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親愛なる真希波・マリ・イラストリアスへ

なんということか、わたしは先月noteを書き忘れてしまった。月1記事と決めていたのに。
予想出来たことではあったけど…。

言い訳をすると、先月は新しい仕事が始まったり、私生活も変化があったり、週末は副業をしたりと比較的忙しくしていた。
ただ、それでも1度決めたことをサボってしまったことに変わりない。
5月は4月分と合わせ2記事書くことを目標にする。そして…ペナルティとして、いつもは書かないような内容を記事にしようと思う。

第1弾として、タイトルに挙げた内容となる。
3月の記事から連続してエヴァの内容となり申し訳ないが、こちらはどちらかというとよく見る「エヴァと自分」系の記事となる。
以前の記事は写真を眺めてもらう軽い感じのものになっているので、興味があればお読み頂けると幸いである。
https://note.com/himamochi/n/n10db967611c0

本題に入る前に。
今回は、有名な作品でもあるし長くなってしまうため、エヴァンゲリオンシリーズについての説明は省かせて頂く。また、内容には新劇場版最新作、シン・エヴァンゲリオン劇場版のネタバレも含む。
そのため、エヴァを知らない人にとっては読みにくいものになる可能性もあるため、注意頂きたい。


エヴァンゲリオンと出会ったのは小学2年生か3年生の頃である。
正確には覚えていないが、確か新劇場版の「破」のレンタルDVDが出たばかりの頃だと思われる。
その日は年に1度の夏祭りの日で、浴衣の着付けをするためにわたしと、家族は家にいた。

浴衣の準備や、祭りまで時間があるということで、母がレンタルビデオ店で借りてきていたのが、新劇場版エヴァンゲリオンの2作目、「破」だった。

ここで軽く説明しておくと、わたしがエヴァと出会った原因は母ということになる。わたしの母は、同年代のお母さんと比べて一回り程度若い。
いわゆるエヴァ世代というやつで、それ故にDVDを借りてきていたらしい。
いや、その頃はビデオだったかもしれないが、今では思い出せない。
まあ、どちらにしろこの日、わたしは母に浴衣の着付けをされながら、初めて、エヴァを見たのであった。

どちらかというと、小学生にとってエヴァは過激なものではないかと思う。
それでも、わたしはテレビの画面にずっと夢中になってしまった。
母の「こっち向いて!」という声に生返事をしながら、わたしは映像を見続けた。気づけば、浴衣の着付けは終わっていた。

エヴァには、難解な言葉も多い。子どもであるわたしにとって、レイや、アスカや、シンジの心に秘めた悩み、苦しみを想像するのは難しかった。
だから、この子たちはどうして困った顔をしているのか?と思って見ていた部分もある。
その中で一人、真希波・マリ・イラストリアスは別だった。
彼女は楽しそうに歌い、苦しい時には笑い、人に手を差し伸べ、あくまでも軽く、自分の限界を超える。誰も知らない自分の目的を果たすために。

わたしは、すぐに真希波・マリ・イラストリアスが好きになった。


アニメ版から見ている人は、レイ派か、アスカ派で議論してきたことだろう。新ヒロインのマリに対して、否定的な意見もあったという。
それでも、わたしはマリが大好きだった。
彼女は、周りを明るくする優しさを持っている。それがあるからこそ、新ヒロインとしてレイやシンジ、Qではアスカにも受け入れられたのだ。
わたしは彼女のようになりたかった。
どちらかというと大人しくて、本を読んでばかり。人と話すのは下手くそで、大人の人は怖くて。でも、マリみたいになれば。

中学生になって、目が悪くなったわたしは赤いメガネを買ってもらった。

母に「マリちゃんみたいだね」と言われる。
そう、わたしはマリになりたかったのだ。メガネを通して見える世界はわたしの世界ではなく、マリが見ている世界。
わたしは少しだけ、自分が明るい人間になれた気がした。

この頃、アニメ版、旧劇場版の「新世紀エヴァンゲリオン」も見た。
マリは出てこないものの、わたしはもっとエヴァを好きになった。とりわけ好きだったのはレイだ。アスカ派・レイ派であれば、わたしはレイ派ということになる。
キャラクターと同年代になる多感な中学生の時期に見た、というのも印象深い理由かもしれない。
とはいえ、物議を醸すラストシーンについては、そういうものなのか、といった感想であった。エヴァはもともと一風変わった作品ではあるし、不思議な気分でありながら受け入れるしかなかった。
アニメ版よりは、旧劇場版の終わり方が好きだな、というくらいか。
それよりは、前までは分からなかったキャラクターの心の動きについて、よく考えるようになった。
アスカが苦しんでいる理由、シンジが求めているもの、レイが望んでいること、それを考えることで自分の探しているものを見つけようとした。

わたしの精神状態はこの頃不安定で、ずっとぼんやりしていたように思う。
メガネの先が、別の世界のように見えたこともある。
おそらく、そうやって目を向けたくない現実から逃げていたのだろう。
中学を卒業して、高校に入った頃、わたしはあまりアニメを見なくなってしまった。もちろん、エヴァを含めて。
もちろん、高校に入ってからもオタクではあった。それでも、毎日しなければならないことが多く、考えるより、手を動かしていた方が楽だった。
メガネは壊れて、新しい物を買った。
なんか飽きた、と言って、色は黒にした。


しかしここで、変化が訪れた。破以降、新作がなかった新劇場版に、新作ができたという。好きな作品ではあるし、と思い、新劇場版エヴァンゲリオンQを、友人と劇場へ見に行った。

公開されてから、Qは様々な憶測や考察を呼んだ。話題だし、と思って見に行った新規の人は、離れてしまった人も多いかもしれない。
それでも、わたしは再び、マリに会えたのだった。
マリは、Qでも楽しそうに歌いながら、戦い、アスカとも連携プレーを見せた。現れたシーンは破と変わらないくらいの量だ。

しかし、最後のシーンで覚醒するシンジを止めながら、マリは強く言う。

「ぐずるな! せめて姫を助けろ! 男だろ!!」

「ついでに、ちょっとは世間を知りにゃ!!」


まあ、マリがちょっと古いところがあるキャラなのはいいとして。
この時、マリが既にある程度、大人であることを知る。その前にエヴァの呪縛云々の話があるが、それも含めて、彼女が自分だけでない、周りを見て生きている大人であることを知るのだ。

これはわたしの考えなので、全く参考にならないのだが、子どもが大人になるにはどんな基準があるだろう?
子どものような大人、と言われるニュースもある。最近の子どもは大人びて、と揶揄されることもある。
落ち着き払っていれば大人なのか?そうなのであれば、マリは全く大人ではない。彼女は時としてふざけたり、ちゃかしたりする。それは性格だ。

わたしは、「他人の事情を思い計れること」ではないかと思う。
日本人は空気感を重んじるというのがあるが、それではない。
生きている以上、必ず誰か他人と関わらなければならない。その中で、他人でありながらも、その人の置かれた状況、感情を経験則から想像し、それに対応した行動をとる、ということではないか。


なんだか偉そうに言ってしまったけれど、23になったわたしも、こんなことはできていない。まだまだ経験が足りない「子ども」だ。
それにおいて、マリは大人であると感じる。
シンジはこの時、目の前でカヲルを失くし、打ちひしがれている。
それに対して、マリは「在るものに目を向けろ」と声をかけている。正しいけれど、今かけるべき言葉か?という気持ちもある。
それでも、シンジにはこの言葉が必要なのだと、わたしは思う。
この時にシンジに声をかけたことで、シンジはまだ大切なものがあることに気づくはずである。
「過ちに目を向けてばかりいるな、自分ができることを探せ」
これはシン・エヴァンゲリオンでも幾度となく示されることだが、その先手はマリであったと、わたしは思う。

そんな風に、再びマリに出会えたわたしは、感銘を受けていた。
この少し後、メガネが壊れ、新しいメガネは赤フレームにした。
やっぱり似合うね、と母が言い、嬉しかった。
成人を越えて働き始めてからしばらくして、今度は新劇場版エヴァンゲリオンが完結するという話を聞いた。
初日に劇場で見た後、わたしの頭の中でアニメ版のラスト、キャラクターたちが拍手しながら、おめでとうとシンジに声をかけるシーンが浮かんできた。
その中心にいるのはシンジではなく、マリだった。

シンエヴァでは、マリについてのストーリーも、未だ不明な点もありながらも分かりやすく完結した。その傍では、大人になったシンジも。
何だかモヤモヤした気持ちが胸の中にある。ずっとずっと好きだったのだ。もしかしたら、恋に似た感情だったのかもしれない。
それでも、最後に残るのは「おめでとう」という言葉だった。
マリは、明るい裏側、一人で苦しんでいることがあった。エヴァのキャラクターだけでなく、きっと全ての人間がそうであるように。
しかし、ついに彼女はやり遂げたのだ。長い道のりの中、自分の気持ちに区切りをつけ、戦い、その先で寄り添う仲間を見つけて。

わたしも彼女のようになりたい。彼女のようでありたい。
マリに対して思う気持ちは、小学生の時から全く変わらないのである。
エヴァが終わってしまった今でも、変わらず「マリ派」であるということ。
それだけを、親愛なる貴女へ伝えたい。

「ありがとにゃ!」と微笑んでくれると信じて。


ひま餅


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