【超ショートショート】(165)~成長は嬉し哀し~☆ASKA詩集『オンリー・ロンリー』☆
小さい子供が、
オモチャ付きのお菓子を買ってもらえなかったと、
レジで泣いている。
お母さんは怒った顔で、
お父さんは困った顔で、
子供は声色に強弱をつけながら、
泣いている?
それから、
1年が過ぎた。
その子供は、
お母さんとお父さんと、
弟と妹と一緒に買い物に来た。
1年前に泣いた子供はお兄ちゃんになり、
弟と妹と一緒にお菓子売場に同行する。
お母さんからは、
お菓子は一つだけ
と言われていた。
弟は、
オモチャ付きのお菓子を2つとお菓子を1つ。
妹は、
オモチャ付きのお菓子を3つとお菓子を2つ。
お兄ちゃんは、
お菓子を一つにするように、
説得しようとするが、
小さな子供同士。
結局、ケンカになったり、
誰かが泣けば誰かがさらに泣く、
お菓子売場が賑やかになっていった。
その騒ぎを聞きつけ、
お母さん登場。
お母さんの言うとおりに、
弟と妹は、
お菓子一つを選んだ。
お兄ちゃんは・・・
弟と妹が、
最初に選んだお菓子に、
同じモノがあったのをおぼえていた。
ちょうど2個入りのお菓子。
お兄ちゃんはそれを買い、
弟と妹に分けてあげた。
そのときのお母さんは、
びっくりした顔をしていた。
お父さんは、
よくやったと頭を撫でていた。
それから、
どれくらいの年月が過ぎたのだろうか?
あの小さな子供が、
あの弟と妹思いのお兄ちゃんが、
高校生になり、
そのお店でレジのバイトをしている。
時々お母さんがやって来て、
嬉しいに息子のレジに並ぶ。
ある日、
そのお母さんの前に並んだ、
若いお母さんと小さな子供。
欲しかったお菓子を買ってもらえなかったと、
大泣きする小さな子供。
かつて同じ景色にいた
お母さんとレジにいるお兄ちゃん。
互いを見つめて、
お母さんは大笑い、
お兄ちゃんは、
まるであの日の自分を見るようで苦笑い。
大泣きする子供が持っている
その子供の若いお母さんが選んだ
小さなお菓子に、
レジにいるお兄ちゃんが、
「特別なシールを貼ってあげるから、
もう泣かないで!(笑)」
と、お店のテープを貼ってあげた。
すると、
その子供は、
嬉しそうに、
そのテープを自分の若いお母さんと、
後ろに並ぶ、
レジのお兄ちゃんのお母さんにも見せて笑った。
お兄ちゃんのお母さんは、
会計してもらいながら、
我が子の成長に、
喜びと寂しさを感じていた。
お兄ちゃんがお釣りとレシートを渡すと、
お母さんの瞳から涙が流れるのを見た。
バイトからの帰り、
お店でセール品のお母さんが好きなケーキと、
入荷したばかりの小さな花束を、
お兄ちゃんが買った。
「今日は初給料日ね!
お母さんにプレゼント?(笑)」
「はい!」
お兄ちゃんは、
家に帰るまでの道で、
自分も大人になった驚きと、
お母さんが少し弱く見えた寂しさを
どう受け止めたらよいのか?
何度も何度も、
夜空の星たちに尋ねた。
(制作日 2021.11.15(月))
※この物語はフィクションです。
今日は、
1984年11月15日発売
ASKAさん初詩集『オンリー・ロンリー』
発売から今日で「37周年」。
この詩集の中にある、
「過程」と「過程 Ⅱ」を参考に、
今日のお話になりました。
ASKAさんの詩はここには書けませんが、
少しだけ内容を書いてみると。
「過程」は、
青空のしたの坂を登り、
その足跡を振り返って見たとき、
過去の自分を誉めてあげる。
詩の中に
「1年前」という言葉がありますので、
人生の過程の詩、
特に若い世代で感じることを書いています。
この詩集『オンリー・ロンリー』は、
ASKAさんが26歳の頃の作品。
その世代で感じる事柄が、
たくさん詰まった詩が並んでいます。
「過程 Ⅱ」は、
その〈過程〉についてのお話。
人は、常に変化(成長)することが、
感動を呼んで美しい。
このお話から思い出すのが、
2020年11月8日に放送された、
『ASKA 75分スペシャル』
この中でも、
安定よりも成長することなく大切さを
ASKAさんが話しています。
詩集『オンリー・ロンリー』は、
今は貴重な本ですので、
入手が大変だと思います。
でもどこかで見つけたら、
ぜひ読んでみてください。
(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/
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参考にした曲
CHAGE&ASKA
『憧れ』
作詞作曲 飛鳥涼
☆収録DVD
CHAGE&ASKA
『WALK』
(2020.5.27発売)
YouTube
【CHAGEandASKA Official Channel】
DVD『WALK』発売告知動画
https://m.youtube.com/watch?v=J4yFCqfolng
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