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”East Meets West...with Respect” 「SHOGUN」エミー賞18冠おめでとうございます!

日本で仕事をしていた頃はゆっくりドラマを観る時間がなかったので、ずっとのアメリカのドラマはを観ていなかったが、こちらに来て時間が出来たので観はじめたドラマの一つが、真田広之主演の「SHOGUN」だ。

圧倒的なスケールで、毎話、映画を観ているようだし、衣装やセット、セリフや所作も、歴史小説、時代劇好きの私から観てもほぼ違和感がない。たまに「?」と思う場面もあるが、原作小説もあることだし、プロデューサーも務める真田さんや日本人スタッフが精一杯頑張って寄せたのかな、と思う。

日本人の俳優さんも出演しているものの、撮影はカナダで行われているし、スタッフさんの多くは日本人ではないはず。日本で時代劇を撮影するより遥かに大変だったことだろうと素人ながらに想像する。きっと、日本人にしか分からないようなちょっとした違和感を正すために根気よく話し合って修正を重ねたんだろうなあ。海外でよく見る変な漢字のタトゥーやTシャツみたいなことが、ここでもあそこでも起こってるから、ひとつひとつ丁寧に説明してやり直してもらう みたいな。

アメリカでこのドラマがとても高く評価されていることは、エミー賞で18部門受賞の快挙を成し遂げたことからも明らかだが、授賞式で大きな拍手喝采とスタンディングオベーションを受けていた様子は想像以上だった。
私たち日本人がこのドラマに惹き込まれるのと同じ魅力を、アメリカの人たちも感じているのか、もしくは私たちが当たり前だと感じていることが新鮮に思えるからこそ余計に素晴らしいと感じるところがあるのだろうか。

イギリス人が原作のドラマだが、日本や日本人の精神性をよく研究していることに感心することが多い。

心に残っているのは、澤井杏奈さん演じる鞠子が「八重垣」について語る場面。

日本人は幼い頃から心の奥深くに自分以外の誰も踏み込めない「八重垣」を築く、何故ならこの乱世を生きていくため、自分の意思に反した言葉や行動を強いられても、心の中の八重垣が本当の自分の思いを守ってくれるから。八重垣を築くためには些細なことも聞き逃さず、注意を払わなければならない。

要は、「本音と建前を使い分けて空気を読め」と言っているのだろうと思うが、それを「花が開き、石が巌となる音を聞く」と表現するのがなんとも詩的でロマンチックだと思った。

授賞式の真田広之さんはダンディでカッコ良かったし、澤井杏奈さんも真紅のドレスがとてもお似合いで気品があって美しかった。

主演男優賞の受賞の際には、流暢な英語で立派なスピーチをした真田さんだが、作品賞受賞の際には、敢えて日本語で「ここれまで時代劇を継承して支えてきてくださったすべての方々、そして監督や諸先生方に心より御礼を申し上げます。あなた方から受け継いだ情熱と夢は海を渡り、国境を越えました。」とおっしゃっていた。

きっとそれが真田さんがこれまでアメリカで頑張って来た原動力であり、どうしても伝えたかったことなのだろう。


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