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僕にとっての「あいだす」と「島の寺子屋奮闘記」

こんにちは。大悟です。
2001年11月生まれの大学生(休学中)です。2022年の3月で久比に住みはじめて2年が経ちます。建築や歴史文化、生物学などに興味があり、普段、久比では、庭づくりをしたり、色んな企画を立てたり、郷土史研究をしたり、そして「島の寺子屋」という活動をしています。

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今回、久比に「あいだす」という環境ができたことで、今までバラバラと行なっていたこれらの活動を、独学部の中の活動として、まとめていけると考えています。独学部という関わりしろができることで、仲間も集めやすくなり、さまざまな背景を持った人たちの他の活動との化学反応を起こしていこうと思っています。

あいだすは、僕にとって「挑戦と巻き込みの場」です。これまで、自分がやろうと思ったことがあっても、それが誰のためのもので、どういう意味や目的があるのかが求められがちでした。あいだすは、そうした余白のない常に意味の求められるぎゅうぎゅうに詰まった空間ではなく、それぞれが本当にやりたいことや面白かったり気持ちがいいと思ったりすることを行う空間であると認識しています。そうした意味で、僕にとってのあいだすを、様々なバイアスから解き放って、本当に感性で感じられたものを作ったり行動したりする試行錯誤の挑戦の場にしていきたいと考えています。また、「それ面白い!」と思った他の人の活動に自分が巻き込まれたり、逆に自分の活動に巻き込んだりしながら、それまで知らなかった未知の知見や予想もしない結果を見たいと思っています。

今後は、あいだすで、これまで個人的に行なっていた郷土史研究を久比歴史民俗学科での活動として行なっていくことや、単にさまざまなものづくりの現場とすること、庭や図書館のプロジェクト、そして「島の寺子屋」の活動を行なっていこうと考えています。

以下は、あいだすの中の一つの団体として活動していく「島の寺子屋」について、「島の寺子屋」とはそもそもなんなのか、また、「島の寺子屋」のこれまでの活動記録、「島の寺子屋奮闘記」を記しています。あいだすの一つのテーマである「学び」の一つの活動やモデルとして捉えていただければ幸いです。

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島の寺子屋とは

島の寺子屋とは、一般社団法人まめながある広島県呉市大崎下島の久比という村の「あいだす」という環境で、島の子どもたちが「小さな島から、大きな世界を知る」をテーマに、「教える教わるの関係性ではない新しい学びの形」の実現に向けて活動している団体です。2022年1月現在の活動メンバーは、大学生6人、中学生6人、小学生2人の計14人です。このページでは、島の寺子屋の企画が立ち上がった2021年1月から現在までの一年間の歩みを紹介します。

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活動のきっかけ

「島には塾がありません。学生さんたちで何かできませんか。」

2021年2月。島で小学生のお子さんがいるお母さんから、「島には塾がありません。学生さんで子どもたちの勉強を見ていただけたらなっていう声があるんです。」という話をされました。まめなは、広島大学をはじめ県内の複数の大学と連携して活動しており、日常的に多くの大学生が訪れています。そのため、たまたまその話をいただいたとき、僕を含め教育に関心のある大学生3人が集まっていました。そこで、考えたら即行動!といったノリで、どんな塾を作るのがいいか、さっそく企画書を書きはじめました。そして、3人でミーティングを重ねるうち、少しずつプランができてきました。

3人の中で共通の考えだったのが、せっかくやるなら、ただ勉強を教えるのではなく、自分たちがやってみたい学びの場を実験的にやってみるということでした。また、早いうちから子どもたちが自発的な学びができるよう、「自分の好き」が見つかるようなことをしたいと考えました。そうして企画を立てながら、毎週金曜日2時間を小学生の部とし、うち1時間は宿題などの勉強を、残りの1時間でワークショップを開催する寺子屋タイムとしました。また中学生の部は、毎週土曜日2時間、うち1時間を勉強、残りをプロジェクト学習とし、と地域で実践的に学ぶという形を考えました。

そして、3月。すぐに大学生スタッフの募集を行い、コアメンバー6人が集結しました。

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2021年3月27日。さっそく地域の保護者の方に集まっていただき説明会を行いました。会の内容としては、実際に僕らのプランを説明したり、保護者の方々のお話しを直接伺いました。そんな中、あるお母さんからいただいたお話が特に印象に残りました。「島の子どもたちは、生まれてから中学卒業まで、ほとんど同じメンバーで育ってきているんです。なので、島の外から来た人と関わる機会はほとんどなくて。。」

そう話されたお母さんは、こうした島の環境もあって、いざ子どもたちが島の外に出た時、本当に自分の意見を言えるのか心配だとのことでした。そして、僕ら寺子屋としてできることは、子どもたちと関わる中で、たくさんの世界を見せてあげることではないかと感じました。

そして、島の寺子屋のテーマは、「小さい島から、大きい世界を知る」となりました。

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活動開始

2021年4月9日。島の寺子屋は本格的に活動を開始しました。2月に企画を立ててから見切り発車での4月活動開始。活動は最初から上手く行ったわけではありませんでした。初回、小学生の部は、集落を散歩して英語のカルタ作り、中学生の部は、海まで散歩に行って焚き火を囲んで自己紹介などを行いました。しかし、いきなり初めからたき火を囲んで自己紹介をするのはハードルが高かったようで、小学生のみんなとはすぐ打ち解けたのに対して、中学生のみんなとはなかなかすぐ打ち解けて話すことはできませんでした。そのため、2回目からは、中学生の部で予定していたプロジェクト学習から、小学生の部と同様、ワークショップ形式で広い世界に触れられるような内容に変えていきました。

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試行錯誤の連続

こうして、試行錯誤のスタートを切った島の寺子屋ですが、4月以降も、そして今も、手探りで活動を行っています。

上の表は、4月から6月末までの寺子屋タイムの実施内容です。5月からは、準備の負担軽減のため小学生の部と中学生の部の内容をほぼ同じにしてみたり、また、2021年5月14日に発令された緊急事態宣言を受けて、以降の寺子屋は、大学生スタッフは基本オンライン、久比常駐組が現地に来る子どもたちの対応を行うなどして対面・オンライン併用での実施を試みたりと、活動を続けました。さらに6月、小学生のメンバーとは、久比の東の谷や西の内海をみんなが思うままに探検したり、中学生メンバーとは、一緒にBarakaという世界の民俗文化や自然環境を体感できるビデオの鑑賞をするなどして、今まで見聞きしたことのない世界を知る機会を設けるなどしました。

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また、大学生スタッフは毎週水曜日の21:00〜を定例ミーティングの日とし、その週の企画や、寺子屋を継続的に運営する上での体制づくりなどを行っていました。さらに、島の寺子屋全体の活動自体、半ば勢いで始めたため、それぞれの実現したい寺子屋の未来がボヤけたままでした。そのため、4月に実際に寺子屋の活動を始めて以降、寺子屋タイムや勉強時間の内容について意見のずれが出始めていました。そこで、5月以降、定例ミーティングの時間を使い、寺子屋のVision,Mission,Valueである、自分たちが寺子屋として目指したい世界や、やりたいこと、大事にしたい価値観などを書き出しまとめました。また、ホームページの作成にも取り組んでいきました。ちなみに、今振り返ると、このVision,Mission,Valueを定めたことは、その時点において、寺子屋として目指す方向をチームの中で共有することには役立ちましたが、今、もう一度見返すと変わっている部分も多く感じます。

寺子屋 団体理念 (1)

また、7月からは大きくプログラムの変更を行いました。それまで小学生の部と中学生の部で分けていたのを、小中学生合同にし、毎週土曜日を単発企画の日、毎週日曜日をプロジェクト学習の日としました。単発企画の内容は、それまでのワークショップ形式のものを引き継いだ形で、毎回、大学生が企画するというものです。また、プロジェクト学習はそれぞれ本人がやりたいことを大学生がサポートする形で実現に向かって活動するというものでした。プログラム変更の理由は、小中学生を混ぜることにより、年齢の違う子どもたち同士のコミュニケーションが生まれ、中学生メンバーが今まで以上に心を開きやすい環境を作ることや、小学生のメンバーが素直に自分たちの意見を僕らにぶつけてくるため、彼らにプロジェクト学習をやってもらうとどうなるのかが見たいと思ったことなどでした。

さらに、勉強時間の1時間の使い方も、ただ単に宿題をやる時間として用いるのではなく、自学・英語・探究と、それぞれ子どもたちがそのとき取り組みたいものができるようにと、選択制としました。

結果、単発企画では、家具職人の方に椅子の座網みを教わったり、プロジェクト学習では、自分たちでナンを焼くタンドールを作ったり、久比の植生調査をしてみたりと、多様な体験が生まれました。

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一方、大学生スタッフは、4月から半期の活動を終えて、正直、さまざまな企画を立てたい反面、広報や企画に対する準備、経理、毎週の定例ミーティングなどの業務と大学生活やその他の活動との両立が次第にしんどくなってきていました。また、毎回の企画も、限られた寺子屋タイムの1時間にその日のワークショップを詰め込むため、ワークショップが目的化する回も多く、その回に興味がある子とない子がいたりと、さまざまなモヤモヤを抱えていました。

夏の特別プログラムの開催

8月。島の寺子屋は、夏の特別プログラムを開催しました。期間は、8月9日〜8月12日までのweek1、8月17日〜8月20日のweek2の計8日間。内容は、マシュマロタワー、貿易ゲーム、木工DIY、海洋プラスチックのワークショップ、竹の水鉄砲づくり、久比万博、草木染め、水かけ祭りを行いました。このプログラムを行なって得た大きな気づきは、準備しすぎず、子どもたちと意見を言い合いながら行き当たりばったりで行なった方が、彼らとの距離が近づいたということです。

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夏の特別プログラムまでのワークショップは、毎週綿密な準備を行なっていたのに対し、今回は、毎日企画を行なっていたため、まとまった準備時間が取れませんでした。そのため、大学生側もグダグダした部分があり、逆にその隙が、子どもたちに入る余地を与えていたのかもしれません。一方通行になってしまいがちだったコミュニケーションが双方向のコミュニケーションへと変化した瞬間でした。

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また、大学生同士のコミュニケーションも、それまで毎週、寺子屋の準備を行う上での事務的なコミュニケーションが多かったのが、プログラム期間中、合宿形式で夜に飲み会や雑談を行う時間が取れたことで、一気に距離が縮まり、全てをさらけ出しあった感覚さえありました。

寺子屋休止期間

8月末、まめなのCo-Founderである孫泰蔵さんが来られました。その日の晩、泰蔵さんに寺子屋のプレゼンを行い「それって、本当に自分がやりたいことなの?」という愛のある喝を入れていただきました。夏の特別プログラムを除き、4月〜7月の寺子屋の活動が、やりたいことからやらなければいけないことになってしまったモヤモヤが表に出てしまったからだと思います。ふと、我に帰ることができました。

プレゼンの結果を寺子屋定例ミーティングに持ち帰り、もう一度、それぞれの大学生メンバーが本当に寺子屋でやりたいことは何かということを話し合いました。実際に出た意見としては、「子どもたちと友達になりたい」や「子どもたちの思いがけない行動を見てみたい」「失敗できる環境を作りたい」「僕らもワクワクしたい」などでした。

そして、夏の特別プログラムの時の、子どもたちと一緒に何かを作り上げる感じや、コミュニケーションのあり方が良かったというのがみんなの総意でした。

2021年9月。緊急事態宣言が発令され、この機会に一度寺子屋を休止し、10月から再スタートさせようということになりました。

寺子屋再スタート!

10月2日。寺子屋は再スタートしました。プログラム名は、毎週土曜日の「勉強部屋」と毎週日曜日の「寺子屋座」です。

勉強部屋では、普段、住んでいる集落が離れているため学校以外の時間でみんなで集まって宿題をしたり勉強したりすることがしにくい島の子どもたちが、寺子屋を行なっている学びの場「あいだす」という環境で週に一回集まって勉強をします。

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寺子屋座は、島の寺子屋が目指す学びの形「教える教わるの関係性ではなく、一緒に挑戦する」を実現するため、大学生も子どもたちも同じ立場で作戦を立て、遂行していく冒険の場です。初回に作戦を立てて、その作戦の頭領を決め、毎回作戦会議を行いながら作戦を遂行していきます。例えば、秘密基地を作ろう大作戦や、湧き水の地図を作ろう大作戦、廃材でドミノ大作戦など、その時、みんながワクワクした作戦に一緒にチャレンジしていきます。ちなみに頭領とは、作戦会議の司会進行や、作戦会議を経て最終的な判断をする役です。

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第一回の寺子屋座。初回は、穴を掘ろう大作戦と、庭の整備大作戦を行いました。大学生も好きなことをするということで、大学生チームは、あいだす上本邸の庭の整備を行い、野生のトマトを発見し収穫しました。小中学生チームは、上本邸の庭にとりあえず穴を掘るということで、その辺にあったスコップや棒を使い、おもむくままに穴を堀りました。

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寺子屋座のあと、大学生メンバーで反省会を実施しました。「作戦会議をし、作戦を立てて行なったものの今回は、普通に遊んだだけのような感じで、わざわざ寺子屋座として行うものではない気がした」という意見が出ました。そうしたことからも、「大学生も子どもたちも一緒にワクワクしたものを、一緒にチャレンジした方が、子どもたちにとって、今までみたことがないものにも触れられるのではないか。」や「初めは、大学生が頭領として行う作戦に子どもたちにも入ってもらうのはどうか。」という結論に落ち着き、次回は、大学生が頭領として作戦を立てることになりました。

「寺子屋でお店を出そう大作戦」

10月25日。大悟が頭領となり、「寺子屋でお店を出そう大作戦」が立ち上がりました。内容は、11月末に、同じ島の御手洗という町で開催される「せとうち音回廊」というイベントに寺子屋として出店することを目的に、実際に寺子屋で何を売るか、材料はどうするか、いくらで売るか、どう売るか、などを作戦会議で話し合いながら作戦を遂行していくというものです。

さっそく、作戦会議を行いました。作戦会議の内容は、何を売るかでした。僕がちょっとしたたたき台として、シーグラスを集めて売れないかという案などを持っていき、作戦会議にかけると、「シーグラスは本当に売れるのか。」や「シーグラスは他ではどのくらいで売っているのか」という意見が出ました。そのため、みんなで実際に通販やメルカリなどでいくらくらいで売っているのか調べてみることにしました。すると、両手一杯分が300円〜1000円ほどで売れていました。それを見て、子どもたちの方から、すぐ取りに行こう!という意見が出たので、絶対に靴を濡らさないことを約束して、さっそくどこの海岸が一番シーグラスが取れそうか下見に行きました。また、いくつかの海岸を見て、潮の良い日じゃないとシーグラスはあまり取れそうにないということが分かったので、潮の良い日を調べてみることにしました。すると、次の寺子屋座の時が大潮の干潮の時間ということがわかり、次回は長靴も準備して、海にいくことが決まりました。

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大学生メンバーで終了後の反省会では、「子どもたちから、するすると意見が出てきたのは嬉しかった」や、「僕ら大学生チームも楽しかった」などの意見が出るなど、確実に手応えを感じていました。

10月31日。いよいよ、シーグラス採りに海へ。当日はハロウィンだったこともあり、バナナやミニオンで仮装したメンバーもいました。「シーグラスあった!」「変な鉄!」など、それぞれがそれぞれの発見をしながら、以前にみんなで行った、干潮の時しか現れない西の内海の秘密の浜へ。その日のうちに、バケツ二杯のシーグラスを採って帰りました。次回は、シーグラスを洗い、シーグラスだけでは売れないのではないかという意見が出たので、染め物で包んで売ることなりました。

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11月7日。みんなでシーグラスを選別したり、シーグラスを包むための氷染めの布を作ったりしました。氷染めは、大学生メンバーの発案で、布の上に氷を置き、その上から染料をふりかけて染め上げる染め方です。みんな思い思いの染料の調合で素敵な氷染めの布ができました。

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11月14日。この日は、自分たちで作った氷染めの布で、自分が良いと思ったシーグラスや海で集めた不思議なガラクタをつつみ、「小ちゃいプレゼント」として商品を作りました。また、氷染めの布が想像以上に綺麗だったので、追加で作ろうということになり、増産しました。余った時間は、みんなでボードゲームをしました。

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11月20日。御手洗での出店初日でした。場所は広島大学の先生のお宅である「みたらいベース」を活用させていただきました。大学生メンバーは前日入りして荷物の運び込みを行い、子どもたちもお昼頃から合流して、一緒にポップを作ったり商品を並べたり吊るしたりして開店させました。お客さんの入りもよく、氷染めの布の増産も行なったりしました。また、稼いだお金をどう使うかも考え、12月に本土で開催されるクリスマスマーケットに行くための自分たちの遠足代金にすることになりました。

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11月21日。和やかな店の裏側の様子。近所のおばちゃんにもらったみかんやお菓子を食べながら、子どもたちも店頭で接客をしたりしながら商品を売っていきました。また、「シーグラス単体10円で売るのはどうか」など子どもたちも自分で工夫しながら売り方も変えたり、思考錯誤していきました。

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11月27日。自分たちで呼び込みを工夫したり、御手洗に到着する観光フェリーの到着時間に合わせて準備したりしました。また、どんどん商品の在庫が少なくなってきたため、中学生メンバーは自分たちで近くの海へシーグラスを採りに行く場面もありました。次第に自分で考えて行動することがしやすい雰囲気ができてきたと大学生も手応えを感じていました。

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11月28日。最後まで売りきることを目標に、子どもたちも大学生も気合を入れて始まった出店最終日。寺子屋チームとして、子どもたちとの距離も一気に近づいていきました。寺子屋を始めた当初は、なかなか心を開いてくれなかった中学生たちも、僕にちょっかいをかけてくるようになったり、普通の声のトーンで対等に話ができるようになってきました。

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寺子屋でお店を出そう大作戦はこうして大成功に終わりました。どうなるか分からないことに子どもたちも大学生も一緒になって挑戦する形の大きなモデルの一つになったと感じます。誰も答えやゴールが分からないからこそ、お互いたち等に意見を出し合い、実際に自発的に行動しやすい環境づくりにつながるという、寺子屋が目指したい学びの形が見えた気がしました。さらに、大学生も本気になって楽しむことができたのも大きな成果だったと感じます。そして、子どもたちと大学生が一つのチームとしてチャレンジできたことで、子どもたちとの距離も一気に縮めることができ、本当に学びの多い作戦でした。

12月18日。寺子屋遠足当日。子どもたちと一緒に路線バスに乗って本土の広という町まで自分たちで稼いだお金で遠足に出かけました。普段、通学定期でしか乗ったことがなかったようで、初めて整理券を取ってバスに乗り、運賃箱にぴったりの小銭を揃えて入れるという経験をしました。また、目的地のクリスマスマーケットは、広の町で子どもたちの居場所づくりを行なっているDeCo a BoCoという施設で行われており、普段関わることが少ない島の外の同世代の子どもたちと触れ合ったり、初対面の人とコミュニケーションをとったりしながら、みんなのお目当ての世界各国の料理を楽しんだりして、無事遠足を終えることができました。

寺子屋が目指す学びの形

お店を出そう大作戦を終えて、「土器を作ろう作戦」や寺子屋クリスマス会など、12月もいくつかの作戦やイベントを開催しました。その中でも特に印象的だったのは、寺子屋の放課後、あいだすの庭の大きな段差のところに子どもたちが自作の階段を作ろうとしていた場面でした。

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彼らは、スコップや板を使って段を作った後、大工さんにもらった廃材で手すりをつけようとしていたようで、どんな手すりを作るか試行錯誤していました。そして、地面に落ちていた錆びた釘で手すりを固定しようとしていました。大学生メンバーは、近くでどうするのか見守っていました。

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するとどうやら、みんなで釘を打つと釘が曲がってしまったようで、かわりばんこにみんなで釘を引っ張っても一向に抜ける気配はありません。子どもたちから大学生に助けの目線が向けられました。大学生は、「テコの原理は習ったか?」と自信満々に釘を抜こうとしますが、全く抜けません。最終的に子どもたちが下した決断は、「釘をおる」という方法でした。

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ここで学んだことは、「錆びた釘は抜けなくなる」ということです。子どもたちも大学生もお互いに、挑戦しながら学び合い、「寺子屋らしさ」のある時間だったと感じました。

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島の寺子屋のこれから

2022年1月、「池を作ろう大作戦」が立ち上がりました。頭領は、小学生のメンバーです。彼は、「僕は生まれた時から池が掘りたかったんです!!!」というモチベーションの高さで、作戦会議で今後の予定としては、とりあえず地面を掘ってから考えようということになりました。場所はあいだすの庭。掘っただけで水がたまるのかという問題に対しては、元々田んぼだった場所のため、もしかしたら底から田土が出てくるかもしれない。という感じです。

こうして、徐々に寺子屋らしい学びの形ができつつあります。もし、仮に目指す形ができたとしても、新しい挑戦を起こしていきたいと考えています。

また、現在の一番の課題としては、大学生メンバーの後継者問題です。現状、大学生メンバーは4人が学部の4年生、1人が3年生、1人が1年生という形で行なっています。ほとんどが院進学や休学、6年制の学部などで、来年度からメンバーは5人で続けていく予定ではありますが、いずれにせよ出てくる問題ではあります。

さらに、現在、収支については、学生の交通費だけでも出せるよう、寺子屋一回につき保護者の方から1000円いただくという形で行なっており、現状、黒字運営となっていますが、今後の継続的な運営を行なっていく上で、寄付や会員制度の構築にも取り組んでいます。

その他にも、いくつか問題はありますが、今後も活動を続けていき、そもそも「学びとは何か」「学びが多い状況はどのような環境下で起こるのか」というような問いに対して一つの答えとなるような「教える教わるの関係性ではない新しい学びの形」のモデルを作っていきたいと考えています。そして、島の子どもたちが「小さな島から大きな世界を知る」ことができるような環境を作り、自分に自信を持って生きていくためのチャレンジが続けていければと考えています。

ぜひ今後とも島の寺子屋を応援よろしくお願いいたします!

島の寺子屋 公式インスタグラム
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島の寺子屋 Facebookページ
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島の寺子屋 ホームページ(改装予定)
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