第三十二話 高校生の遊び
よく「~らしい」という言葉を耳にする。『高校生らしい振る舞い』『高校生らしい遊び』『高校生らしい生活態度』らしいとは誰が決めたことなのか?「人に迷惑をかけるな」と言われれば、反省しなければいけない点は多々あるが、「高校生らしくしろ」と言われると妙にイラっとしていた時期があった。
私は自分の楽しいと思う事を共有できる友達と、よく一緒に遊んだ。地元ではやまちゃん、高校ではケンジといったところがそれに当てはまっていた。やまちゃんは地元から一駅離れた普通科の男子校に通っていた。私が停学になる前は、学校が終わってから自宅とは逆方向の電車に乗って、私が通っていた学校の最寄り駅の駅ビルなどでフラフラして遊んだり、ケンジも一緒に遊ぶ時などは地元から一駅先の県内で一番大きな市の街中で遊んだ。
「今度の土曜、兄貴のチームのダンパあるんだけど行かねー」
「マジで!OK!いくいく!」「サイコあるんでしょ?」「当たり前じゃん」
地元では有名なロカビリーのチームのダンパがあるのだ。彼女との約束をキャンセルしてでも行きたいと思う面白さがそこにはあった。ダンパの一番の楽しみでもある『サイコ』、ロカビリーのダンパは通常はロカビリーの曲に合わせてツイストを踊るのだが、途中、急に暗転してサイコの曲がかかる。そうすると『パンチ合戦』といって先輩後輩・年上年下関係なく、ひたすらその曲がかかっている間は殴り合うのだ。日頃ムカついている先輩を殴ることが出来る唯一の機会でもある。市内の小さなクラブやライブハウスなどを借りて行われることが多く、ロカ系のチーマーは必ずやったことがあるイベントである。
チームはいくつもあったが、仲のいいチームもあれば逆もある。仲が良ければダンパなどのイベントは協力して行ったりもしていたので、色んな人と出会える場でもあった。皮パンに革ジャンや、ジーンズにボーリングシャツ、ジュビリーシューズにサドルシューズ、女の子たちは可愛いワンピースを着て小さなライブハウスがパンパンになるほどの人が集まるのだ。会場に入ると大体がアルコールを飲みながらマリファナやコカイン、覚せい剤、MDMA等々薬物をやる。シンナーはダサいし臭いがひどいのでご法度である。
私達も色んなチームのダンパに顔を出した。自分たちで行うことになった時の勉強と人脈作りも兼ねていたが、なんといっても楽しかったからだ。オシャレして街で集合する。当時の流行でもあったバタフライナイフはズボンのポケットに入れてある。そして数グラムの葉っぱの入ったパケ、葉っぱを包むためのジョイントペーパー。少し早めに集合してマリファナを咥えながら、パンチ合戦に備えて準備運動がてらにその辺にたむろっているヤンキーと喧嘩。この頃からコカインや覚せい剤も覚えていく。私なりの高校生らしい生活だった。
今回はチームの活動の一番の楽しみな、イベントの話などをしてみました。次回は停学中からその後の話を書きたいと思います。
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