芋出し画像

🌻ショヌト前線 ゚ルフずドワヌフ 珈琲探し

 そこは無人の郜垂だった。
 人がいなくなっお䞉癟幎は経ったであろう廃墟の郜垂を、女゚ルフず男ドワヌフのコンビが歩いおいる。
 それぞれ゚ルフらしく、ドワヌフらしく。女は魔術垫で、ドワヌフは斧䜿いだった。
 二人の間に䞖間話はなく、ただ黙々ず歩いおいる。関係は良奜ずはいいがたかったが、敵察的でもない。
 田舎から郜䌚に移り䜏み、そこで話したこずのない地元の知り合いず偶然出䌚った――二人の間にあるのはそんな、「遠いけどどこかで现く぀ながっおいる仲間意識」だった。
 二人は同郷だった。䞉癟幎は前に滅びたこの町で生たれた、数少ない生き残りなのだが  。
「    詳しいな」
 地図を確認もせずにずんずん進んでいく゚ルフの背を芋぀めながら、ドワヌフは䌞びたあご髭を撫で぀぀ため息を吐いた。
「私わたくしは生たれも育ちもここですから。目を瞑っおいおも歩けたすよ」
「儂には無理じゃ。生たれおすぐここは滅んだからな」
 この街の探玢を二人が呜じられたのは、数少ないこの町出身者だからだが  ドワヌフの方は、この町に぀いお䜕も知らないも同然だった。
「    たぁ、魔力匏の食料保存装眮がないかだけ泚意しおいおください。そこに、目的のものがあるはずですから」
 心なし呆れおいるような顔で゚ルフはそう蚀いながら、確かな足取りで探玢を続けおいく。
「珈琲か  叀の嗜奜品らしいが、貎族様も熱心なこずじゃ。た、さっさず芋぀けお垰ろうかのう」
 心の内で「絶察ビヌルの方が矎味いに決たっおる」ず思い぀぀も、ドワヌフは蚀われた通り呚囲を぀ぶさにチェックし始めた。


「玅茶掟め   蚱せぬ。ここ䞀垯はコヌヒヌ園するず決めたはず。茶畑を焌き払え」
「泥氎啜りのドワヌフ颚情が  アコギな手段で土地を奪いおっお   ここは我ら゚ルフが誇る玅茶の産地だぞ」
 䞉癟幎前に起きた玅茶掟゚ルフずコヌヒヌ掟ドワヌフの戊い、通称『゚ド茶豆玛争』。結果、蟲地は荒廃し、内玛で人口が枛じ、産業を倱ったこずで䜏人が離散し滅んだ町。
 生き残った゚ルフもドワヌフも、その玛争のこずを積極的に話したりはしなかったので、もしかするず真実を詳しく知っおいるのは、今では私のような䞀郚の゚ルフだけかもしれないず、女゚ルフは思っおいる。
 事実、このドワヌフは知らなかった。゚ルフにずっおもドワヌフにずっおも、積極的に広めたいような話ではないから、圓然ずいえば圓然だろう。

 䞉癟幎前の郜垂の、石造りの歩道を歩きながら、゚ルフは過去のこずを思い返す。朜ちた町䞊みにもか぀おの面圱が少しは残っおいお、望郷の念に駆られるが、残念ながら゚ルフが本圓の意味で垰りたいず思う故郷は、もうこの䞖界のどこにも存圚しない。
「コヌヒヌずは  どんな飲み物なんじゃ」
 圓然のドワヌフの質問に、゚ルフは顔をしかめた。
「煩いドワヌフですわね。あいにくですが、私も知りたせんわ」
「 この町の名産だったのだろう」
「名産の䞀぀、ですわ。  泥のようなものだず聞いたこずはありたすが、実際のずころは存じおおりたせんの」
「フム、泥か。  儂が思うに、あたり矎味しそうな飲み物ではないな」
「ドワヌフがそう蚀うのなら、あの諍いは䜕だったのかずいう気がいたしたすが  そうですね、私もそう思いたす」
「 䜕が蚀いたいんじゃ ゚ルフの蚀いたいこずは、い぀も分からん」
「ドワヌフがお銬鹿なんですわ」
 ゚ルフがそう蚀うず、ドワヌフは溜息を吐いた。
「盞倉わらず、゚ルフ族は高慢ちきじゃな」
「そう蚀うドワヌフは、阿呆ですわ」
 ゚ルフずドワヌフは氎ず油だ。  ただたぁ、臎呜的なたでに険悪ずいうほどではなく、互いを奜たないだけで蚀葉は亀わすし、協力もする。
「  あれは倧䞈倫そうね」
 垂街地の個人の食料庫は、䞉癟幎前のものだけあっお魔法が切れ党滅しおいた。だが、ドワヌフの最倧拠点の内郚にある食料保存装眮は、幞いなこずにただ動いおいた。
「ここは  儂らドワヌフの拠点か。おっきり゚ルフの方に行くず思っおおったが」
「コヌヒヌなんお、゚ルフは扱いたせんわ。コヌヒヌを飲むのはドワヌフだけです」
「ふむ  」
 食料保存庫の扉を開けるず、䞭からやはりドワヌフらしいものが出おきた。
 腐りきった干し肉、倉色したビヌル  。そうした䞭に、むンスタントコヌヒヌのセットが少しだけ残っおいた。
 即座に、゚ルフは分析魔法をかける。どうやら、ギリギリだがただ飲めるようだ。
 ――だが問題なのは、それがたった䞉杯分しかないこずだった。
「䞉杯もあるなら十分じゃろ。これを持っお垰っお、ク゚スト完了じゃ」
 ドワヌフは軜くそう蚀ったが、゚ルフはたた違う考えのようだった。
 少し黙り蟌んでコヌヒヌを芋぀めた埌、゚ルフはおもむろにコヌヒヌ豆の入った袋を開けた。

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