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【東北舞踏 三角標手習帖】 2022.12.25    「 魚の小骨 」

fish's tiny bone 

#1  魚の小骨がちくりと刺さっているかのような違和感。何に対して? ああ、すべて、どうでもいいんだって口で言ってみたものの、本当はそう思ってないって心の片隅で引っ掛かってるモヤモヤした感じ。

#2  私、胎盤剥離を起こして死産したころに、自然主義のようなものにハマってた時期があった。一見カッコよさそうに見えるけれど、これって、他人を、そして、自分ですら、なんか境界を設けてバッサリと切り捨てる行為であったとあとから気づく。

#3  オーガニックとか、動物性食品は食べないとか、天然素材の服しか着ないとか、化学製品はNGとか、まあいろいろやってみた。その中でも、憧れの頂点ってのがあって、それが、自然分娩だった。

#4  ただ、私、死産したときに緊急帝王切開になったために、次の子供たちは予定帝王切開で産むことにした。そして、帝王切開は、3度までと言われたため、もうひとりくらい欲しいなと思っていたが、諦めた。

#5  コロナワクチンを接種するとか、しないとか、自然分娩で産むとか、産まないとか、足が太いとか、腹が出てるとか、いろいろと気にする私がいることも事実なので、そのことは否定しない。でも、その一点の、たった一部の切り口で、私自身を非難したり、否定しないでほしい。わかるか、わたしという人。結局、切り刻むのは、この私。それが小骨になってつき刺さるんだよ。

#6  魚の小骨
踊りにしてみたい
違和感をどう踊るか?
舞踏モードに突入した時の船酔い
気圧が変化した時の耳鳴り
すごく些細なことなのに、
全てが駄目になったような虚しさ。
この投稿ですら、
今の私と乖離してる。
今、ここ、で生きてかないと
モタナクなる身体。

#7  
コロナにかかったのに、
かかった後に、
なんでワクチン接種したのって訊かれる。
魚の小骨ちくり

天真爛漫に生きてますって人を見る
魚の小骨ちくり

自分の選択が、絶対間違ってないかのような発言を聴く
魚の小骨ちくり

太ったね〜って言われる。
ちくり、ちくり

私は、棘人間。
めっぽう弱い。
・・・・・なぜ?

ああそうか、全部
「だったら、死ねば」
に聞こえるんだ。

#8  
帝王切開しても
赤ちゃんは死んだ。
でも、帝王切開しなきゃ、
私は死んでた。

#9  東日本大震災後に、放射能汚染が問題となり、ここ岩手でも、小さな子供を抱えた私の知り合いたちの幾人かは、子供を安全に育てられる場所じゃないから、と言って去っていった。

魚の小骨ちくり、ちくり、ちくり

同じく小さな子供を抱えていても、移住できない私は、子供のことを考えない、ダメな親って言われてるみたいな気がした。

#10  コロナと付き合うよりも、人間と付き合う方がよほど難しい。

#11  蛆虫になりたい。糞すら食って、ただ生きる。逞しいその精神に憧れる。でも、蛆は、人間のように、クソみたいなこと考えちゃあいない。

放射能も、コロナも、蛆虫ならどうするか。

たぶん、奴らは気にもしていない。
こんなこと考えてる、そうか、私が糞なのか。

#12  魚の小骨問題に、風穴を開けてくれた2冊の本を紹介。

「人類堆肥化計画」東 千茅 著(創元社)

「ひび割れた日常 」奥野克己/吉村萬壱/伊藤亜沙 著(株亜紀書房)

この2冊を読んで、いかに人間が生きることが下手くそなのかを知る。人間は、とかく上昇の方が、下降よりも良い価値観だと捉えているが、だからといって、拠り所(大地)を失ってはいけない。ただ感性を解放し、なにもせずに寝転び、進んで利用される(まかせる)空っぽの器(身体)でありたい。とことん腐食する希望の闇の底へ進め。

私は、蛆虫でありたい。
私は、堆肥でありたい。
私は、ただの踊らされる身体でありたい。

魚の小骨は、暗いじめじめした土の中で、腐ってしまえ。

地べたを這いずり回る、陰湿な生き物となることを私は望む。お薦めできる生き方ではないが、闇の中にこそ、いのちがある。中途半端に、人間ぽく生きようとしては、日常生活で生じる魚の小骨は、刺さるばかりだ。

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東北舞踏 三角標/岩渕如妙(ミミィ)

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