中でも沢山名前が出てくるんだけど、今元気にしてるかな、と読んだ後ふと気になった。


 そして作者自らアヘン中毒を経験してレポートしているのはすごい…。
 アヘン=ヘロインのイメージだったから、アヘンを一度使ったら本当に死んでしまうんじゃないかと思っていたけれど、ちょっと違うようだった。
 といっても現代日本では絶対に使ってはいけないが。

 そしてアヘン中毒の状態について「喜怒哀楽が抜け落ちる」「欲望の器が小さくなる、いわゆる『煩悩』というものがなくなる」「心の平和さ加減では仏教の高僧にもひけをとらなくなる」と表現しているのが、なんかなんとも言えなかった。
 心の安定とか煩悩の滅却とかを目指していった先に何があるんだろう。
 人間は全ての悩みや欲望をなくすことができるのか?なくしたとしたらその人は人間といえるのか?

 作者さんのツイート、ロマンある。


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まとめ

 今何冊同時並行で手付けてるんだろう?「堕落論」「コヘレトの言葉を読もう」「死とは何か」「小林秀雄全作品20」だな。
 他にも図書館で借りた本が数冊ほど。


 ところで、タイトルの通り、小説を読まないわたしっは一体何を読んでいると言えるのでしょうか。

 Wikipediaいわく、若松英輔は「批評家・随筆家」、池田晶子は「文筆家」とのこと。
 つまりわたしは批評文や随筆を主に読んでいるということでいいのか?
 池田晶子の著書は哲学エッセイとよく呼ばれているし、さくらももこもまさにエッセイだし。
 あと現代文で題材にされやすい評論文っぽいものをよく読んでいる気もする。


 たしかに小説を全然読んでいないことを改めて実感した。

 と言っても嫌いなわけでは全然ないです。
 もし現代小説を読むとしたら、…重松清と吉本ばななあたりから読んでみたいな。


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