「映画監督 増村保造の世界」を熟読中! #増村保造
日本映画でいちばん好きな監督は増村保造である。ジメジメと湿っぽい日本映画にあってドライで乾いたタッチ、圧倒的にモダンな絵作りが最高なのだ。
そもそも自分が映画に夢中になっていた1980年代は角川映画は全盛だったが大映は倒産後でありリアルタイムに映画館で観たことはない。それが今やKADOKAWAシネマコレクションで無尽蔵にみられるのだ。
「陸軍中野学校」でその展開のスピーディさとドライな演出タッチに夢中になり「こんな日本映画の監督がいたのか!」むさぼるように見始めた。
監督個人にまで興味がわくことは少ないのであるがこの日本映画離れした作風は一体どこから来ているのだろう?と思いこの「映画監督 増村保造の世界」上下巻で買ってみた。文庫ながら一冊5㎝も厚みがあり価格も1500円とまぁまぁである。
読み進めているとまず驚くのが増村保造本人が当時のキネマ旬報に書いていたコラム、そして黒澤明論や溝口健二論からはじまるのである。映画ライターが書いたのではなく本人のロジカルな文章で映画史をなぞっていく。作家論を展開していく。実に面白い。
ゆかりのある出演者やスタッフのインタビューも多く収録されている。どのように演出していったのか?様々な角度から増村保造に迫っている。若尾文子は増村演出のカメラ位置や人物のではけのむつかしさについて回想している。
増村保造好きなら絶対に読んで損のない一冊である。おすすめしたい。
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